【コロナ禍の薬局】時間外に抗原検査キット販売協力/八戸薬剤師会(青森県)の事例/会員146薬局中62薬局が対応

【コロナ禍の薬局】時間外に抗原検査キット販売協力/八戸薬剤師会(青森県)の事例/会員146薬局中62薬局が対応

【2023.05.31配信】5類移行となったコロナ。これまでの間、薬剤師会、薬局、薬剤師はどのような活動をしてきたのか。ワクチン接種会場での協力や患者自宅への治療薬のお届けなど、その貢献は数多いが、本稿では八戸薬剤師会の事例から抗原検査キット販売協力への対応を取り上げたい。社会からの要請に応える形で、会員薬局の4割がイレギュラーな営業時間外で販売対応した。


 通常の薬局営業時間外、夜間・休日においても薬局で抗原検査キットを販売してほしいとの要請が国、都道府県から出されたのは、第7波がおそっていた2022年の7月22日だった。

 この要請を受けて八戸薬剤師会では会員薬局に対して「地域の医療インフラである薬局として」「できる範囲内」での協力について声がけを行った。

 その結果、8月17日時点で会員薬局146薬局中、92薬局から販売の意向が寄せられ、そのうち62薬局からは通常営業の時間外で販売に協力するとの回答があった(時間外は電話対応を含む)。なお、同薬剤師会の圏域内の薬局組織率は「ほぼ会員」という。

 実際の販売時間帯はもともとの各薬局の営業時間によってまちまちにはなるが、「それぞれの薬局の無理のない範囲で協力することが重要との考えがあった」と八戸薬剤師会会長の阿達昌亮氏は話す。その上で、各薬局の販売時間などについて八戸薬剤師会のホームページで公開。地域における販売状況を地域の住民に伝える役割を果たした。

 八戸薬剤師会では同年8月から2023年1月までの販売実績の調査も実施。調査を担ったのが八戸薬剤師会理事(青森県薬剤師会理事も兼務)で職能対策委員会の委員長を務める西原大介氏(やすらぎ薬局)だ。
 結果について西原氏は、「会員薬局には大手も中小(規模)もある。組織的に急な時間外に対応できないものの時間内には比較的多数の販売で貢献できる“大手”と、営業時間外にすぐに対応できる小回りの利く“中小”規模薬局で役割分担しながら、薬局、薬剤師の集団として対応することができた」と総括する。根底には抗原検査キットは対面で販売し使用方法等を丁寧に説明することが適切との思いもあった。また、実際の販売時間をみると、98%は営業時間内であった。

 自治体との交渉も薬剤師会が窓口になることでうまく回すこともできていた。具体的には処方箋応需義務に関してキット販売目的の時間延長では応需しない特例を認めてもらったという。地域ごとの取り組みの典型ともいえるが、西原氏は、「地域包括ケアはあくまで手段」との思いも語る。「目的(薬局でいえば医薬品の過不足ない供給)が果たせている現状があるのか」と昨今の医薬品供給問題に直面しなお疑問を投げかける。阿達会長は「地域の薬局同士の連携がなくしてできない。個店、チェーンの種別と関係なくカバーし合えるネットワークができていけば」と語る。どんな姿、仕組みで応えるべきなのか、真摯な向き合いは続く。

この記事のライター

関連するキーワード


抗原検査キット

関連する投稿


【一般用抗原定性検査キット】コロナ“第11波”で薬局入手困難に

【一般用抗原定性検査キット】コロナ“第11波”で薬局入手困難に

【2024.08.29配信】新型コロナウイルス感染症の“第11波”ともいわれる感染拡大で、一般用抗原定性検査キットが不足している。日本薬剤師会は厚生労働省に対し、不足解消に向けた措置を要望した。


【厚労省】“研究用”抗原検査キット、薬機法で取り締まりの方向/該当性判断の上

【厚労省】“研究用”抗原検査キット、薬機法で取り締まりの方向/該当性判断の上

【2024.07.25配信】厚生労働省は7月25日に「厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会」を開催し、体外診断用医薬品の特性を踏まえた制度の見直しについて議論した。その中で「研究等の医療以外の用途を標榜する試薬の提供業者への対応」を議題とした。


