【4月の調剤報酬特例措置】日本薬剤師会が取組事例など周知/薬剤師会作成のリストやシステムで在庫状況の共有など

【4月の調剤報酬特例措置】日本薬剤師会が取組事例など周知/薬剤師会作成のリストやシステムで在庫状況の共有など

【2023.02.06配信】日本薬剤師会は、令和5年4月1日からの診療報酬上の特例措置に関する各種通知・事務連絡等を都道府県薬剤師会などに送付した。特に地域支援体制加算では、新たな施設基準の追加があり、「地域の保険医療機関・同一グループではない保険薬局に対する在庫状況の共有」や「医薬品融通」などの取組事例が求められている。これらに関し、日本薬剤師会として具体的な内容の考え方を示したもの。


 令和5年4月1日からの診療報酬上の特例措置は、「オンライン資格確認の導入・普及に関する加算の特例措置」として「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」が一部加点されるほか、「医薬品の安定供給問題を踏まえた診療報酬上の特例措置」として「地域支援体制加算」の加点がある。

 特に、地域支援体制加算では、新たな施設基準の追加があり、「地域の保険医療機関・同一グループではない保険薬局に対する在庫状況の共有」や「医薬品融通」などの取組事例が求められている。
 こうした施設基準の追加に関して、日本薬剤師会として具体的な内容の考え方を示したもの。

 具体的には以下の通り。

 1.地域の薬局間での医薬品備蓄状況の共有と医薬品の融通に関する取組例
・地域の薬局に対して、自薬局の医薬品の在庫状況を薬剤師会等が作成しているリストやシステムを通じて情報提供を行うとともに、必要に応じて、同一グループではない薬局間において医薬品の融通や分譲を行う。
・自薬局の医薬品の在庫状況に関する情報提供について、他の薬局からの問い合わせなどがあった際には、融通・分譲可能な医薬品やその量などについて情報提供し、必要な対応を行う。

2.医療機関への情報提供(医薬品供給の状況、自薬局の在庫状況)、処方内容
の調整に関する取組例
・供給が不足している医薬品などについて、医療機関の診療科などの特性を踏まえた情報を自薬局の在庫状況等も含めて情報提供し、処方期間や内容等を調整する。
・直近の医薬品の流通状況を考慮して、患者の薬物治療が滞りなく継続的に受けられるよう、患者に丁寧な説明をするとともに、処方医と連携して対応する(同一銘柄の別剤形への変更、他のメーカーへの変更、同効薬への変更など)。
・供給が不足している医薬品などへの対応について、直近の医薬品の流通状況に鑑み、事前に医師に相談・確認し、予め必要な対応を取り決めておく。また、その対応については、患者に丁寧に説明すること。
3.医薬品の供給情報等に関する行政機関(都道府県、保健所等)との連携に関する取組例
・災害時の医薬品供給の対応のように、行政機関を介した備蓄医薬品の情報共有体制等の取組に協力する。
・薬剤師会において会員が従事する薬局の医薬品の在庫状況などの情報を行政機関に共有する。

 医薬品供給に関する取組も紹介した。

 「必要に応じた医療機関への情報提供」では、⾃薬局の在庫状況を、関係する医療機関の診療科などの特性に合わせて、必要な情報提供している例があるという。
 また、「地域薬剤師会が地域の薬局の在庫状況をリストで共有」では、地域の薬局の在庫状況を地域薬剤師会が取りまとめリスト化している事例もあるという。この情報共有を活⽤し、供給不⾜に地域で対応する体制を構築しているという。
 さらに、「薬剤師会において医薬品の分譲システムを作成」では、薬局間での医薬品の分譲がスムーズに⾏えるようシステム化している地域もある。支部単位で集められている情報を地区に検索範囲を拡⼤し情報の精度向上を図っているとした。
 いずれも、地域における医薬品供給に資する取組といえる。
 なお、日薬では、3月31日まで各都道府県薬剤師会で実施している取組事例の情報提供を受け付けている。施設基準の事例というだけでなく、社会に対しても薬局、薬剤師の取り組みや貢献を広く知ってもらうきっかけにもなるといえるだろう。

 なお、こうした措置は令和5年12月までの時限だが、措置の趣旨が、地域における取組をさらに促し定着させることであることから、12月以降も継続した取り組みが求められている。
 また、1月31日発出の疑義解釈資料では、こうした取り組みは「地域の実情に応じて対応すべきもの」であるともされている。

