規制改革推進会議WGは、「責任の所在」について、整理した資料を提示した。
この中で、「調剤行為の外部委託に関する責任分担について(日本法における整理)」として、次のようにまとめた。
• 処方箋を受領した薬局又は薬剤師の患者に対する民事責任は、調剤行為の委託前後で、重くはならない。
• 薬剤師については、所属する薬局(委託薬局)の判断で調剤行為を外部に委託する場合においても、刑事責任・行政責任ともに、現行より重くなることは基本的にはない。
• 記録の保管はより重要となる。
図説においては、業務上過失致死傷等の刑事責任は別途、薬剤師法の法人処罰はありうるがあくまで薬剤師個人の処罰が前提となるとした上で、刑事責任は受託側の薬剤師だとした。また、薬剤師法上の免許取消等の行政責任についても受託側薬局の薬剤師とした。その他に、 委託薬局の開設者や受託薬局の開設者を対象とする業務停止や薬局開設許可取り消し処分も想定される(薬機法)とした。
また、民事の責任については患者との契約責任として構成する場合には、委託薬局が責任を負うことが基本となるとし、他方、不法行為責任として構成する場合には薬局(使用者責任)と(専門資格者である)薬剤師個人の双方が法的責任を負う(また受託と委託は共同不法行為責任の可能性)とした。
加えて、委託薬局と受託薬局の最終的な責任分担については、契約上薬剤の鑑査を行うこととされている当事者、過失割合等によって、委託薬局の責任に差異が生じうるとした。
この資料は弁護士の國峯孝祐氏が提示したほか、別のWGで委員を務めている弁護士である落合孝文氏からのサポートも得られたものだという。
日本薬剤師会「薬剤師の職務は国民からの負託」/「処方箋を応需した薬剤師はその調剤の全ての責任を負う」
一方、日本薬剤師会は会議側からの質問への回答の中で、「薬剤師(個人免許)の職務は国民からの負託」であるとした上で、「処方箋を応需した薬剤師はその調剤の全ての責任を負う」との考えを表明しており、会議側の整理とは乖離がある。
また日本薬剤師会は、「組織対組織の委受託契約があったとしても薬剤師個人の責任は免れない」という考えに加え、「薬剤師(個人)の意図に反し、所属組織の決定による外部委託であれば、委託・受託の双方の当事者意識は、さらに希薄となることが懸念される」ともし、組織と薬剤師個人の意識の乖離を懸念する意見も提示した。