【抗原検査キット】取り扱い薬局リストの厚労省での公表が終了/日本薬剤師会のHPへ移行

【抗原検査キット】取り扱い薬局リストの厚労省での公表が終了/日本薬剤師会のHPへ移行

【2024.04.10配信】日本薬剤師会は4月10日に定例会見を開いた。その中で抗原検査キットの取り扱い薬局リストについて、厚労省HPでの公表が終了することに伴い、当面の間、日本薬剤師会のHPに掲載すると報告した。


【抗原検査キットの販売実態】偽陰性の可能性説明、遵守低い結果/厚労省

【抗原検査キットの販売実態】偽陰性の可能性説明、遵守低い結果/厚労省

【2023.09.01配信】厚生労働省は9月1日、「医薬品販売制度実態把握調査」の結果を公表した。今回の令和4年度調査では、一般用新型コロナウイルス抗原定性検査キットの販売時の情報提供の状況に係る調査も実施した。同品の販売にあたっては厚労省が販売時に偽陰性の可能性があること等について特に丁寧に説明することなどの留意事項を示しているが、これらの事項について情報提供を行っていた割合は低い結果だった。


【ウエルシアHD】コロナ5類移行後も検査立会を継続

【ウエルシアHD】コロナ5類移行後も検査立会を継続

【2023.05.08配信】ウエルシアホールディングスは5月8日、コロナ5類移行後も検査立会を継続するとリリースした。


最新の投稿


【スギ薬局】認知症の“未病”の見える化事業/神奈川県等と基本合意

【スギ薬局】認知症の“未病”の見える化事業/神奈川県等と基本合意

【2026.08.12配信】スギホールディングス連結子会社の株式会社スギ薬局(本社:愛知県大府市、代表取締役社長:杉浦 克典氏)は8月12日、ノックオンザドア株式会社とともに、神奈川県と「認知症未病改善データプラットフォーム等に関する基本合意」を締結した。


【日本保険薬局協会】調剤報酬改定影響調査/在総加算2が算定率22.1%→3.3%へ急激

【日本保険薬局協会】調剤報酬改定影響調査/在総加算2が算定率22.1%→3.3%へ急激

【2026.08.06配信】日本保険薬局協会は8月6日に定例会見を開き、「令和8年度調剤報酬改定に係る保険薬局への影響」の調査結果を公表した。在宅分野では、在宅薬学総合体制加算2の算定率が22.1%から3.3%へ大きく低下した。


【日本保険薬局協会】穿刺血を用いる検査薬のOTC化等で要望書

【日本保険薬局協会】穿刺血を用いる検査薬のOTC化等で要望書

【2026.08.06配信】日本保険薬局協会は8月6日に定例会見を開き、「穿刺血を用いる検査薬のOTC化等に関する要望書」を厚生労働省 医薬局長宛に提出したことを説明した。


【薬局倒産】株式会社浅川薬品(長野市)/事業停止、自己破産申請へ

【薬局倒産】株式会社浅川薬品(長野市)/事業停止、自己破産申請へ

【2026.08.06配信】帝国データバンク長野支店によると、株式会社浅川薬品(長野市)は7月31日に事業を停止し、自己破産申請の準備に入った。


【OTC類似薬】鎮痛消炎外用薬、慢性かつ重度の変形性膝関節症などの負担増に経過措置

【OTC類似薬】鎮痛消炎外用薬、慢性かつ重度の変形性膝関節症などの負担増に経過措置

【2026.08.05配信】厚生労働省は8月5日、「第4回OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた技術的検討会」を開催。「中間とりまとめ(案)」を提示し了承した。今後、社会保障審議会医療保険部会等に報告し、令和8年秋頃を目途に結論を得る予定。


ランキング


>>総合人気ランキング