協会が公表したコメントは以下の通り。
■電子処方箋についてのコメント
○ 電子処方箋の施行まで4か月を切り、さらに、モデル事業も全国4か所で開始されるなど、 実施に向けた機運も高まってきた。
○電子処方箋では、複数の医療機関や薬局で直近に処方・調剤された情報の参照、重複投葉のチェックのほか、紙処方箋の入力作業や保管が不要となり、この結果、より丁寧な患者対応への注力や医療機関・薬局間のコミュニケーションの円滑化が図られるとされているところである。
当協会としても、この事業がオンライン資格確認とあいまって、調剤事業の高度化や薬局経営の効率化に大きく寄与するものと期待しており、会員企業も、その実装に向けて準備に注力しているところである。
○ 他方、準備が進むにつれて、 様々な課題も明らかになってきた。
○ すでに、当協会では、令和5年1月開始予定の電子処方箋に関し、 ①HPKI カードのみを前提としない柔軟なシステムとすること、②その前提として HPKI カードの発行維持に要する費用が高額になることの懸念について厚生労働省に要望してきた。
○ 第1の、 「HPKI カード以外の民間の電子署名サービス」について、厚労省では、有識者会議を設けてその基準等を検討する旨明らかにしている。
当協会としては、今回策定される基準等は、 実際に民間事業者が参入可能な現実的な基準等でないと意味がないと考えており、現実的な基準等の策定により、 来年1月のスタート時に、 民間署名サービスが利用可能な状況になることを期待している。
第2の「HPKI カードのコスト問題」については、 まず、認証局である日本薬剤師会が近々、大量発行に対応した料金体系を発表する予定と承知しており、さらに、厚生労働省が発行費用の補助に関する予算措置を検討していると伺っている。
当協会としては、これら動きを歓迎している。 HPKI カードは極めて公共的な性格を持つことに鑑み、このカードの新たな料金体系は、 料金における薬剤師会会員・非会員での差を廃するなど、透明で合理的な体系となることを期待している。
また、厚労省の予算措置には大いに期待している一方、 予算措置が執行されるまでカード申請を待つといった動きにならないよう、早期に料金に反映するための工夫も願いたい。
○ HPKI カードの発行は、この秋から日本薬剤師会本部で再開されると聞いている。 スムースな発行を期待しているが、現実的には、 電子処方箋のスタートまでに、 薬局側が求める枚数をすべて発行できない可能性も想定せざるを得ない。
このような状況の中で、「申請をどういう形(個人・会社)で行うのか」、 「発行の優先順位(先着順?まさかチェーンは後回し?のような不安)をどのようにつけるのか」、「カード発行の状況」等について、ルールを明らかにし、進捗状況を関係者間で共有していくことが望まれる。 また、 厚労省も、このルール策定や進捗モニタリングの場の設定等全関係者が理解を共有できるような環境づくりを図り、 電子処方箋の円滑なスタートに向けて、積極的なコミットをお願いしたい。
また、会員企業の内部においても、例えば(当協会アンケートでも各社の意見が割れているが) HPKI カードの取得・維持に要する費用を会社負担とするのか、 本人負担とするのか、会社の補填をどうするのか申請に関する業務を会社が取りまとめるのか、優先順位をどうつけるか、事務負担の大きさはどの程度かなど、 様々な課題が明らかとなっている。
○今後とも、電子処方箋の施行に向けて様々な課題が明らかになってくると考えており、引き続き、何よりもその円滑な実施のため、課題の拾い上げや、解決に向けて積極的に取り組んでまいりたい。

【日本保険薬局協会】HPKI以外の現実的な基準の早期策定を要望/「来年1月スタート時に民間サービス利用可能な状況に」
【2022.09.09配信】日本保険薬局協会は9月8日に定例会見を開き、電子処方箋などでの資格確認システムとして使用されるHPKIに関する要望文書を公表した。HPKI以外の現実的な基準を策定し、来年1月スタート時に民間サービスが利用可能な状況になることを求めている。
関連する投稿
【日本保険薬局協会】“薬剤師会作成の薬局リスト”、24%が掲載なし/会員薬局調査
