【厚労省_医薬品販売制度検討会】日薬、区分“とどめおく”制度を要望/要指導医薬品の在り方の議論で

【厚労省_医薬品販売制度検討会】日薬、区分“とどめおく”制度を要望/要指導医薬品の在り方の議論で

【2023.03.08配信】厚生労働省は3月8日、「第2回 医薬品販売制度に関する検討会」を開催し、要指導医薬品におけるオンライン服薬指導を活用した販売の是非や要指導医薬品の区分の在り方を議論した。この中で、日本薬剤師会副会長の森昌平氏は、要指導医薬品について、「3年でリスク区分が移行していく制度がスイッチOTCの阻害要因になっているのであれば見直すことも必要」とし、新たな分類をつくること、リスク区分を“とどめおく”ことも必要だとの考えを示した。


 要指導医薬品をめぐっては、ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏が、ネット販売を広く認めた前回薬事法改正から一般用医薬品による救急搬送事例が増加しているとの調査結果もあることから、「ネット販売による問題を防ぐためにネット販売不可枠をつくるようなことは不可能なのか」と提案した。

 また、日薬の森氏も、OTC医薬品にはダイレクトOTCといった広い対象者における使用経験が少ない状態で市場に出てくる医薬品もあることなどを挙げ、「(OTC医薬品は)需要者の求めで使うようになる。オンラインで販売してよいのかは慎重に考えるべきではないか」と述べた。
 また森氏は区分の在り方については、「今の仕組みでは3年経つと、第1類医薬品へ移行してしまう。(それが)スイッチOTC医薬品の阻害になっているのであれば見直しも必要ではないか」とし、「対面の服薬指導が必要なものもあり、慎重な議論が必要。新たな分類をつくる、(リスク区分を)とどめることも必要ではないか」と述べた。
 
 特定非営利活動法人ネットワーク医療と人権 の花井十伍氏も、ネット販売に一定の規制をかけることには賛同する意向を示した。花井氏は前回の薬事法改正時とネットの環境は異なっているとの考えを示しつつも、対面販売が適しているポジティブリストをつくり、それ以外はオンラインで可能などの体制にすべきとの考えを示した。医療用医薬品とOTC医薬品のオンライン活用の違いについては、OTC薬では医師からの診断や説明を受けずに利用者主体となる点で根本から異なるとの見方を示した。

 他方、落合孝文弁護士(渥美坂井法律事務所・外国法共同事業)は、対面とオンラインで原則としては同様の手法にすることが重要との考えを強調した。診療でも対面ではなくオンラインであることもあると指摘した。

 日本医師会常任理事の宮川政昭氏は、医薬品使用において「販売」という言葉が使われること自体に違和感を表明。「医療の中で医師や看護師、介護関係者が患者を中心にして連携する中で、医薬品だけが単独で出てきている」と指摘。「患者さんをみつめていくことをどう考えるのか。不都合が生じていることを私たちはしっかりみて、歯止めをかけたり、不都合を解消していくことを議論していく必要がある」との考えを示した。

この記事のライター

関連するキーワード


医薬品販売制度検討会

関連する投稿


【厚労省_医薬品販売制度検討会】濫用のおそれのある医薬品を議論/購入者情報と販売情報の紐付け課題に

【厚労省_医薬品販売制度検討会】濫用のおそれのある医薬品を議論/購入者情報と販売情報の紐付け課題に

【2023.03.08配信】厚生労働省は3月8日、「第2回 医薬品販売制度に関する検討会」を開催し、濫用のおそれのある医薬品について議論した。この中で事務局は、電子版お薬手帳の利用等、購入者情報と販売情報の紐付けも課題として挙げた。


【厚労省】「第2回医薬品の販売制度に関する検討会」を3月8日に開催/“オンライン”による要指導医薬品の販売について議論

【厚労省】「第2回医薬品の販売制度に関する検討会」を3月8日に開催/“オンライン”による要指導医薬品の販売について議論

【2023.03.02配信】厚生労働省は3月1日、「第2回医薬品の販売制度に関する検討会」を3月8日に開催すると告知した。「濫用等のおそれのある医薬品について」と「要指導医薬品のあり方について」を議論する。


