【日本薬剤師会】調剤報酬改定答申へのコメント公表/医薬品安定供給への措置に謝意示す

【日本薬剤師会】調剤報酬改定答申へのコメント公表/医薬品安定供給への措置に謝意示す

【2022.12.23配信】日本薬剤師会は12月23日の中医協で調剤報酬改定に係る答申がされたことを受けて、コメントを公表した。


 公表したコメントは以下の通り。

■診療報酬 (調剤報酬) 改定に係る答申等を受けて
 
 本日、 中央社会保険医療協議会において、 12月21日の大臣折衝事項等に基づき、オンライン資格確認の導入の原則義務付けに係る対応や、 医薬品の安定供給に係る取り組みの推進に向けた診療報酬上の加算の取り扱いなどについて、 加藤厚生労働大臣へ答申が行われました。

 オンライン資格確認の導入の原則義務付けの議論では、都道府県薬剤師会で収集いただいた会員の意見を基に、現場が困らないよう丁寧な対応を求めてきました。 これらの意見を踏まえた形で経過措置が設けられたことは、都道府県薬剤師会並びに会員の方々によるご協力の結果であり、大変感謝申し上げます。

 オンライン資格確認の導入の原則義務付けに係る対応に関しては、マイナンバーカードを用いない場合の診療情報・薬剤情報等の取得に係る負担や、オンライン資格確認の導入・普及を徹底していく観点から、 診療情報・薬剤情報等を取得・活用した質の高い医療を提供する体制等に係る評価を特例措置として設けられることとなりました。

 さらに、医薬品の安定供給に係る取り組みの推進に向けた対応に関しては、医療用医薬品の不安定な供給状況が続く中にあっても、 医薬品を必要とされる方々に安定的に提供し、 安心して治療が継続できるようにする取組を推進する観点から、薬局が地域の医療機関や薬局間と連携するなど対応していくことに係る評価の特例措置を設けられることとなりました。

 これらの対応は、保険医療財政の厳しい状況の中、 現在、調剤に取り組んでいる保険薬局・保険薬剤師の業務への評価であり、謝意を表するものであります。

 一方で、 来年度は薬価の中間年改定が行われます。 令和5年度の薬価改定については、 12月16日の内閣官房長官・財務大臣・厚生労働大臣による合意として、改定対象範囲は平均乖離率 (7.0%)の0.625倍を超える品目を対象とすることが決まりました。 薬価の中間年改定は、 国民の負担軽減のために市場実勢価格を適時に薬価に反映することを目的にするものであり、これに反対する理由はありません。

 しかしながら、 本会としては、 平成28年12月の4大臣合意に基づき、 改定範囲は価格乖離が大きい品目に限定すべきと主張してきたにもかかわらず、 前回の薬価の中間年改定と同様の対象範囲とされたことは誠に残念であり、大変厳しい内容になったと受け止めております。

 また、現状の急激な原材料費の高騰、医薬品の供給問題やイノベーション等への配慮の対応を強く求めてきた結果、臨時的・特例的な措置として、不採算品目は安定供給の観点から薬価を引き上げ、新薬は新薬創出等加算品目の薬価をできる限り維持する対応がなされたことは、一定の評価ができるものと考えます。

 ただし、医薬品の安定供給に係る問題は、薬価制度だけで解決できるものではなく、医薬品産業の構造を抜本的に見直し、必要な措置を講じていくことが不可欠です。 本会としては、「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」での議論などの動きも踏まえ、 令和6年度の薬価制度の抜本改革に向けた議論を展開していくことが必要であると考えております。

 今回の答申並びに薬価改定における対応は、今後の医療DXの推進や医薬品の供給問題への取り組みに関して、大きな意味を有しているものであり、 本会としてもこれらの取り組みが着実に進むよう、引き続き尽力して参る所存です。

令和4年12月23日
日本薬剤師会

この記事のライター

関連するキーワード


日本薬剤師会 調剤報酬改定

関連する投稿


【中医協】医療DX推進体制加算、10月から3区分に/マイナ保険証利用率に応じて

【中医協】医療DX推進体制加算、10月から3区分に/マイナ保険証利用率に応じて

【2024.07.17配信】厚生労働省は7月17日に中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開催し、医療DX推進体制整備加算の取り扱いについて議論した。


【日本薬剤師会】感染対策に関する研修プログラムをHPに掲載

【日本薬剤師会】感染対策に関する研修プログラムをHPに掲載

【2024.07.04配信】日本薬剤師会はこのほど、ホームページで感染対策に関する研修プログラムの内容を掲載した。


【日本薬剤師会】女性役員の比率が2割超に/新執行部

【日本薬剤師会】女性役員の比率が2割超に/新執行部

【2024.07.01配信】日本薬剤師会は6月30日に定時総会を開き、新執行部を選任した。会長に選任された岩月進氏は女性や若手を積極的に登用。役員に占める女性の割合は2割を超えた。


【日本薬剤師会】新執行部採決結果

【日本薬剤師会】新執行部採決結果

【2024.06.30配信】日本薬剤師会は6月30日に定時総会を開き、新執行部選任の議案について採決を行った。


【DX加算】マイナ使用率議論に言及/日薬森副会長

【DX加算】マイナ使用率議論に言及/日薬森副会長

【2024.06.29配信】日本薬剤師会は6月29日に定時総会を開催。午後に開かれたブロック代表質問では、令和6年度調剤報酬改定で新設された「医療DX推進体制整備加算」についてマイナ保険証の利用実績という要件の議論について質問があった。


最新の投稿


【厚労省】“研究用”抗原検査キット、薬機法で取り締まりの方向/該当性判断の上

【厚労省】“研究用”抗原検査キット、薬機法で取り締まりの方向/該当性判断の上

【2024.07.25配信】厚生労働省は7月25日に「厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会」を開催し、体外診断用医薬品の特性を踏まえた制度の見直しについて議論した。その中で「研究等の医療以外の用途を標榜する試薬の提供業者への対応」を議題とした。


【日薬】オーバードーズ問題でマニュアル作成を検討中

【日薬】オーバードーズ問題でマニュアル作成を検討中

【2024.07.24配信】日本薬剤師会は7月24日、都道府県会長協議会を開催した。


【厚労省】処方箋保存期間の検討を提示/薬局検討会

【厚労省】処方箋保存期間の検討を提示/薬局検討会

【2024.07.19配信】厚生労働省は、現在3年間となっている処方箋の保存期間について見直す方針を示した。「第7回薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」で提示した。診療録の保存期間が5年となっている中、電子処方箋については処方箋を調剤済みとなった日から5年間保存するサービスを提供しているなどの環境変化を挙げている。今後、制度部会で議題とする方針。


【コンソーシアム】大阪市から調剤外部委託で4社8薬局が確認通知受領を公表

【コンソーシアム】大阪市から調剤外部委託で4社8薬局が確認通知受領を公表

【2024.07.19配信】薬局DX推進コンソーシアムは7月19日、大阪市から調剤業務一部委託事業の確認通知を受け取ったと公表した。


【日本保険薬局協会】健康サポート薬局と地域連携薬局「違いない」/厚労省検討会に意見書

【日本保険薬局協会】健康サポート薬局と地域連携薬局「違いない」/厚労省検討会に意見書

【2024.07.19配信】日本保険薬局協会は7月19日に開かれた厚労省「第7回 薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」で意見書を提出した。「健康サポート薬局、地域連携薬局、地域支援体制加算届出薬局が描く薬局像は、小異こそあれ、分立させるほどの違いはない」とした。


ランキング


>>総合人気ランキング