公開された研修スライドは、前半「~制度と実務~」、後半「~オンライン服薬指導とセキュリティ~」に分かれている。前半では制度概要を説明。後半ではセキュリティ及びプライバシー保護の観点からの対策を列記。「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の内容を参考にしている。
オンライン服薬指導を実施する通信環境に係る主たる関連法令としては、「個人情報の保護に関する法律」や「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」、「医療情報を取り扱う情報システム・サービスの提供事業者における安全管理ガイドライン」などがある。
具体的に薬剤師が行うべき対策としては、「薬剤師がいる空間に服薬指導に関わっていない者がいるかを示す」ことや、「患者がいる空間に第三者がいないか確認」することが求められる。ただし、患者がいる空間に家族等やオンライン服薬指導支援者がいることを薬剤師及び患者が同意している場合は除かれる。
プライバシーが保たれるように、患者側、薬剤師側ともに録音、録画、撮影を同意なしに行うことがないことを確認することも必要。
利用するシステムが「オンライン服薬指導システム」か、「汎用サービス」かによって講じる対策が異なるとし、汎用サービスを用いる場合は例えば、第三者がオンライン服薬指導に参加することを防ぐため「薬剤師側から患者側につなげることを徹底すること」が必要になるとしている。
特に汎用サービスを利用する場合に講じるべき対策は付加される。次のようなものがある。
▶端末立ち上げ時、パスワード認証や生体認証などを用いて操作者の認証を行うこと。
▶汎用サービスがアドレスリストなど端末内の他のデータと連結しない設定とすること。
汎用サービスに内在するリスクを理解し、必要な対策を行う責任が専ら薬剤師に発生するということを理解する必要があるとする。
オンライン服薬指導等をめぐっては、今年3月31日付けで改正省令が公布されている(同日施行)。同改正では、「薬剤師の責任・判断により初回からオンライン服薬指導を実施可能とすること」「オンライン診療・訪問診療において交付された処方箋以外の処方箋においてもオンライン服薬指導の実施を可能とすること」「服薬指導計画の見直し」等が行われている。
日本薬剤師会では、「オンライン服薬指導の実施にあたっては、その特性を理解した上で有効に活用できるよう適切な体制整備等を行いつつ、患者の個別の状況に応じて薬剤師が薬学的知見に基づき適切にご対応頂きますようお願い申し上げます」としている。
オンライン服薬指導の実施にあたっては、薬学的知識のみならず、情報通信機器の使用や情報セキュリティ等に関する知識が必要となるため、「薬局開設者は、オンライン服薬指導を実施する薬剤師に対し、オンライン服薬指導に特有の知識等を習得させるための研修材料等を充実させること」とされていることも付記している。
日本薬剤師会では、厚生労働省「令和3年度薬剤師の資質向上に向けた研修に係る調査・検討事業(ICTを活用した業務等に係る薬剤師の資質向上)」を受け、薬剤師の資質向上のためのICT研修プログラム並びにe-ラーニング資材等を作成。このうち、同事業で作成したオンライン服薬指導に係るスライドを今回、サイトで公開したもの。
一連のICT研修プログラムとe-ラーニング資材等については、今年4月中をメドに別途構築中の「薬剤師研修プラットフォーム」で公開予定という。オンライン服薬指導についても、今回公開の掲載スライドに基づき講師が解説する形式を予定しているとしている。
■公開された研修スライド
https://www.nichiyaku.or.jp/pharmacy-info/onlinemedicationinstruction/
【日本薬剤師会】オンライン服薬指導の研修内容公開/「通信は薬剤師側から発信」/具体的な運用手法示す
【2022.04.07配信】日本薬剤師会は4月7日、薬剤師向けにオンライン服薬指導に関するページをサイトに追加した。「オンライン服薬指導に関する研修スライド」を公開。意図しない第三者の参加を避けるためにも通信時は薬剤師側から発信とし、患者側からの発信としないようにすることなど、具体的な運用手法を示している。これらは通知のほか、適用すべき「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に準拠している。また、「薬局開設者はオンライン服薬指導に特有の知知識等を習得させるための研修材料等を充実させること」とされており、今後、研修の拡充が求められるところだ。
関連する投稿
【独自_3団体トップ鼎談③】「患者のためなのか」を問われた令和8年度調剤報酬改定/日本薬剤師会
【2026.09.27配信】日本薬剤師会(日薬)は、令和8年度調剤報酬改定について「患者のためなのかが問われた改定」との受け止めを明かした。都市部への新規出店に対して減点するとの措置についても、薬局集積について「患者が望んだことなのか」という考え方が成り立つとし、医療リソースの足りていない地域への対応を国として考えていくことの表れだとの見方も示した。日薬が取り組む「地域医薬品提供体制」によって、全国津々浦々に薬剤師のサービスを提供していく必要があると語った。
【2026.09.14配信】日本薬剤師会はこのほど、公式SNSを相次いで開設した。今後、会員や一般の薬剤師から広く意見を募るような参加型の取り組みも試みたいとの考えを示した。
今年の秋は新潟へ! 「第59回日本薬剤師会学術大会」見どころ紹介
【2026.07.24配信】「第59回日本薬剤師会学術大会」が2026年10月11日(日)~12日(月・祝)の2日間、新潟で開催される(大会運営委員長:新潟県薬剤師会会長荻野構一氏)。本記事では同大会の見どころを紹介する。
【日薬学術大会(新潟)会見】「2040年を目指す薬剤師の起爆剤」に/大会長・荻野構一氏(新潟県薬剤師会会長)
【2026.07.22配信】今年10月に開催を予定している日本薬剤師会学術大会(新潟)の会見が開かれた。
【日本薬剤師会】“骨太”記載の“女性の健康”機能強化「日薬としても取り組む」
【2026.07.22配信】日本薬剤師会は7月22日に都道府県薬剤師会の会長協議会を開催した。この中で先ごろ閣議決定した「骨太方針」の内容について説明。記載された女性の健康に関する機能強化について、日薬としても取り組んでいくとの考えを示した。
最新の投稿
【日本保険薬局協会】アイン敷地内薬局裁判めぐり、改めての処分「考えていない」
【2026.10.08配信】日本保険薬局協会は10月8日に定例会見を開いた。
【日本保険薬局協会】中医協への参加要望「2号側でなく“産業”側で」
【2026.10.08配信】日本保険薬局協会は10月8日、定例会見を開き、骨太方針への見解を公表。この中で社会保障審議会の関係部会、および中医協への保険薬局事業者を代表する委員の参画を求めた。
【日本保険薬局協会】骨太方針へ見解表明/「治験支援薬局」にも積極的に取り組む
【2026.10.08配信】日本保険薬局協会は10月8日に定例会見を開催。政府から公表された骨太方針に対する見解を表明した。
【中医協】日薬渡邊副会長、包装単位考慮を要請/全錠出ないと「平均乖離率割っている状況」
【2026.10.07配信】厚生労働省は10月7日に中央社会保険医療協議会(中医協)薬価専門部会を開き、「令和9年度薬価改定について」を議論した。この中で日本薬剤師会副会長の渡邊大記氏は、改めて製薬産業に対し、販売包装単位への考慮を求めた。
【2026.10.07配信】日本病院薬剤師会(日病薬)は10月7日に定例会見を開き、厚労省の令和9年度概算要求について、歓迎する意向を示した。