同検討会では、医薬品の販売区分及び販売方法やデジタル技術を活用した医薬品販売業のあり方が議論される。
デジタル技術の進展を踏まえ、薬剤師等による遠隔での情報提供の可能性などを議論するほか、一般用医薬品による救急搬送事例の増加を踏まえ、濫用等のおそれのある一般用医薬品の販売のあり方も議題とする。
こうした議題に対し、落合弁護士はデジタル臨調で、「デジタル原則」を踏まえた「アナログ規制に関する点検・見直し」が手掛けられていることを説明。デジタル臨調では、2022年12月開催の会議で、法令約1万条項全ての見直し方針及び見直しに向けた工程表が確定したと報告されている。今回の検討会の開催の目的の1つに、2022年6月に閣議決定された「規制改革実施計画」での「患者のための医薬品アクセスの円滑化」の議論があるが、落合氏は「規制改革推進会議の書面・対面規制の見直しも、デジタル原則とオーバーラップするもの」とし、「それを踏まえて議論をしていただけるといいと思う」と述べた。
デジタル原則とは、現行の規制や法令がデジタル時代に則しているかを判断する適合性についてデジタル臨調が5原則を規定しているもの。
落合氏はデジタル原則に基づく見直しの中で特に、常駐・専任規制が見直しされるとし、「必要な部分については国会でも改正法案が提出されるということになっている」と説明した。
一方、医薬品においては有効性・安全性の確保は重要だとして、「場合によっては強化、新しくつくることも必要だと思っている」と指摘した上で、「ただ、その際もオンラインにだけ厳しくするということではなく、リスクに対応しようということであれば対面・オンラインを問わず両方を適切に整理するべき」と指摘。「対面と差別するということは行わないように整理していただくことは重要」と述べた。
スイッチOTCやタスクシェアについては進める要望をした。
スイッチOTCについては、「規制改革推進会議でも例年、スイッチOTCの話にも取り組んでいる。必要な範囲について、枠組みの整備を議論していただけるといいのではないか」と述べた。
タスクシェアについては、「過疎地域などにおいては医師だけでは地域医療を維持できないという声もいろいろなところからあがっているところ。薬剤師の業務の拡充、専門家としての役割も重要だ」と指摘した。

【厚労省_医薬品販売制度検討会】落合弁護士「デジタル原則とオーバーラップするもの」
【2023.02.22配信】厚生労働省は2月22日、「第1回医薬品の販売制度に関する検討会」を開いた。この中で、弁護士の落合孝文氏(渥美坂井法律事務所・外国法共同事業)は、自身が作業部会の委員を務めるデジタル庁デジタル臨時行政調査会(デジタル臨調)での「デジタル原則」の議論にも触れ、医薬品の販売制度も「オーバーラップするもの」だとの見方を示した。
関連する投稿
【楽天三木谷氏】“濫用薬”の規制方向「撤回を」/デジタル社会構想会議で表明
【2024.04.24配信】デジタル庁は4月24日、第 9 回デジタル社会構想会議を開いた。この中で三木谷浩史氏(楽天グループ株式会社/一般社団法人新経済連盟)は厚労省の進める“濫用薬”の規制方向を撤回するよう意見した。
【医薬品販売制度】神谷政幸参議院議員に聞く/強まる規制改革の声、「横串を刺すのが政治の仕事」
【2024.02.22配信】「医薬品医療機器制度部会」にステージを移した医薬品販売制度改正。これまでと今後の展望について、自民党の「厚生労働部会 薬事に関する小委員会」の事務局長として議論の行方にも関わってきた参議院議員の神谷政幸氏にインタビューした。
【規制改革会議議事録】佐藤WG座長「成分の規制の必要も」/“濫用薬”の販売制度問題で
【2024.01.24配信】内閣府規制改革推進会議は、1月24日までに令和5年12月26日開催の会議議事録を公開した。その中で「健康・医療・介護ワーキング・グループ」(WG)の佐藤主光座長は濫用のおそれのある医薬品成分の規制などについて指摘している。
【2024.01.17配信】日本の厚労省検討会で議論の進展は少なかった“共用薬”問題。保険など複合的な問題がからむため、粘り強く、かつ包括的な議論が今後求められそうだ。「OTC薬を医師が処方するのはやはり非現実的なのか」と思ってしまいそうだが、ドイツにはすでに医師がOTC薬を処方する制度がある。そこで本紙では、今後の議論の少なからずの参考になるよう、ドイツの薬局開設者であるアッセンハイマー慶子氏に取材した。
【医薬品販売制度検討会とりまとめ議論】“濫用薬”、20歳での区別に日薬が最後まで反論
【2023.12.18配信】厚生労働省は12月18日に「第11回医薬品の販売制度に関する検討会」を開いた。この中で「濫用等のおそれのある医薬品」を対面・もしくはオンライン(画像)を用いた販売とする方向で議論をされてきたが、事務局は「20 歳以上の者が小容量の製品1個のみ購入しようとする場合」については、ネット販売を認める案を提示した。
最新の投稿
【2025.06.16配信】グラクソ・スミスクラインは6月16日、同社が販売する「フルナーゼ点鼻液」について、年内を目途に販売を中止することを公表した。
【大木ヘルスケアHD】“推し活”キーに医薬品需要に気付き/目薬や喉ケア/秋冬商品提案で
【2025.06.15配信】ヘルスケア卸大手の大木ヘルスケアホールディングスは6月11日に、事業部説明会を開催した。来る6月17日(火)~6月18日(水)にTRC 東京流通センターで開く「2025OHKI秋冬用カテゴリー提案商談会2025 年 OHKI 秋冬用カテゴリー提案商談会」の事前説明会の位置付け。OTC医薬品に関しては、“推し活”市場の拡大を背景に、“推し活”をきっかけに需要に気付きを与える提案を実施することを説明した。
【骨太方針_閣議決定】「高齢化の伸び」に経済・物価動向の増加分を加算
【2025.06.13配信】政府は6月13日、「経済財政運営と改革の基本方針 2025」、いわゆる骨太方針を閣議決定した。医療・介護に関連しては、「高齢化による増加分に相当する伸びにこうした経済・物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算する」と記載した。これまでは、社会保障関係費の伸びを高齢化の範囲内に抑える方針がとられてきた。薬剤師で参議院議員の神谷政幸氏はXで「税収増を踏まえた経営の安定化や確実な賃上げに繋がる対応がついに反映」と投稿。医療介護業界の声が届いたとの考えを示唆した。
【奈良県薬剤師会】「健康ハートの日 2025」に協賛/気になる“nara”測ろう血圧ポスター作成
【2025.06.12配信】奈良県薬剤師会(後岡伸爾会長)は、「健康ハートの日 2025」に協賛する。
【マイナ保険証】活用で「多重受診・過剰処方」発見効果/日本保険薬局協会調査
【2025.06.12配信】日本保険薬局協会は6月12日に定例会見を開き、「保険薬局における医療DX活用と業務貢献等の実態調査」の結果を説明した。「多重受診・過剰処方」の発見など効果がみられた。