【厚労省_医薬品販売制度検討会】落合弁護士「デジタル原則とオーバーラップするもの」

【厚労省_医薬品販売制度検討会】落合弁護士「デジタル原則とオーバーラップするもの」

【2023.02.22配信】厚生労働省は2月22日、「第1回医薬品の販売制度に関する検討会」を開いた。この中で、弁護士の落合孝文氏(渥美坂井法律事務所・外国法共同事業)は、自身が作業部会の委員を務めるデジタル庁デジタル臨時行政調査会(デジタル臨調)での「デジタル原則」の議論にも触れ、医薬品の販売制度も「オーバーラップするもの」だとの見方を示した。


【厚労省_医薬品販売制度】日医、“零売薬局”の実態に対し「医師からすると危うい」「国でしっかり位置づけを」

【厚労省_医薬品販売制度】日医、“零売薬局”の実態に対し「医師からすると危うい」「国でしっかり位置づけを」

【2023.02.22配信】厚生労働省は2月22日、「第1回医薬品の販売制度に関する検討会」を開催した。同日の議論では「処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売について」を議題にした。この中で日本医師会常任理事の宮川政昭氏は“零売薬局”の実態について、「医師の立場からすると危うい」と問題意識を吐露した。その上で「国でしっかり位置づけをするべき」と提言した。


【厚労省_医薬品販売制度検討会】日薬、医療用一般用共用医薬品の議論求める

【厚労省_医薬品販売制度検討会】日薬、医療用一般用共用医薬品の議論求める

【2023.02.22配信】厚生労働省は2月22日、「第1回医薬品の販売制度に関する検討会」を開催した。この中で、日本薬剤師会は同会の政策提言2022で創設を提言していた「医療用一般用共用医薬品」の議論を求めた。


最新の投稿


【人事】トモズ、代表取締役に角谷真司

【人事】トモズ、代表取締役に角谷真司

【2023.03.31配信】トモズは、2023年4月1日付で德廣英之氏の後任として、代表取締役社長に角谷真司氏が就任することを内定したと公表した。


【日本薬剤師会】公明党厚労部会に要望/医薬品の安定供給で/「薬価差のみに焦点でなく広く提供体制への影響を踏まえた議論を」

【日本薬剤師会】公明党厚労部会に要望/医薬品の安定供給で/「薬価差のみに焦点でなく広く提供体制への影響を踏まえた議論を」

【2023.03.30配信】日本薬剤師会は3月30日に定例会見を開き、3月28日に公明党厚労部会に医薬品の安定供給に係る現状と課題について要望を行ったことを説明した。同テーマに関するヒアリングを公明党から受けた格好。


【スギ薬局グループ】さくら薬局グループと業務提携で合意

【スギ薬局グループ】さくら薬局グループと業務提携で合意

【2023.03.30配信】スギ薬局グループは3月30日、さくら薬局グループとの業務提携することで合意したことを公表した。


【電子処方箋】院内処方への対応を検討へ/電子カルテ情報共有との整理も課題に

【電子処方箋】院内処方への対応を検討へ/電子カルテ情報共有との整理も課題に

【2023.03.30配信】厚生労働省は3月29日、「第12回健康・医療・介護情報利活用検討会」を開催し、この中で電子処方箋の今後の予定も報告された。主に「リフィル処方箋への対応」「患者からの口頭同意による薬剤情報を取得」「院内処方への対応」という3つの機能改修の予定について報告されたもの。院内処方への対応については電子カルテ交換サービス(仮称)の整備が進む中、電子カルテ情報共有との整理も課題とされた。


【電子処方箋】患者からの口頭同意で過去の薬剤情報を取得できるよう機能改修へ/重複チェックアラートの実効性高める

【電子処方箋】患者からの口頭同意で過去の薬剤情報を取得できるよう機能改修へ/重複チェックアラートの実効性高める

【2023.03.30配信】厚生労働省は3月29日、「第12回健康・医療・介護情報利活用検討会」を開催し、この中で電子処方箋の今後の予定も報告された。主に「リフィル処方箋への対応」「患者からの口頭同意による薬剤情報を取得」「院内処方への対応」という3つの機能改修の予定について報告されたもの。患者からの口頭同意によって薬剤情報取得を可能とする機能改修を行い、重複チェックアラートの実効性を高める考え。


ランキング


>>総合人気ランキング