最も近い既存OTC薬の「セチリジン」には皮膚疾患領域の効能なし/上市へ期待感/一方、アゼラスチン塩酸塩は皮膚関係の効能あり
「ザイザル錠、ザイザルシロップ」(レボセチリジン塩酸塩)については、スイッチOTC化の際に「鼻炎、皮膚炎」での効能効果が要望として出ていた。
これに対し、日本皮膚科学会は「蕁麻疹は初期には薬疹との鑑別が困難であり、また、湿疹皮膚炎群の治療の主体はステロイド外用薬を中心とした外用療法。一般用医薬品の抗ヒスタミン薬で湿疹皮膚炎群を効能効果に入れることには大きな問題がある」との見解を示し、「皮膚炎を効能効果に入れることは不可と考える」とした。
一方、日本OTC医薬品協会理事長の黒川達夫氏は、「かゆみというものは非常に大きい問題であり、逆にかゆみでバリバリとかいてしまうことによっていろいろな問題がある。かゆみを抑えることによって主な疾病であるところの蕁麻疹、皮膚炎の悪化を防ぐというところが無視できないところではないか」と述べた。
また、一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会理事の平野 健二氏も、「かゆみがあることによってかいてしまう、あるいはそのお医者様に行くまでの間が待てない、このことをいかに防ぐかということの方が非常に重要であるというふうに思っている」とした。
宮園由紀代委員(公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会 消費生活研究所 研究員)も黒川氏、平野氏の意見に賛同すると述べた上で、「私自身の子供がじんましんになったりすることもあったが、だいたい夜だ。蕁麻疹が出て困るとき皮膚科医はなかなか近所になかったり、常備薬がなかったり、かといって蕁麻疹で救急に行くわけにもいかない。そうなると近くにあるドラッグストアで買えるというのは大変便利な気がする。子供を持つ母親という立場であれば、これがOTCになっていると非常に便利だろうなと思う」とした。
こうした議論を受け、矢口均委員(大泉皮膚科クリニック院長)は、「問題は皮膚炎という表現だ」との考えを示し、「例えばではあるが、皮膚のトラブルに伴うかゆみという効能効果にしていただく。湿疹・皮膚炎という言葉は適当ではないということ」とした。
事務局も既存のOTC医薬品の効能効果の整合性について、「今回のレボセチリジン塩酸塩に一番近い成分はセチリジンだ。内服薬に含有されており、それらは皮膚関係の適用はOTCにはないという状況になっている。一方、アゼラスチン塩酸塩は皮膚関係の効能としては、蕁麻疹という表現は入っている。それから皮膚炎という効能はついておらず、腫れであるとかかゆみであるとか症状の緩和というような形でOTCとして認めている形になっている」と説明。皮膚炎をOTCの効能効果に与えるのは難しいとしても、腫れやかゆみといった症状の緩和などの表現で皮膚疾患関連の効能効果を含めることには可能性を示した。
同日の議論を踏まえたパブリックコメントを行い、「課題の解決策」をさらに意見聴取した上で、次回、「検討会議②」を開催することになる。
■詳細記事
https://note.com/dorabiz_fp/n/n98c610d58552
「ドラビズ for Pharmacy」2022年1月18日【2号】
■新たなスイッチ検討会議のスキームについて(当メディア関連記事)
https://www.dgs-on-line.com/articles/1344