濫用等のおそれのある医薬品については、特に若年層において社会問題となっている。そのため今回の検討会でも何らかの制度見直しを行う方向となっている。
事務局が示した論点は以下の通り。
■濫用等のおそれのある医薬品
オンライン服薬指導(画像・音声を用いたリアルタイムの双方向通信)を用いた販売方法とすることについて、どのように考えるか。
○ 身分証による本人確認、販売時の情報提供や確認の実施記録を課すことについて、どのように考えるか。
○ 小包装(例えば二、三日分)のみ販売可とする制度とすることについて、どのように考えるか。
○ 長期的にはマイナンバーカード等による購入情報の一元管理を前提とした規制を導入することについて、どのように考えるか。
こうした論点のうち、オンライン服薬指導による販売については賛成の声が多く出た。
より気軽に買えるネット販売よりも、処方箋薬の調剤においても用いられているオンライン服薬指導を用いることで本人確認などが確実になるとの見方も示された。
日本薬剤師会副会長の森昌平氏は、「複数の店舗で買い周りができること、購入しやすさ、容易なアクセス、それから確実な本人確認の点から見直しが必要だ。具体的にはネット販売ではなく店舗での販売を基本とした上で、画像情報を伴うオンライン形式による販売方法に限定すべきだ」と述べた。加えて、規制強化だけでなく顔の見える関係性によって専門家による啓発機能を発揮し、濫用防止機能を発揮したいとした。「適切な販売方法と啓発の両輪で進めていくべきだ」とした。最小個数の販売、頻回・複数の購入、小包装、表示などへの工夫も必要とした。将来的な課題としてはマイナンバーカードの活用による防止策も考えられるとした。
また、小包装については認定 NPO 法人ささえあい医療人権センターCOMLや日本医師会の委員から規制すべきとの意見が出た。
認定 NPO 法人ささえあい医療人権センターCOML 理事長の山口 育子氏は、「濫用のおそれのある医薬品は特定できている。ネット販売はまずだめということにする必要があるのではないか。ネット販売のチェックは形式的。致死量に致る包装が販売されているのは危険極まりない。家族での購入もあるようだが、それは家族での使用を伝えた上で、2、3日分を複数個、販売すればよい。23日分のかぜ薬は規制をかける必要があるのではないか。小包装での販売に進むべきだと思う」と述べた。
日本医師会常任理事の宮川政昭氏も、「山口氏と同じ意見だ。一元管理は長期的な視点もあるが、短期的には数量、小包装に対応すべき。ワンパッケージに(致死量が)入っていることはあってはならない。3、4日服用して症状が変わらなければと書いてある。それならば12回分が適切だよとするしかない」とした。
この日の会議では「現在販売されている製品で1箱で中毒量・致死量になる製品パッケージ調査」の結果として、該当する64製品のうち、一例として具体的な商品名と包装容量も提示された。
ただ、小包装に関しては日本OTC医薬品協会からは利便性を損なうリスクもあるとの意見が示された。
日本 OTC 医薬品協会事業活動戦略会議座長・薬制委員長の山本雅俊氏は、コロナ禍においても備蓄の存在意義は大きかったとし、小さい包装のみとすることは生活者の利便性が損なわれるとの意見を表明した。

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