【スイッチ検討会議】“令和4年スキーム”始動/「少数意見も併記」へ

【スイッチ検討会議】“令和4年スキーム”始動/「少数意見も併記」へ

【2022.01.17配信】厚生労働省は1月14日、「第18回 医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」(スイッチ検討会議)を開いた。6成分について、新しいスキームで検討する初めての会議となった。前回開催の2020年10月の会議の場でもスキームを提示していたが、文言の微修正を加え、確定的な体系として14日に説明された。これで平成28年から令和3年まで続いた“平成28年スキーム”から“令和4年スキーム”に転換することになる。同会議の位置づけを薬食審への「意見提示」と明確化。意見書の内容については、事務局の説明のほか、笠貫宏座長からも「少数意見を併記していく」との方針が語られた。


笠貫座長「少数意見も載せることが大事。今後は多くの人たちの意見か、意見が二つに分かれたか、少数意見なのか、も議論する」

 同日の検討会議では冒頭、「今後の評価検討会議における検討の進め方について」が説明された。加えて、「スイッチOTCの検討・評価全体の流れについて」が示された。この2つの違いは、前者はあくまで検討会単独の流れを規定したもの。後者はスイッチOTC医薬品の承認審査全体の流れを示したもので、その中で検討会議がどこに位置付けられているかを示したものだ。
 
 事務局は「スイッチOTCの検討・評価全体の流れ」について、おおむね次の7つのステップを示した。
1、候補成分の抽出
2、候補成分の資料整理
3、医会・医学会の意見聴取
4、「検討会議①」
5、パブリックコメントの実施
6、「検討会議②」
7、薬食審
 
 このスキームで分かるように、今後は1つの成分に関して、原則2回の検討会議を行う。1回目の検討会議の前には資料整理と、医会・医学会からの意見聴取を済ませて、会議で提示する。また、1回目の検討会議以降は、パブリックコメントに並行して、検討会議①で挙げられた課題への対応策について検討会議の構成員のほか、関連するステークホルダーから追加の意見を収集するとする。
 
 検討会議の進め方について、事務局は次のように述べた。
 「検討会議としての方向性を示しつつも、少数意見についても併記していく方針となってございます。できる限り意見表明していただきますようお願い申し上げます」とした。
 加えて座長は、「考え方として大切だと思いましたのは、少数意見も載せるということは非常に大事だと認識しております。課題に対する解決策をいろいろ議論していく中で、今後は多くの人たちの意見とか、意見が二つに分かれたとか、少数意見なのか、ということもこの中で議論を進めていけたらと考えています」と述べた。

 この発言に応じるように、1月14日の検討会議は全体で3時間の長丁場となり、多くの委員が意見を述べた。多彩な意見から臨床現場の“肌感覚”と同時に、医療用では想定されないようなOTC医薬品固有の使用者のニーズや使用シーンが浮かび上がる結果となっている。

 今後、真に“令和4年スキーム”が、スイッチ促進の役割を担うことができるのか。スキームだけでなく、各工程での議論の中身が問われることになる。

<図>
厚労省「第18回 医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」令和4年1月14日開催、「資料1 評価検討会議における検討の進め方について」
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000879786.pdf

■詳細記事
https://note.com/dorabiz_fp/n/n4430da6f9c41
「ドラビズ for Pharmacy」2022年1月17日【1号】

この記事のライター

関連する投稿


【2023年2月度のOTC市場】前年比112.8%、過去5年間で2番目に高い実績/花粉飛散量の前年増で

【2023年2月度のOTC市場】前年比112.8%、過去5年間で2番目に高い実績/花粉飛散量の前年増で

【2023.03.22配信】インテージヘルスケアは3月22日、「2023年2月度 OTC医薬品(一般用医薬品) 市場概況」を公表した。それによると、2023年2月度のOTC市場は前年比112.8%で、過去5年間で2番目に高い実績となった。花粉飛散量の前年増が影響し、鼻炎治療剤、アレルギー用目薬など関連薬効が大幅に伸長した。


【ドラビズチャンネル】厚労省「医薬品販売制度検討会」を薬局薬剤師の機能から考える

【ドラビズチャンネル】厚労省「医薬品販売制度検討会」を薬局薬剤師の機能から考える

【2023.03.06配信】およそ10年ぶりとなる医薬品販売制度の検討は、薬局薬剤師の機能にどのような影響を及ぼすのか。この観点でディスカッションするため、Youtubeのドラビズチャンネルでは、イイジマ薬局(長野県上田市)の飯島裕也氏を招いて動画配信した。飯島氏は零売だけに注目することには違和感を示した上で、現状の問題点として、一般薬と調剤薬の提供の場が切り離されている現状を指摘した。


