【日本保険薬局協会】認定薬局の必要性「協会でコンセンサス得られている」/認定推進へ

【日本保険薬局協会】認定薬局の必要性「協会でコンセンサス得られている」/認定推進へ

【2023.02.09配信】日本保険薬局協会は2月9日、定例会見を開き、認定薬局の「ヒアリング」調査結果を公表した。認定薬局が高い機能を有していることが示されている。認定薬局に関しては、薬局業界の中でも一部否定的な意見も聞かれるが、協会の首藤正一会長は認定薬局の必要性について、協会内で「コンセンサスは得られている」と語り、今後、認定推進へ向けて取り組んでいく方針を示した。


要件と「実績」には乖離も/協会「実績の底上げが重要」

 調査は、認定薬局に対してヒアリングを行い業務実態を把握することを目的に、協会の医療制度検討委員会が実施した。数値だけでなく、事例を収集するためにヒアリングベースで行った。
 内容は、在宅及び連携の実績と実例、認定取得のメリット・デメリット、課題と展望などを聞いたもの。
 対象は、協会正会員企業に属する薬局で認定薬局を取得している薬局。1薬局1回答で、17社 262薬局から回答を得た。
  回答期間は2022年10月7日(金)~11月7日(月)。

 結果としては、認定薬局において高い機能が確認された。例えば、地域支援体制加算の算定割合は87.8%だった。全国平均は37.6%であり、比較すると認定薬局の顕著な算定率の高さがうかがえた。

 一方で認定薬局の中でも各実績には差があった。特に無菌調剤に関しては、自局に無菌製剤処理設備を有している割合が27.1%、そのうち無菌調剤の実績があるのが47.9%だった。また、入院時情報共有の実績がある薬局は25.2%、平均2.25回/年、退院時情報共有の実績がある薬局は31.3%、平均4.46回/年。

 協会としては、今後、個々の薬局における地域医療ニーズにも考慮しつつ、全体的にこれらの実績の底上げを図っていく必要があるとの考えを示した。

 今回報告された実例には、入院時や、退院時から外来や在宅への移行といった際のシームレスな連携、また、看取り期における緊急かつ高頻度の訪問や連携といった事例が多く挙げられた。協会は「こういった薬局薬剤師の業務が地域医療の支えになっていることが見てとることができた。これまで実施してきた統計的な調査に加えて、今回把握できた業務実態をあわせて、認定薬局の認知度向上につなげていくとともに、調査結果に基づいて、NPhA会員との意見交換等を継続していくことで、全国の薬局の機能向上に貢献していく」と話した。

編集部コメント/協会の認定薬局推進意向が鮮明に

 認定薬局をめぐっては、大手チェーンの取得率が高いとの指摘もあることから、薬局業界の中では一部否定的な意見も聞かれる。
 大手チェーンにおいても、調剤報酬上の評価がないことから取得のメリットが感じづらいとの指摘はかねてから持ち上がっていた。

 そういった中、記者から「そもそも認定薬局推進の立場は協会内でコンセンサスが得られているのか」との質問が出ると、首藤正一会長は「そうだ」と回答。
 その意義については、「無菌調剤や麻薬へのニーズがまだまだある中で、そういったことが薬局ができるんだと 認識されればもっと受け入れていくことができる」と指摘。
 認定薬局が創設された背景についても、「薬局のあるべきビジョンが示される中で、その1つだと思っている」として、認定薬局の推進を通して薬局の地域における価値が向上するとの認識を示した。

 調査だけでなく、こうした会長の発言から、協会の推進の立場が鮮明になったといえる。

 首藤会長が語ったように、無菌や麻薬が使われるような現場、すなわち看取りのシーンを含めて、薬局の地域への貢献できる領域は広く、それに薬局業界が十分に対応できているとは言い切れない状況がある。
 「地域への貢献」目線で、認定薬局を進めていけるかどうかが問われているといえるだろう。

この記事のライター

関連するキーワード


認定薬局 日本保険薬局協会

関連する投稿


【日本保険薬局協会】“薬剤師会作成の薬局リスト”、24%が掲載なし/会員薬局調査

【日本保険薬局協会】“薬剤師会作成の薬局リスト”、24%が掲載なし/会員薬局調査

【2025.04.10配信】日本保険薬局協会は4月10日、定例会見を開いた。その中で、薬剤師会が作成した薬局情報リストについての調査結果を公表。24%が掲載がなかったという。協会としては「網羅性に欠ける状況が分かった」としている。一方、活用状況は向上している。


【日本保険薬局協会】マイナ保険証受付方法で要望/「在宅Web」を外来にも

【日本保険薬局協会】マイナ保険証受付方法で要望/「在宅Web」を外来にも

【2025.02.13配信】日本保険薬局協会は2月13日に会見を開き、マイナ保険証の受付方法についての要望をまとめ、公表した。現在、在宅医療現場で活用しているWeb方式を通常の外来でも活用できるようにすることなどを求めている。


