6月の調剤報酬改定施行を控えて、都道府県薬剤師会での夜間・休日対応リスト構築が急ピッチで進んでいる。
北海道薬剤師会(道薬)では直接、道内の薬局の情報をGoogleフォームなどを活用して収集。道薬が構築している道民向けのサイト「どうやく ねっと」ですでにリストを公表している。
5月9日時点で道内の約2300薬局のうち、3割に当たる746薬局の情報を掲載済み。これには加算目的ではなくても掲載を希望する薬局の情報も含まれており、広く薬局の体制を把握するものとなっている。
これに加えて5月13日には、非会員の情報収集窓口となるページを北海道薬剤師会のHPに掲載した。非会員の掲載に関しては事務手数料として有料とする。なお非会員薬局数は約200。
道薬では当初からリスト化を積極的に進めるべきものとして位置付けてきた。
道薬副会長の山田武志氏は、「地域ごとの薬局の体制を“見える化”する良いきっかけとなっている」と受け止める。
「これまで、自分たちの地域の薬局の体制を表にして見ることがなかった。見える化した上で、体制に不足があるのであれば“じゃあ、どうするのか”ということが次のステップになる」と話す。
道薬では今回、「休日輪番薬局リスト」の提供も支部に依頼した。現状、構築できている地域ばかりではないため、全ての支部の体制が揃うのは難しいとの見方だが、対応している地域の情報を発信していくことは重要との考え。
一方、現実的には輪番を組むのも厳しくなっている地域もある。そういう地域の“次のステップ”は何が想定されるのか。この問いに山田氏は「例えば夜間・休日センターのような場所がカバーをしていくことも考えられる」とする。実際に、例えば帯広市は「帯広市休日夜間急病センター」を運営しており、薬剤師に関しては薬剤師会などが主体となって派遣しているようだ。これも難しくなれば近隣市町村との連携が選択肢になる。こうしたそれぞれの地域の医療実情も踏まえて薬剤師の対応も考えていくことになる可能性が示唆される。
「これまで、ともすると、門前の病院・クリニックへ視線が向いてしまっていた薬局が、地域の中での存在として目を向けるきっかけでもある。それは調剤だけではなくて、抗原検査キットや緊急避妊薬のほか、OTC薬も含めて地域にどう薬局が薬剤師サービスを提供していくかということにつながる。これは薬局・薬剤師の未来の振興にもつながることだと思っている」(山田氏)。
リスト作成・公開に携わる常務理事の大森嵩氏は、G-MISとの違いについては、「G-MISは全国一律のやり方だが、今回のリスト化は全国統一というよりも地域事情を汲んだ取り組みが反映できる余地があると思う」と指摘。道薬では6ブロックに分けてリスト化した。また大森氏は「何よりも薬剤師会自らがリスト化に携わったことに意味があると実感している」と指摘した。
【夜間休日リスト】道薬、非会員情報収集を開始/副会長の山田武志氏、リスト化は「薬局体制の見える化の契機」
【2024.05.14配信】6月の調剤報酬改定施行を控えて、都道府県薬剤師会での夜間・休日対応リスト構築が急ピッチで進んでいる。北海道薬剤師会(道薬)では直接、道内の薬局の情報をGoogleフォームなどを活用して収集。非会員の情報収集も開始している。
関連する投稿
【中医協_調剤その2】地域支援体制加算“都市部以外”での実績要件緩和を示唆
【2025.11.28配信】厚生労働省は11月28日に中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、「調剤その2」をテーマとした。この中で、事務局は地域支援体制加算“都市部以外”での基準緩和を示唆する資料を提示した。
【中医協_調剤その2】“地域別”の薬局損益率を提示/特別区の薬局で損益率高く
【2025.11.28配信】厚生労働省は11月28日に中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、「調剤その2」をテーマとした。この中で、事務局は“地域別”の薬局損益率を提示。特別市で損益率が高いことを示した。
【中医協_調剤その2】「集中率85%超の基本料1」の薬局、「GE加算3」多く
【2025.11.28配信】厚生労働省は11月28日に中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、「調剤その2」をテーマとした。この中で、事務局は「集中率85%超の調剤基本料1」の薬局に焦点を当てた。「集中率が高い薬局ほど備蓄品目数が少ないにもかかわらず、他の加算より高い点数の後発医薬品体制加算3を算定していた」とした。
【日本チェーンドラッグストア協会】「300店舗以上の区分廃止を」/調剤報酬改定で声明公表
【2025.10.17配信】日本チェーンドラッグストア協会は10月17日に定例会見を開き、調剤報酬改定における「300店舗区分」の見直しを求める声明を公表した。
【日本保険薬局協会】中医協「調剤」での「病院薬剤師」議論にコメント
【2025.09.11配信】日本保険薬局協会は9月11日、定例会見を開いた。この中で9月10日に開かれた中央社会保険医療協議会総会の「調剤について」の議論の中で病院薬剤師の不足に関して多くの意見が出たことについてコメントした。
最新の投稿
【補正予算_閣議決定】薬局は最大23万円を支援/医療・介護等支援パッケージで
【2025.11.28配信】政府は11月28日、2025年度補正予算案を閣議決定した。厚生労働省は「医療・介護等支援パッケージ」のうち、賃上げ・物価上昇に対する支援 として、5341億円(賃上げ1,536億円・物価上昇3,805億円)を計上。薬局には最大23万円を支援する。
【中医協_調剤その2】地域支援体制加算“都市部以外”での実績要件緩和を示唆
【2025.11.28配信】厚生労働省は11月28日に中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、「調剤その2」をテーマとした。この中で、事務局は地域支援体制加算“都市部以外”での基準緩和を示唆する資料を提示した。
【中医協_調剤その2】“地域別”の薬局損益率を提示/特別区の薬局で損益率高く
【2025.11.28配信】厚生労働省は11月28日に中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、「調剤その2」をテーマとした。この中で、事務局は“地域別”の薬局損益率を提示。特別市で損益率が高いことを示した。
【中医協_調剤その2】「基本料2」の薬局、損益率・額高いとの分析
【2025.11.28配信】厚生労働省は11月28日に中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、「調剤その2」をテーマとした。この中で、事務局は「基本料2」の薬局で損益率・額が高いとの分析結果を示した。通常、損益の高い結果が出た際には適正化が行われることが多い。
【中医協_調剤その2】「集中率85%超の基本料1」の薬局、「GE加算3」多く
【2025.11.28配信】厚生労働省は11月28日に中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、「調剤その2」をテーマとした。この中で、事務局は「集中率85%超の調剤基本料1」の薬局に焦点を当てた。「集中率が高い薬局ほど備蓄品目数が少ないにもかかわらず、他の加算より高い点数の後発医薬品体制加算3を算定していた」とした。