【2025.04.10配信】日本保険薬局協会は4月10日、定例会見を開いた。その中で、薬剤師会が作成した薬局情報リストについての調査結果を公表。24%が掲載がなかったという。協会としては「網羅性に欠ける状況が分かった」としている。一方、活用状況は向上している。
【日本保険薬局協会】マイナ保険証受付方法で要望/「在宅Web」を外来にも
【2025.02.13配信】日本保険薬局協会は2月13日に会見を開き、マイナ保険証の受付方法についての要望をまとめ、公表した。現在、在宅医療現場で活用しているWeb方式を通常の外来でも活用できるようにすることなどを求めている。
【2025.01.20配信】厚生労働省は1月23日から、電子処方箋の院内処方登録機能のプレ運用を開始する。
【日本保険薬局協会】「1社流通」調査/理由の説明あったのはわずか「7.1%」
【2025.01.16配信】日本保険薬局協会は1月16日、定例会見を開き、「1社流通」に関する調査結果を公表した。「一社流通」はメーカーが卸を限定して流通させている医薬品のことで、価格交渉の余地が小さく、薬価の「単品単価交渉」「銘柄別評価」の原則の中で、薬価形成に問題があるのではないかとの指摘が出ているもの。薬局・医療機関からは1社流通の場合は、メーカーからその理由について説明を求める声が高まっている。1社流通品のある多くの薬局で、卸変更や納品時期確認を余儀なくされているだけでなく、患者への欠品対応や継続服用の中断といった供給上の問題も発生していた。
【日本保険薬局協会】「壁を取り除くことから」/薬局間連携に意欲、三木田会長
【2025.01.16配信】日本保険薬局協会は1月16日に定例会見を開いた。この中で会長の三木田慎也氏は、薬局間連携に意欲を示すとともに、会員からは「イメージしづらい」との声もあることを紹介した上で、「まずは壁を取り除くことが必要ではないか」との見方を示した。協会としては、協会の持つ機能を地域の財産としていかに活用してもらうかがテーマだとした。
最新の投稿
【規制改革WG】事前処方・調剤の質疑への回答公表/在宅医療における円滑な薬物治療の提供で
【2025.05.01配信】規制改革推進会議「健康・医療・介護ワーキング・グループ(第5回)」が5月1日、開催された。その中で令和7年3月14日に開催された「第2回健康・医療・介護 WG」に関する委員・専門委員からの追加質疑・意見に対する厚生労働省の回答を公表した。
【東京都薬務課】健康食品試買調査結果、79%が違反/効能効果の標榜に販売店のチラシなども注意
【2025.04.30配信】東京都薬務課は4月30日に定例会見を開き、都が毎年行っている健康食品試買調査の結果を説明した。124製品中、98製品、79%に不適正な表示、広告が発見されたという。医薬品的な効能効果の標榜を禁止している薬機法違反も多いが、景品表示法、食品表示法、特定商取引法などの違反も見られる、都では複数の法律で規制されている健康食品を取り扱う事業者に向けて講習会を開いており、講習会参加なども生かして法令遵守に取り組んでほしいとしている。
【厚労省_疑義解釈(その24)】DX加算のマイナ保険証利用率について
【2025.04.28配信】厚生労働省は4月25日、診療報酬改定についての「疑義解釈(その24)」を発出した。「医療DX推進体制整備加算」の施設基準の1つであるマイナ保険証利用率について回答。4月については在宅患者を分母から引いて構わないとしている。現在は通常の外来患者がマイナ保険証を利用した場合のみが反映されているため。5月以降については、居宅同意取得型のオンライン資格確認によるマイナ保険証利用件数が社会保険診療報酬支払基金から通 知するマイナ保険証利用率集計に含まれる予定。
【日本薬剤師会】電子お薬手帳ビューワー、他職種への周知を依頼
【2025.04.26配信】日本薬剤師会は電子おくすり手帳簡易ビューワーアプリ「e薬 SCAN」について、他職種への周知依頼を都道府県薬剤師会宛てに発出した。
【財政審】 後発薬調剤体制加算等、政策目標の達成状況を踏まえ「必要に応じ報酬体系の再編を」
【2025.04.23配信】財務省は4月23日に財政制度等審議会「財政制度分科会」を開催した。