【中医協公聴会】薬剤師会・有澤氏、後発薬の現状を質問/発表者の青木氏「患者さんに小分けしながらお渡し」「入手できなかった分をお届けに行く」

【中医協公聴会】薬剤師会・有澤氏、後発薬の現状を質問/発表者の青木氏「患者さんに小分けしながらお渡し」「入手できなかった分をお届けに行く」

【2022.01.21配信】厚生労働省は1月21日、中央社会保険医療協議会総会(公聴会)を開催した。その中で日本薬剤師会常務理事の有澤賢二氏は薬剤師の立場からの発表者である保険調剤薬局つつみ(宮崎県小林市)の青木浩朗氏に質問。後発医薬品の現状などについて聞いた。青木氏は、後発医薬品の現状において、すべての日数を渡すことができないために、小分けして患者に渡しているとした。また入手に関しては薬局を閉めてから隣町の薬局などにも依頼に行ったり、入手できた場合にも、患者宅まで届けに行っているという状況を説明した。


 日本薬剤師会の有澤氏は、薬剤師の立場からの意見発表者である青木氏に質問。

 「後発医薬品について、現場は発注や配達など対応に追われている状況で、悪化の一途をたどっていますというふうな形で発表されましたが、具体的に先生の薬局でどのようなケースで困っているのか。それともう一つは国民負担の軽減の観点から後発医薬品の推進は進めていくべきだと考えていますけれども、その辺については現場ではどう考えているかということを聞かせていただきたい。それから病院薬剤師と薬局薬剤師の連携、入退院時の、病院の医師も含めた形、医療機関側と現場の薬局薬剤師、外来から入院あるいは退院をして在宅以降も含めた、その中で間は地域の中でしっかりと連携を取った形の完結型でいくべきだと考えていますけれども、先生のところで現場で実際にどのようなところで苦労がされているか、あるいはこんなことが改善されたらいいんではないかということを具体的なものをお聞かせいただければと思います」と質問した。

 青木氏はまず後発医薬品について、次のように述べた。
 「後発医薬品の具体的な状況については、医薬品が入らない時というのがすごくあります。コロナがすごく広まって、なおさら長期処方になってきた時もあり、入ってきたとしても少ないので、実際に(処方の)すべての日数を調剤することがまずできませんでした。小分けしないと患者さん皆さんに行き渡らないわけですね。ですから1週間分だけとりあえずお渡しして、という状況で、なんとかつなげていっているという状況でした。今もその状況は変わりはないんですけれども、例えば商品が入らない時には近くの薬局にお願いするということもあるんですが、なかなかそれもお互いにモノがないので大変なんですが、こういう場合には知り合いのところのちょっと遠い隣町に行ってということを、営業時間が終わった後に夜のうちにいただいてきたりしています。やっと入ったとしても、それからまた患者さんの個人宅に配達ということは頻繁に起こるという状況でございます。その間も、患者さんの体調の確認とか、いろんなフォローが出来たので良い面もあったんですけども、後発医薬品に関してはすごく大変なことがございました」と回答した。

入退院時の連携、「フォーマット統一を」

 青木氏は、入退院時などの医療機関と薬局の連携に関しては、フォーマットの統一の必要性を指摘した。
 
 「入退院時のことですが、事例としては入院時に薬局から情報をお渡ししています。例えば歯科であったり、整形、内科などいろんなところに患者さんがかかっていらっしゃいますので、その情報を一元管理をして病院の病棟薬剤師の方に連絡をする。その時に病院の薬剤師さんからよく言われるのは、“この情報があると、私たちは病棟活動に本当に専念できます”ということです。実際に(入院から)帰ってきて患者さんに聞きますと、“自分の情報が向こう(病院)で分かっていた”、と。こういった状況です。分かってくれているということは非常にやっぱり安心感を与えるということが言われています。(入院から)帰ってきた時には、病棟の方でどういった治療を受けたのかということが私たち(薬剤師)もわかると、その後のフォローが非常にしやすくなってきます。そういった意味で病院と薬局の連携が非常に大事になっています。そして在宅に移行する場合では、例えば老老介護が非常に多くなってまいります。サービス担当者会議で服用の声かけをしないと、なかなか飲んでいただけないということがあるんですね。そういったことでしっかりやり取りをして声かけを誰がするのか、全部チームで決めて、だんだん飲めるようになってきて体調も良くなってくることを何度も経験しております。また介護職であったりとかいろんな職種の方から見た時に、医療機関への相談や提案の窓口があるということが、薬剤師の欠かせない役割の一つだと思います。地域包括ケアシステムの中でも、非常に薬剤師は役に立つ存在ではないかなというふうに思います。特に入退院の連携については、さまざまなフォーマットがありまして、そこのフォーマットについては統一されると非常にやりやすくなるではないかなというふうに感じております」と述べた。

