【診療報酬改定】健保連など保険者関連6団体が要請書提出/「報酬引き上げる環境にない」

【診療報酬改定】健保連など保険者関連6団体が要請書提出/「報酬引き上げる環境にない」

【2021.11.25配信】健康保険組合連合会、国民健康保険中央会、全国健康保険協会、全日本海員組合、日本経済団体連合会、日本労働組合総連合会の6団体は11月24日、各団体の会長・理事長・組合長の連名で後藤茂之厚生労働大臣宛てに「令和4年度診療報酬改定に関する要請」を提出した。コロナ禍でも一般診療所、歯科診療所、保険薬局は依然として高い水準の黒字であり、さらにはすでに足下では医療費が増加基調に戻りつつあるとして、「報酬を引き上げる環境にない」としている。診療報酬と補助金の役割分担を整理した上で、改定では配分の見直しに主眼を置いたメリハリのある改定とする必要があるとした。


配分の見直しに主眼を置いたメリハリのある改定に

 令和4年度診療報酬改定にあたって医療保険者関係団体の意見を「令和4年度診療報酬改定に関する要請」としてまとめた。政府の決定において適切に反映されるよう、強く要請している。

 新型コロナウイルス感染症への医療従事者の献身的な活動や検査・医薬品・ワクチン等も含めた関係者に敬意を表した上で、令和2年度の医療費に関しては減少したものの、賃金・物価の伸びを医療
費の伸びが上回ったと指摘。今後も続く少子高齢化も考えると、コロナ禍においても地域医療構想で想定している人口構造と医療ニーズの変化は止まらないと総括。

 国民皆保険制度の長期的な持続可能性を高め新興感染症にも強い効率的・効果的な医療体制の再構築、高い水準の自然増を考えれば、令和4年度は診療報酬を引き上げる環境になく、国民の負担軽減につなげるべきとしている。

 改定に関しては、配分の見直しに主眼を置いたメリハリのあるものとする必要があるとしている。

 薬価等に関しては、市場実勢価主義の現行を支持。「市場実勢価格の低下に伴う公定価格の引き下げ分を、長期的に上昇し続ける負担の抑制のために還元されなければ、国民の理解は得られない」とする。

 令和2年度の医療費の受け止めについては、概算医療費が42.2 兆円と前年度比3.2%のマイナスと過去最大の減少率となったが、すでに足下では医療費が増加基調に戻りつつあると指摘。診療報酬上の措置や補助金・交付金を通じて医療機関に対する支援も実施されてきたことに触れた。

一般診療所、歯科診療所、保険薬局は依然として高い水準の黒字

 第23回医療経済実態調査の結果では、令和2年度における医療機関の経営状況は令和元年度と比べて全体として収益が減少し費用が増加。損益差額が悪化したものの、医療法人の病院は黒字を維持し、一般診療所、歯科診療所、保険薬局は依然として高い水準の黒字だとした。コロナ関連補助金を含めると、全体として損益差額は令和元年度から改善し、総じて医療機関の経営は安定していると分析した。

 さらに追加された6月の単月調査では、令和3年6月損益額が令和2年6月と比べて概ね改善し、一般診療所の損益差額は令和元年6月を上回った。こうした状況を踏まえ、改定にあたってはまずは診療報酬と補助金・交付金の役割分担・効果を検証し、整理することが重要だとした。

 医療機能の分化・強化と連携が改めて重要になっているとし、入院においては急性期病床における医療資源の集約と、急性期から回復期、慢性期まで目に見えるかたちでの円滑な連携、外来では幅広い疾患に対応できるかかりつけ医を起点とした安心で安全な医療の確保や、患者のニーズと技術進歩を踏まえたオンライン診療の推進等が最大の課題と指摘した。

 後発医薬品に関しては、患者が安心して使用できる環境のさらなる整備や有効性・安全性を前提に経済性も考慮した処方の推進策を講じつつ、創薬力の強化等のイノベーション推進、医療従事者の働き方改革や処遇改善等について、国を挙げた効果的な取組みを強く要請するとした。

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