日本薬剤師会の有澤氏は、薬剤師の立場からの意見発表者である青木氏に質問。
「後発医薬品について、現場は発注や配達など対応に追われている状況で、悪化の一途をたどっていますというふうな形で発表されましたが、具体的に先生の薬局でどのようなケースで困っているのか。それともう一つは国民負担の軽減の観点から後発医薬品の推進は進めていくべきだと考えていますけれども、その辺については現場ではどう考えているかということを聞かせていただきたい。それから病院薬剤師と薬局薬剤師の連携、入退院時の、病院の医師も含めた形、医療機関側と現場の薬局薬剤師、外来から入院あるいは退院をして在宅以降も含めた、その中で間は地域の中でしっかりと連携を取った形の完結型でいくべきだと考えていますけれども、先生のところで現場で実際にどのようなところで苦労がされているか、あるいはこんなことが改善されたらいいんではないかということを具体的なものをお聞かせいただければと思います」と質問した。
青木氏はまず後発医薬品について、次のように述べた。
「後発医薬品の具体的な状況については、医薬品が入らない時というのがすごくあります。コロナがすごく広まって、なおさら長期処方になってきた時もあり、入ってきたとしても少ないので、実際に(処方の)すべての日数を調剤することがまずできませんでした。小分けしないと患者さん皆さんに行き渡らないわけですね。ですから1週間分だけとりあえずお渡しして、という状況で、なんとかつなげていっているという状況でした。今もその状況は変わりはないんですけれども、例えば商品が入らない時には近くの薬局にお願いするということもあるんですが、なかなかそれもお互いにモノがないので大変なんですが、こういう場合には知り合いのところのちょっと遠い隣町に行ってということを、営業時間が終わった後に夜のうちにいただいてきたりしています。やっと入ったとしても、それからまた患者さんの個人宅に配達ということは頻繁に起こるという状況でございます。その間も、患者さんの体調の確認とか、いろんなフォローが出来たので良い面もあったんですけども、後発医薬品に関してはすごく大変なことがございました」と回答した。
入退院時の連携、「フォーマット統一を」
青木氏は、入退院時などの医療機関と薬局の連携に関しては、フォーマットの統一の必要性を指摘した。
「入退院時のことですが、事例としては入院時に薬局から情報をお渡ししています。例えば歯科であったり、整形、内科などいろんなところに患者さんがかかっていらっしゃいますので、その情報を一元管理をして病院の病棟薬剤師の方に連絡をする。その時に病院の薬剤師さんからよく言われるのは、“この情報があると、私たちは病棟活動に本当に専念できます”ということです。実際に(入院から)帰ってきて患者さんに聞きますと、“自分の情報が向こう(病院)で分かっていた”、と。こういった状況です。分かってくれているということは非常にやっぱり安心感を与えるということが言われています。(入院から)帰ってきた時には、病棟の方でどういった治療を受けたのかということが私たち(薬剤師)もわかると、その後のフォローが非常にしやすくなってきます。そういった意味で病院と薬局の連携が非常に大事になっています。そして在宅に移行する場合では、例えば老老介護が非常に多くなってまいります。サービス担当者会議で服用の声かけをしないと、なかなか飲んでいただけないということがあるんですね。そういったことでしっかりやり取りをして声かけを誰がするのか、全部チームで決めて、だんだん飲めるようになってきて体調も良くなってくることを何度も経験しております。また介護職であったりとかいろんな職種の方から見た時に、医療機関への相談や提案の窓口があるということが、薬剤師の欠かせない役割の一つだと思います。地域包括ケアシステムの中でも、非常に薬剤師は役に立つ存在ではないかなというふうに思います。特に入退院の連携については、さまざまなフォーマットがありまして、そこのフォーマットについては統一されると非常にやりやすくなるではないかなというふうに感じております」と述べた。
最後に、座長は今回の公聴会の概要を総括し、その中で、調剤に関わる部分としては、次のように述べた。
「対人業務へのシフトは理解しているものの、対物業務は重要であるので質の担保への評価は重要であるという指摘もいただいております」
「後発医薬品は供給問題への配慮も必要だというご指摘をいただいております」