女性が健康を守るために、安心して、適切かつ安全に、緊急避妊薬にアクセスできる社会の実現を目指す「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト(通称:緊急避妊薬を薬局でプロジェクト)」では、2023年1月31日まで実施されている「緊急避妊薬のスイッチOTC化に係る検討会議での議論」に関するパブリック・コメント募集と引き続きの検討会の実施にあたり、WHO(世界保健機関)が勧告する「緊急避妊薬を必要とするすべての女性がアクセスできる権利」を実現するため、そして女性や子どもの健康を守るために、「緊急避妊薬のスイッチ OTC 化に伴うパブリック・コメント取り扱いに関する要望書」を伊佐進一厚生労働副大臣に提出した。
スイッチOTC化に向けての検討が2021年10月から行われており、今後パブリック・コメントを経て、今年度中の検討会での審議が見込まれている。同プロジェクトでは、セクシュアル・リプロダクティブヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康と権利/SRHR)の実現のため、全ての少女・女性が入手できるよう環境整備として、当事者の目線に立った緊急避妊薬のスイッチOTC実現を求めるとしている。
要望書の内容は以下の通り。(以下、要望書引用)
“
「緊急避妊薬のスイッチOTC化に係る検討会議での議論」に関するパブリック・コメント募集と引き続きの検討会の実施にあたり、WHO(世界保健機関)が勧告する「緊急避妊薬を必要とするすべての女性がアクセスできる権利」を実現するため、そして女性や子どもの健康を守るために、パブリック・コメントの取り扱いについて以下の通り要望します。
1、集まったパブリック・コメントの全件数、OTC化への賛成、反対それぞれの件数を公開してください。(2017年の検討の際、第3回「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」資料5-2で各件数が提示されています。)
2、今回のパブリック・コメントにおいて寄せられた緊急避妊薬の服用当事者や実際に今後服用の可能性がある人たちの意見・要望を真摯に受け止めてください。そして、若者をはじめ、地方在住者等よりアクセスしにくい状況にある人たちも含め、「緊急避妊薬を必要とするすべての女性がアクセスできる権利」が保証されるスイッチOTC化を実現してください。
本要望提出の背景は以下の通りです。
1、緊急避妊薬のスイッチOTC化に係る検討会議では、弊プロジェクトの代表者がこれまで2度に渡り、参考人として検討会議に参加致しました。しかし、その後2回の検討会には招致されず、また取りまとめにおいて十分に要望が反映されていない状況があり、市民の声が軽視されていると感じています。
2、2017年の「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」では、緊急避妊薬のOTC化についてパブリック・コメント348件中320件がスイッチOTC化に賛成の意を示していたにも関わらず、「時期尚早」として否決されました。
3、2019年の「『オンライン診療の適切な実施に関する指針』の見直しに関する意見の募集」の際は、1,652 件中1,528 件中が緊急避妊薬に関するもので、その中では「オンライン診療における緊急避妊薬については特段の条件を設けず処方すべき」「薬局で対面の上、内服するのは困難」といった意見も寄せられましたが、対面服用と3週間後の産婦人科受診約束の条件の見直しの議論には至りませんでした。同時に、その際には、「緊急避妊薬は市販化すべき(他国との比較におけるご意見多数)」という結果も提示されています。
4、WHOでは緊急避妊薬の提供に関して、下記のように勧告しています。「意図しない妊娠の危険にさらされているすべての女性と少女は、緊急避妊を受ける権利があり、これらの方法は、すべての国の家族計画プログラムに定期的に含まれるべきです。さらに、緊急避妊は、性的暴行後のケアや、緊急および人道的環境で暮らす女性や少女のためのサービスを含む、無防備なセックスにさらされるリスクが最も高い人々のためのヘルスケアサービスに統合されるべきです。」
”
なお、同プロジェクトの署名キャンペーンでは、2023年1月現在、約16万人の賛同者が得られている。
■アフターピル(緊急避妊薬)を必要とするすべての女性に届けたい!署名キャンペーン
https://www.change.org/afterpill
