現状は薬機法での取り締まりが困難
研究用試薬をめぐっては、新型コロナウイルス感染症感染拡大時に一般用体外診断用医薬品のコロナ抗原検査キットが発売されていない時期に、「研究用試薬」と表示された、薬事承認を受けた体外診断用医薬品ではない検査キットが販売された。これらの製品は、医薬品医療機器等法上の効能・効果を標榜しないため、同法に基づく取締りが困難だった。
これらについて厚労省では消費者庁とともに、検査性能が確認されたものではない趣旨の一般人向けの注意喚起を消費者庁とも協力して行っていた。しかし、一般用体外診断用医薬品の発売後も販売自粛の指導に従わずに販売が継続されたという問題があった。
診断薬としての該当性判断のガイドラインを作成
こうしたことから、事務局は案として、法律で流通を直接的に規制する以外の方法として、「一般人がその形態や使用方法から容易に医療機器・体外診断用医薬品と認識するもの」は、医療機器・体外診断用医薬品に該当する物と判断し、規制することが考えられると提示。無承認・無許可医療機器・体外診断用医薬品の取締りのメルクマールとして、医療機器・体外診断用医薬品の該当性の判断を明確化するガイドラインを作成し、医療機器・体外診断用医薬品として、取締りを行う方向での検討も行うとした。
医薬品の場合「医薬品の範囲に関する基準(46通知)」により、医薬品に該当する否かの判断基準を明確化するとともに、判断結果を医薬品/非医薬品リストとして明示している。医療機器・体外診断用医薬品についても同様のガイドラインを作成して薬事該当性の考え方を明確化するとともに、例えば、「研究用試薬」と称しつつも、製品表示や販売経路、使用方法等を総合的に勘案し、実態としては、人の感染症を診断させる目的で提供されている抗原検査キットについては、体外診断用医薬品に該当する事例として通知等で明示し、無承認・無許可体外診断用医薬品として同法に基づき取締りを行う方向を示した。真に研究用に使用される試薬の流通を妨げない規制の方法を検討する必要があるともした。
対応としては、例えば一般人への譲渡、譲受、所持を禁止し、研究機関のみに販売先を限定するなどの法的規制もあり得るが、物自体が法律で禁止する程の危険な物品と言えるのか、真に研究用に使用される試薬に対して過剰な規制となるのではないかなど、課題が多いとした。
委員からは研究用試薬への何らかの規制が必要との意見が出たほか、導入に際しては対象を明確化すべきとの声もあった。