調剤業務の外部委託に関しては、令和3年4月にも規制改革推進会議「第12回 医療・介護ワーキング・グループ」でも議論されていた。その後、令和4年1月19日 に開催された「第1回 医療・介護・感染症対策ワーキング・グループ」でも議論された。このほど、1月の議事録が公開されたもの。
調剤業務の外部委託は、厚労省が「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」の下に設置した「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」で議論されることも決まっている。議論の中では責任の所在の明確化が論点の一つにもなるとみられている。
こうした中、公開された1月の会議議事録では、説明者として参加したファルメディコ社長の狭間研至氏は「処方箋を受けた薬剤師が全ての責任を負うことが重要」と語っていた。
狭間氏は、スライドで「外部委託のスキーム案」を示しつつ、次のように述べていた。
「スライドで御説明させていただきたい。A薬局というのはいわゆるパパママと言われるとこで、なかなか効率化が難しい。その一方で、その地区には調剤機器、薬局パートナーというのは薬剤師さん以外のトレーニングをした人ですけれども、そこを使わせてもらうという感じです。今、調剤のクリーンルームの共同利用というのが行われています。医療機関においてはCTやMRIを地区のドクターが共同利用するというスキームもございますけれども、重要なことは、薬剤師さんAが全部そこのことをする。もちろんこれは自分が行っていると効率化になりませんので、調剤機器とか薬局パートナーさんの仕組を自分でも定期的にチェックをしながら、薬剤師さんの管理監督の下、個別具体的な指示で行う。(中略)重要なことは薬剤師さんAが全責任を負うということ。そして、薬局Bも薬局Aも地域の医療品の供給拠点、特に災害時も含めて、そういったものとして機能するような仕組が要る。外部の委託ではあるのですけれども、委託という言葉ではなくて、この地域にあるリソースをうまく使うということが重要ではないかなと思います」(狭間氏)。
また、外部委託以外にも手法はいろいろあるとした上で、重ねてその場合の責任も処方箋を受け付けた薬剤師が全て負うことが重要としていた。
「外部委託と称されることが全てではなくていろいろなものがあります。いろいろなやり方があると思います。そして、重要なことは、やはり薬剤師さんで、今回、完全に委受託にしたときに、対人業務しかやらない人と対物業務しかしない人というように、1つの免許の中で2つの職種ができるようなことは、ちょっと違和感を覚えるところがございますので、その辺、やはり薬剤師さんは処方箋を受けた人が、全部その患者さんの責任を負う。ここの辺りは、きちんと法的な整備も要るのではないかなと思いました」(狭間氏)。
加えて、配送中の品質管理についてはドローンの温度湿度管理技術が活用できるとした。
「PTPの形から出して一包化しますので配送中の品質管理、これは重要だと思います。これは今、ドローンの医薬品輸送のガイドラインも出ておりますが、温度湿度の維持技術が応用できるでしょう」(狭間氏)。
【調剤の外部委託】狭間氏「処方箋を受けた薬剤師が全ての責任を負うことが重要」/規制改革推進会議議事録で
【2022.03.01配信】内閣府の規制改革推進会議「医療・介護・感染症対策ワーキング・グループ」(WG)は3月1日までに、第1回の会議議事録を公開した。それによると、調剤業務の外部委託の議論の中で、説明者として参加したファルメディコ社長の狭間研至氏は「処方箋を受けた薬剤師が全ての責任を負うことが重要」と語っていた。会議は1月29日に開催されたもの。
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