 最後に、座長は今回の公聴会の概要を総括し、その中で、調剤に関わる部分としては、次のように述べた。

 「対人業務へのシフトは理解しているものの、対物業務は重要であるので質の担保への評価は重要であるという指摘もいただいております」
 「後発医薬品は供給問題への配慮も必要だというご指摘をいただいております」

この記事のライター

関連するキーワード


中医協 公聴会 後発医薬品

関連する投稿


【中医協】賃上げにかかる調査・検証について把握方法を提示

【中医協】賃上げにかかる調査・検証について把握方法を提示

【2024.06.14配信】厚生労働省は6月14日、中央社会保険医療協議会(中医協)診療報酬調査専門組織(入院・外来医療等の調査・評価分科会)を開催した。その中で賃上げにかかる調査・検証について把握方法を提示した。


【厚労省_中医協】マイナ保険証の利用実態を調査へ

【厚労省_中医協】マイナ保険証の利用実態を調査へ

【2024.06.12配信】厚生労働省は6月12日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、マイナンバーカードの保険証利用の利用実態等に係る医療機関・薬局へのヒアリングを実施することを了承した。


【厚労省_中医協】薬局の夜間・休日等における医薬品提供体制の状況調査へ/令和6年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査の実施

【厚労省_中医協】薬局の夜間・休日等における医薬品提供体制の状況調査へ/令和6年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査の実施

【2024.06.12配信】厚生労働省は6月12日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開いた。


【医薬品の安定供給へ】後発薬業界ができること/東和薬品が講演

【医薬品の安定供給へ】後発薬業界ができること/東和薬品が講演

【2024.05.28配信】5月25日に名古屋で開かれた「日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会 学術大会」で、東和薬品執行役員の田中俊幸氏が「ジェネリック医薬品産業のあるべき姿の構築に向けて」と題して講演した。


【厚労省_中医協】敷地内薬局、今後は総会で議論/今後の検討の進め方を了承

【厚労省_中医協】敷地内薬局、今後は総会で議論/今後の検討の進め方を了承

【2024.05.15配信】厚生労働省は5月15日、中央社会保険医療協議会(中医協) 総会を開催した。


最新の投稿


【厚労省】“研究用”抗原検査キット、薬機法で取り締まりの方向/該当性判断の上

【厚労省】“研究用”抗原検査キット、薬機法で取り締まりの方向/該当性判断の上

【2024.07.25配信】厚生労働省は7月25日に「厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会」を開催し、体外診断用医薬品の特性を踏まえた制度の見直しについて議論した。その中で「研究等の医療以外の用途を標榜する試薬の提供業者への対応」を議題とした。


【日薬】オーバードーズ問題でマニュアル作成を検討中

【日薬】オーバードーズ問題でマニュアル作成を検討中

【2024.07.24配信】日本薬剤師会は7月24日、都道府県会長協議会を開催した。


【厚労省】処方箋保存期間の検討を提示/薬局検討会

【厚労省】処方箋保存期間の検討を提示/薬局検討会

【2024.07.19配信】厚生労働省は、現在3年間となっている処方箋の保存期間について見直す方針を示した。「第7回薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」で提示した。診療録の保存期間が5年となっている中、電子処方箋については処方箋を調剤済みとなった日から5年間保存するサービスを提供しているなどの環境変化を挙げている。今後、制度部会で議題とする方針。


【コンソーシアム】大阪市から調剤外部委託で4社8薬局が確認通知受領を公表

【コンソーシアム】大阪市から調剤外部委託で4社8薬局が確認通知受領を公表

【2024.07.19配信】薬局DX推進コンソーシアムは7月19日、大阪市から調剤業務一部委託事業の確認通知を受け取ったと公表した。


【日本保険薬局協会】健康サポート薬局と地域連携薬局「違いない」/厚労省検討会に意見書

【日本保険薬局協会】健康サポート薬局と地域連携薬局「違いない」/厚労省検討会に意見書

【2024.07.19配信】日本保険薬局協会は7月19日に開かれた厚労省「第7回 薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」で意見書を提出した。「健康サポート薬局、地域連携薬局、地域支援体制加算届出薬局が描く薬局像は、小異こそあれ、分立させるほどの違いはない」とした。


ランキング


>>総合人気ランキング