【厚労省_医薬品販売制度検討会】課題に緊急避妊薬での議論指摘、「スイッチ後に対面販売が維持される制度になっていない」

【厚労省_医薬品販売制度検討会】課題に緊急避妊薬での議論指摘、「スイッチ後に対面販売が維持される制度になっていない」

【2023.02.22配信】厚生労働省は2月22日、「第1回医薬品の販売制度に関する検討会」を開催する。資料の中で「要指導医薬品、一般用医薬品等の区分のあり方」などを議論する方向を提示。要指導医薬品の課題として緊急避妊薬のスイッチOTC化の議論にも触れた。「スイッチ後に対面販売が維持される制度になっていない」「受診勧奨をどのように効果的に行うか」などの指摘が出ているとした。今後、計6回開催し、7月をメドにとりまとめを行う方針も示した。


【薬局とOTC薬】健保と連携した事業をOTC薬協が日薬に提案/OTC薬への切替効果でエビデンス集積へ

【薬局とOTC薬】健保と連携した事業をOTC薬協が日薬に提案/OTC薬への切替効果でエビデンス集積へ

【2023.02.20配信】薬局におけるOTC薬の位置付けが大きくなっていきそうだ。これまでドラッグストアにおけるセルフ販売が、市場の大きな構成比を担ってきたことは否定できないが、高齢社会の進展において多角的な側面から、専門家がさらに介在した形での提供のあり方が模索され始めている。その動きの1つとして、最近、日本OTC医薬品協会(OTC薬協)は、日本薬剤師会に対して、健保と薬剤師会が連携した取り組みによってOTC医薬品のさまざまな効果検証ができないか、提案を行った。


【厚労省】「医薬品販売制度」の検討会立ち上げ/第1回目の会議を2月22日に開催

【厚労省】「医薬品販売制度」の検討会立ち上げ/第1回目の会議を2月22日に開催

【2023.02.16配信】厚生労働省は「医薬品の販売制度に関する検討会」を立ち上げる。2月22日に第1回目となる会議を開催する。


最新の投稿


【ウエルシアHD】全社全店でたばこ製品の取り扱いを終了/2026年2月までに

【ウエルシアHD】全社全店でたばこ製品の取り扱いを終了/2026年2月までに

【2023.03.24配信】ウエルシアホールディングスは3月24日、2026年2月までに全社全店でたばこ製品の取り扱いを終了すると公表した。 同社が策定・公表した「ウエルシア グループ健康宣言」の一環。


【ツルハHD2023年5月期 第3Q決算】鶴羽社長、調剤事業は「額をとりにいく戦略」

【ツルハHD2023年5月期 第3Q決算】鶴羽社長、調剤事業は「額をとりにいく戦略」

【2023.03.23配信】ツルハホールディングスは3月23日、2023年5月期第3四半期(2022年5月16日~2023年2月15日)の決算説明会を実施した。


【第108回薬剤師国家試験の合格発表】合格者は前回から5名減少の9602名/合格率約1ポイント増の69.00%

【第108回薬剤師国家試験の合格発表】合格者は前回から5名減少の9602名/合格率約1ポイント増の69.00%

【2023.03.22配信】厚生労働省は3月22日、令和5年2月18日及び19日に実施した、第108回薬剤師国家試験の合格者を発表した。


【京大附属病院とメディセオなど】医療機関と薬局を結ぶトレーシングレポートサービスを共同開発

【京大附属病院とメディセオなど】医療機関と薬局を結ぶトレーシングレポートサービスを共同開発

【2023.03.22配信】京都大学医学部附属病院、株式会社ファインデックスと株式会社メディパルホールディングスの連結子会社である株式会社メディセオは、医療機関と近隣の薬局とのトレーシングレポートを連携するクラウドサービス「AAdE-Report(Adherence and adverse drug event report)」を共同開発(株式会社メディセオは共同開発をサポート)し、2023 年 3 月 13 日より運用を開始したと公表した。


【2023年2月度のOTC市場】前年比112.8%、過去5年間で2番目に高い実績/花粉飛散量の前年増で

【2023年2月度のOTC市場】前年比112.8%、過去5年間で2番目に高い実績/花粉飛散量の前年増で

【2023.03.22配信】インテージヘルスケアは3月22日、「2023年2月度 OTC医薬品(一般用医薬品) 市場概況」を公表した。それによると、2023年2月度のOTC市場は前年比112.8%で、過去5年間で2番目に高い実績となった。花粉飛散量の前年増が影響し、鼻炎治療剤、アレルギー用目薬など関連薬効が大幅に伸長した。


ランキング


>>総合人気ランキング