![【緊急避妊薬のスイッチOTC化】市民団体が伊佐進一厚生労働副大臣に要望書提出](/uploads/article/image/1957/card_%E5%9B%A3%E4%BD%93.png)
【緊急避妊薬のスイッチOTC化】市民団体が伊佐進一厚生労働副大臣に要望書提出
【2023.01.26配信】市民団体の「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト(通称:緊急避妊薬を薬局でプロジェクト)」は、「緊急避妊薬のスイッチ OTC 化に伴うパブリック・コメント取り扱いに関する要望書」を伊佐進一厚生労働副大臣に提出したことを公表した。要望書では集まったパブリック・コメントの全件数、OTC化への賛成、反対それぞれの件数の公開を求めている。
関連する投稿
【緊急避妊薬】調査事業で購入できたのは15%のみ/市民団体調査
【2024.06.10配信】市民団体の「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト」は6月10日、衆議院第一議員会館内で「院内勉強会」を開催した。
【2024.06.07配信】東京都薬剤師会(都薬)は6月7日、定例会見を開いた。
【2024.02.09配信】東京都薬剤師会は2月9日の会見で、同会が主催する緊急避妊薬の調剤に関する研修申込が増加している状況を明かした。
【24年度調剤報酬改定】「緊急避妊薬」の備蓄・相談体制が地域支援体制加算の施設基準に/薬局の貢献向上に期待感
【2024.01.30配信】厚生労働省は1月26日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、「個別改定項目(その1)」を提示した。点数なしの、いわゆる「短冊」だ。地域支援体制加算の施設基準には、緊急避妊薬の備蓄・相談体制が施設基準になった。女性の健康やSRHR(性と生殖に関する健康と権利)への薬局の貢献度の高まりに期待が寄せられている。
【市民団体】緊急避妊薬OTC化の試験的運用で要望書を厚労省に提出/染矢代表「調査が条件課す根拠に使われないか、非常に危惧している」
【2023.11.28配信】適切かつ安全に緊急避妊薬にアクセスできる社会の実現を目指す「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト」は11月28日、「緊急避妊薬OTC化の試験的運用の周知、及び迅速かつ全面的なOTC化実現を求める要望書」を厚生労働省に提出した。厚労省は医薬局医薬品審査管理課長の中井清人氏が受け取った。同日、試験的運用が開始されたことを受けたもの。
最新の投稿
【厚労省】“研究用”抗原検査キット、薬機法で取り締まりの方向/該当性判断の上
【2024.07.25配信】厚生労働省は7月25日に「厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会」を開催し、体外診断用医薬品の特性を踏まえた制度の見直しについて議論した。その中で「研究等の医療以外の用途を標榜する試薬の提供業者への対応」を議題とした。
【2024.07.24配信】日本薬剤師会は7月24日、都道府県会長協議会を開催した。
【2024.07.19配信】厚生労働省は、現在3年間となっている処方箋の保存期間について見直す方針を示した。「第7回薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」で提示した。診療録の保存期間が5年となっている中、電子処方箋については処方箋を調剤済みとなった日から5年間保存するサービスを提供しているなどの環境変化を挙げている。今後、制度部会で議題とする方針。
【コンソーシアム】大阪市から調剤外部委託で4社8薬局が確認通知受領を公表
【2024.07.19配信】薬局DX推進コンソーシアムは7月19日、大阪市から調剤業務一部委託事業の確認通知を受け取ったと公表した。
【日本保険薬局協会】健康サポート薬局と地域連携薬局「違いない」/厚労省検討会に意見書
【2024.07.19配信】日本保険薬局協会は7月19日に開かれた厚労省「第7回 薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」で意見書を提出した。「健康サポート薬局、地域連携薬局、地域支援体制加算届出薬局が描く薬局像は、小異こそあれ、分立させるほどの違いはない」とした。