【スイッチ検討会議】「ザイザル」のスイッチ、皮膚疾患の効能表現で意見多数/医会・医学会「皮膚炎の効能効果は不可」/JACDS平野氏「掻いてしまうことの問題を防ぐことも重要」

【スイッチ検討会議】「ザイザル」のスイッチ、皮膚疾患の効能表現で意見多数/医会・医学会「皮膚炎の効能効果は不可」/JACDS平野氏「掻いてしまうことの問題を防ぐことも重要」

【2022.01.18配信】厚生労働省は1月14日、「第18回 医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」(スイッチ検討会議)を開いた。このうち、「ザイザル錠、ザイザルシロップ」(レボセチリジン塩酸塩)については、皮膚炎の効能効果をどう認めるかについて多くの意見が出た。日本皮膚科学会は「皮膚炎を効能効果に入れることは不可」とした。一方、日本チェーンドラッグストア協会理事の平野健二氏は、「掻いてしまうことの問題を防ぐことも重要」と意見を述べた。既存OTC薬にも皮膚疾患領域の効能効果は存在しているため、効能効果の表現を調整することで皮膚領域の効能効果は認める方向になりそうだ。


最も近い既存OTC薬の「セチリジン」には皮膚疾患領域の効能なし/上市へ期待感/一方、アゼラスチン塩酸塩は皮膚関係の効能あり

 「ザイザル錠、ザイザルシロップ」(レボセチリジン塩酸塩)については、スイッチOTC化の際に「鼻炎、皮膚炎」での効能効果が要望として出ていた。

 これに対し、日本皮膚科学会は「蕁麻疹は初期には薬疹との鑑別が困難であり、また、湿疹皮膚炎群の治療の主体はステロイド外用薬を中心とした外用療法。一般用医薬品の抗ヒスタミン薬で湿疹皮膚炎群を効能効果に入れることには大きな問題がある」との見解を示し、「皮膚炎を効能効果に入れることは不可と考える」とした。

 一方、日本OTC医薬品協会理事長の黒川達夫氏は、「かゆみというものは非常に大きい問題であり、逆にかゆみでバリバリとかいてしまうことによっていろいろな問題がある。かゆみを抑えることによって主な疾病であるところの蕁麻疹、皮膚炎の悪化を防ぐというところが無視できないところではないか」と述べた。

 また、一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会理事の平野 健二氏も、「かゆみがあることによってかいてしまう、あるいはそのお医者様に行くまでの間が待てない、このことをいかに防ぐかということの方が非常に重要であるというふうに思っている」とした。

 宮園由紀代委員(公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会 消費生活研究所 研究員)も黒川氏、平野氏の意見に賛同すると述べた上で、「私自身の子供がじんましんになったりすることもあったが、だいたい夜だ。蕁麻疹が出て困るとき皮膚科医はなかなか近所になかったり、常備薬がなかったり、かといって蕁麻疹で救急に行くわけにもいかない。そうなると近くにあるドラッグストアで買えるというのは大変便利な気がする。子供を持つ母親という立場であれば、これがOTCになっていると非常に便利だろうなと思う」とした。

 こうした議論を受け、矢口均委員(大泉皮膚科クリニック院長)は、「問題は皮膚炎という表現だ」との考えを示し、「例えばではあるが、皮膚のトラブルに伴うかゆみという効能効果にしていただく。湿疹・皮膚炎という言葉は適当ではないということ」とした。

 事務局も既存のOTC医薬品の効能効果の整合性について、「今回のレボセチリジン塩酸塩に一番近い成分はセチリジンだ。内服薬に含有されており、それらは皮膚関係の適用はOTCにはないという状況になっている。一方、アゼラスチン塩酸塩は皮膚関係の効能としては、蕁麻疹という表現は入っている。それから皮膚炎という効能はついておらず、腫れであるとかかゆみであるとか症状の緩和というような形でOTCとして認めている形になっている」と説明。皮膚炎をOTCの効能効果に与えるのは難しいとしても、腫れやかゆみといった症状の緩和などの表現で皮膚疾患関連の効能効果を含めることには可能性を示した。

 同日の議論を踏まえたパブリックコメントを行い、「課題の解決策」をさらに意見聴取した上で、次回、「検討会議②」を開催することになる。
■詳細記事
https://note.com/dorabiz_fp/n/n98c610d58552
「ドラビズ for Pharmacy」2022年1月18日【2号】

