電子処方箋に必要な電子署名は以下の通り。
(a)HPKIカード(HPKIの監査基準を満たす認証局)
(b)民間の電子署名サービス(「適切な外部からの評価」を受けた事業者」)
(c)マイナンバーカードによる電子署名(公的個人認証法に基づき電子的な資格確認に対応した「公的個人認証サービス」による電子証明書が発行された場合)
(a)のHPKIについて、これまでも日本薬剤師会認証局や一般財団法人医療情報システム開発センター(MEDIS-DC)で発行業務が行われてきたが、日本薬剤師会認証局ではいったん受付を停止していた。
日本薬剤師会認証局では9月26日(月)から申請書作成支援サービスをオープンし、準備の整った薬剤師会から順次薬剤師資格証の交付を開始していくとした。
再開にあたり発行費用の見直しを行い、引き下げを行った。
これまで発行費用と、年間の運用費に分けていたが、発行費用とカード有効期間5年分の利用費を統合。発行時に一括で以下の料金を支払う形式とした。
定価(非会員) 24,000円/5年(税抜)
会員割引価格 18,000円/5年(税抜)
26日(月)の再開に先行して、9月16日(金)から必要書類の取り揃えサポート機能についてオープン。日本薬剤師会認証局では「必要な書類についてご確認の上、ご準備を進めていただきますようお願い申し上げます」としている。
(a)HPKIカードをめぐっては、日本保険薬局協会がこれまで、会員と非会員の価格差について懸念を表明してきた。今回の料金改定では、この差を小さくするものとなっている。
なお、(b)民間の電子署名サービスについては基準の検討が開始されており、10月にも民間企業からの申請を受け付ける見込みと伝わる。
民間サービスの価格などの条件次第では(b)が広がる可能性も残っている。
(c)マイナンバーカードによる電子署名については、デジタル庁などの関与の下、令和6年度からの開始が見込まれている。
調剤チェーンやドラッグストア企業の間では、いずれ(c)のマイナンバーカード利用に集約されるとの見方が強く、HPKIは2年間の“つなぎ”としての存在ではないかとの指摘がある。
マイナンバーカード活用に集約されるのかについて、見通しはいまだ不透明感は拭えない。9月5日に開かれた社会保障審議会医療部会でも、委員から「今後は資格電子署名は1つに集約されるのか」という趣旨の質問がいくつか出たが、それに対し、事務局は併存すると受け取れるような回答をしていた。次のように回答した。「HPKIカードは電子的な医療文書を医師等の医療職種本人が作成したことを証明するものであり、マイナンバーカードでは本人が電子的な文書を作成したことを証明するが、本人が医師等の医療職種であるかどうかを証明する機能は有していない」。
こうした「今後」ではなく、「現状」の説明にとどまっているとも受け取れる釈然としない回答になる背景には、(c)マイナンバーカードによる電子署名については、デジタル庁などが関与するため、厚労省の担当者だけで明言できないことや、まだ見通しが断言できないことがあるといえそうだ。
いずれにせよ、2023年1月の電子処方箋開始に向けて、大きく動き出した薬剤師電子署名の環境整備。今後、週単位で業界に動きが出てくる可能性もありそうだ。
【日本薬剤師会認証局】HPKIの申請を9月26日(月)から受付開始
【2022.09.20配信】日本薬剤師会が薬剤師資格証を発行する目的で会内に設置している日本薬剤師会認証局はこのほど、いったん停止していたHPKI申請受付を9月26日(月)から再開するとした。9月16日(金)からは、事前準備に資するサイトを先行して公開している。HPKIは、2023年1月から開始される電子処方箋に必要となる薬剤師などの資格者電子署名。
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