【日本保険薬局協会】「1社流通」調査/理由の説明あったのはわずか「7.1%」

【日本保険薬局協会】「1社流通」調査/理由の説明あったのはわずか「7.1%」

【2025.01.16配信】日本保険薬局協会は1月16日、定例会見を開き、「1社流通」に関する調査結果を公表した。「一社流通」はメーカーが卸を限定して流通させている医薬品のことで、価格交渉の余地が小さく、薬価の「単品単価交渉」「銘柄別評価」の原則の中で、薬価形成に問題があるのではないかとの指摘が出ているもの。薬局・医療機関からは1社流通の場合は、メーカーからその理由について説明を求める声が高まっている。1社流通品のある多くの薬局で、卸変更や納品時期確認を余儀なくされているだけでなく、患者への欠品対応や継続服用の中断といった供給上の問題も発生していた。


【日本保険薬局協会】「壁を取り除くことから」/薬局間連携に意欲、三木田会長

【日本保険薬局協会】「壁を取り除くことから」/薬局間連携に意欲、三木田会長

【2025.01.16配信】日本保険薬局協会は1月16日に定例会見を開いた。この中で会長の三木田慎也氏は、薬局間連携に意欲を示すとともに、会員からは「イメージしづらい」との声もあることを紹介した上で、「まずは壁を取り除くことが必要ではないか」との見方を示した。協会としては、協会の持つ機能を地域の財産としていかに活用してもらうかがテーマだとした。


【専門医療機関連携薬局】「HIV」「小児(疾病)」追加を検討へ/厚労省検討会

【専門医療機関連携薬局】「HIV」「小児(疾病)」追加を検討へ/厚労省検討会

【2024.12.16配信】厚生労働省は、認定薬局の1つである「専門医療機関連携薬局」について、現行の「がん」に加え、「HIV」、「小児(疾病)」について検討することとし、関係者へのヒアリングを実施していく方針を示した。「第11回薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」で示したもの。


最新の投稿


【規制改革WG】事前処方・調剤の質疑への回答公表/在宅医療における円滑な薬物治療の提供で

【規制改革WG】事前処方・調剤の質疑への回答公表/在宅医療における円滑な薬物治療の提供で

【2025.05.01配信】規制改革推進会議「健康・医療・介護ワーキング・グループ(第5回)」が5月1日、開催された。その中で令和7年3月14日に開催された「第2回健康・医療・介護 WG」に関する委員・専門委員からの追加質疑・意見に対する厚生労働省の回答を公表した。


【東京都薬務課】健康食品試買調査結果、79%が違反/効能効果の標榜に販売店のチラシなども注意

【東京都薬務課】健康食品試買調査結果、79%が違反/効能効果の標榜に販売店のチラシなども注意

【2025.04.30配信】東京都薬務課は4月30日に定例会見を開き、都が毎年行っている健康食品試買調査の結果を説明した。124製品中、98製品、79%に不適正な表示、広告が発見されたという。医薬品的な効能効果の標榜を禁止している薬機法違反も多いが、景品表示法、食品表示法、特定商取引法などの違反も見られる、都では複数の法律で規制されている健康食品を取り扱う事業者に向けて講習会を開いており、講習会参加なども生かして法令遵守に取り組んでほしいとしている。


【厚労省_疑義解釈(その24)】DX加算のマイナ保険証利用率について

【厚労省_疑義解釈(その24)】DX加算のマイナ保険証利用率について

【2025.04.28配信】厚生労働省は4月25日、診療報酬改定についての「疑義解釈(その24)」を発出した。「医療DX推進体制整備加算」の施設基準の1つであるマイナ保険証利用率について回答。4月については在宅患者を分母から引いて構わないとしている。現在は通常の外来患者がマイナ保険証を利用した場合のみが反映されているため。5月以降については、居宅同意取得型のオンライン資格確認によるマイナ保険証利用件数が社会保険診療報酬支払基金から通 知するマイナ保険証利用率集計に含まれる予定。


【日本薬剤師会】電子お薬手帳ビューワー、他職種への周知を依頼

【日本薬剤師会】電子お薬手帳ビューワー、他職種への周知を依頼

【2025.04.26配信】日本薬剤師会は電子おくすり手帳簡易ビューワーアプリ「e薬 SCAN」について、他職種への周知依頼を都道府県薬剤師会宛てに発出した。


【財政審】 後発薬調剤体制加算等、政策目標の達成状況を踏まえ「必要に応じ報酬体系の再編を」

【財政審】 後発薬調剤体制加算等、政策目標の達成状況を踏まえ「必要に応じ報酬体系の再編を」

【2025.04.23配信】財務省は4月23日に財政制度等審議会「財政制度分科会」を開催した。


ランキング


>>総合人気ランキング