■新たなスイッチ検討会議のスキームについて(当メディア関連記事)
https://www.dgs-on-line.com/articles/1344

この記事のライター

関連する投稿


【緊急避妊薬のスイッチOTC】承認取得/あすか製薬、販売元は第一三共HC

【緊急避妊薬のスイッチOTC】承認取得/あすか製薬、販売元は第一三共HC

【2025.10.20配信】あすか製薬ホールディングスは10月20日、子会社のあすか製薬が緊急避妊薬「ノルレボ」の製造販売承認を取得したと公表した。承認取得を受け、第一三共ヘルスケアが同品の販売元として、発売に向けた情報提供体制の整備を進めるという。


【ジェネリック学会OTC分科会】生活習慣病薬のスイッチOTC化の推進で提言書公表

【ジェネリック学会OTC分科会】生活習慣病薬のスイッチOTC化の推進で提言書公表

【2025.10.13配信】日本ジェネリック・バイオシミラー学会のOTC医薬品分科会(分科会⾧・武藤正樹氏)はこのほど、活習慣病薬のスイッチOTC化の推進で提言書を公表した。10月11日に盛岡市で開催された「日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会 第19回学術総会」「OTC医薬品分科会」のシンポジウムの場で示したもの。シンポジウムは日本OTC医薬品協会当の共催。


【PPI】国内初のOTCを発売/エーザイ「パリエットS」

【PPI】国内初のOTCを発売/エーザイ「パリエットS」

【2025.06.02配信】エーザイは6月2日、国内 OTC 医薬品として初めて製造販売承認を取得したプロトンポンプ阻害薬(PPI)である「パリエットS」を発売した。


【緊急避妊薬のOTC化】評価検討会議は終結、薬事審議会での承認可否判断へ

【緊急避妊薬のOTC化】評価検討会議は終結、薬事審議会での承認可否判断へ

【2025.05.23配信】厚生労働省は5月23日、「第32回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」を開催し、緊急避妊薬のスイッチOTC化について議論した。


【日本薬剤師会】緊急避妊薬の調査事業を報告/「世の中の流れはスイッチ化と理解」

【日本薬剤師会】緊急避妊薬の調査事業を報告/「世の中の流れはスイッチ化と理解」

【2025.05.22配信】日本薬剤師会(日薬)は5月22日に定例会見を開催した。その中で緊急避妊薬の薬局販売にかかる調査事業について報告した。


最新の投稿


【東京都薬剤師会】市販緊急避妊薬の「産婦人科医等との連携リスト」関与の方針

【東京都薬剤師会】市販緊急避妊薬の「産婦人科医等との連携リスト」関与の方針

【2025.11.07配信】東京都薬剤師会(都薬)は11月7日に定例会見を開いた。その中で、市販化の見通しとなった緊急避妊薬の販売条件となる「産婦人科医等との連携体制」のリストについて、都薬としても関与していく方針を示した。


【東京都薬剤師会】改定議論、「大手に誤解進むのは怖い」/髙橋正夫会長

【東京都薬剤師会】改定議論、「大手に誤解進むのは怖い」/髙橋正夫会長

【2025.11.07配信】東京都薬剤師会は11月7日に定例会見を開いた。この中で髙橋正夫会長は、調剤報酬改定の議論に触れ、「大手の方々に誤解進むのは怖い」と話した。


【日本薬剤師会】財政審の改革提言に反論、「薬局増えても調剤報酬増えない」

【日本薬剤師会】財政審の改革提言に反論、「薬局増えても調剤報酬増えない」

【2025.11.05配信】日本薬剤師会は11月5日に会見を開いた。この中で、同日公表された財政制度等審議会(財政審)財政制度分科会の提言に対し反論した。


【日本薬剤師会】岩月会長が敷地内薬局めぐる議論にコメント

【日本薬剤師会】岩月会長が敷地内薬局めぐる議論にコメント

【2025.11.05配信】日本薬剤師会は11月5日に定例会見を開いた。その中で、岩月進会長が中医協での敷地内薬局をめぐる議論に対してコメントした。


【石川県薬剤師会】モバイルファーマシー「お披露目式」/スターリンクを搭載でDX対応

【石川県薬剤師会】モバイルファーマシー「お披露目式」/スターリンクを搭載でDX対応

【2025.10.31配信】石川県薬剤師会は10月31日、モバイルファーマシーお披露目式を開催した。


ランキング


>>総合人気ランキング