この記事のライター

関連する投稿


【財政審】調剤報酬の適正化の文言、ほぼなし/「春の建議」

【財政審】調剤報酬の適正化の文言、ほぼなし/「春の建議」

【2024.05.21配信】財務省の財政制度等審議会が5月21日に開かれ、“春の建議”となる「我が国の財政運営の進むべき方向」を公表した。その中で調剤報酬の適正化に関わる文言はほぼ書き込まれなかった。


【夜間休日リスト】道薬、非会員情報収集を開始/副会長の山田武志氏、リスト化は「薬局体制の見える化の契機」

【夜間休日リスト】道薬、非会員情報収集を開始/副会長の山田武志氏、リスト化は「薬局体制の見える化の契機」

【2024.05.14配信】6月の調剤報酬改定施行を控えて、都道府県薬剤師会での夜間・休日対応リスト構築が急ピッチで進んでいる。北海道薬剤師会(道薬)では直接、道内の薬局の情報をGoogleフォームなどを活用して収集。非会員の情報収集も開始している。


【日本薬剤師会】夜間・休日対応で通知/5月9日までに都道府県薬の対応状況を回答

【日本薬剤師会】夜間・休日対応で通知/5月9日までに都道府県薬の対応状況を回答

【2024.04.27配信】日本薬剤師会は都道府県薬剤師会担当役員宛てに「地域における夜間・休日の医薬品提供体制(在宅含む)の構築、 リスト化及び周知等について【重要】(その5)」を発出した。5月2日の算定に係る届出開始、6月の施行を踏まえ、日薬として全国的な準備状況について確認するため、5月9日までのアンケート回答を依頼している。


【ウエルシアHD】調剤、地域⽀援体制加算の経過措置終了も粗利率維持/各種加算の取り組みにより

【ウエルシアHD】調剤、地域⽀援体制加算の経過措置終了も粗利率維持/各種加算の取り組みにより

【2023.07.10配信】ウエルシアホールディングスは7月10日、2024年2月期 第1四半期連結業績(2023年3月1日~2023年5月31日)を公表した。調剤報酬においては地域支援体制加算の経過措置の終了があったが、同社調剤事業では、各種加算の取り組みにより粗利率は維持したという。


【調剤基本料1】NPhA会員薬局での算定率が3分の1に急減/日本保険薬局協会調査

【調剤基本料1】NPhA会員薬局での算定率が3分の1に急減/日本保険薬局協会調査

【2023.03.09配信】日本保険薬局協会は3月9日、定例会見を開き、調剤報酬の算定状況に関する会員調査結果を公表した。それによると、22年1月調査では61.5%あった「調剤基本料1」の算定比率が、23年2月調査では、19.5%へ、3分の1程度に急減していた。


最新の投稿


【OTC“自動販売機”】龍生堂本店で実証開始/大正製薬のサンドボックス制度

【OTC“自動販売機”】龍生堂本店で実証開始/大正製薬のサンドボックス制度

【2025.03.19配信】大正製薬株式会社(本社:東京都豊島区 社長:上原 茂氏)]は、ショッピングモールの薬局内にIoT(Internet of Things:モノのインターネット)化されたOTC販売機を設置し、第1類医薬品を含む一般用医薬品を販売する実証を、3月下旬(予定)より開始すると公表した。


【長期品の選定療養】「同一性への固執」による「医療上の必要性」認める

【長期品の選定療養】「同一性への固執」による「医療上の必要性」認める

【2025.03.18配信】厚生労働省は3月14日、「長期収載品の処方等又は調剤の取扱いに関する疑義解釈資料の送付について(その4)」を発出した。


【長期品の選定療養】患者が負担する「特別の料金」、医療費控除の対象/厚労省疑義解釈

【長期品の選定療養】患者が負担する「特別の料金」、医療費控除の対象/厚労省疑義解釈

【2025.03.18配信】厚生労働省は3月14日、「長期収載品の処方等又は調剤の取扱いに関する疑義解釈資料の送付について(その4)」を発出した。


【渡嘉敷奈緒美・元衆議院議員】次期衆院選へ出馬へ

【渡嘉敷奈緒美・元衆議院議員】次期衆院選へ出馬へ

【2025.03.16配信】渡嘉敷奈緒美・元衆議院議員が、3月15日に開かれた日本薬剤師会臨時総会で挨拶した。


【日本薬剤師会】上野清美氏が専務理事に就任

【日本薬剤師会】上野清美氏が専務理事に就任

【2025.03.16配信】日本薬剤師会の専務理事に上野清美氏が就任した。