特定非営利活動法人ピッコラーレは、「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト」の賛同団体として2021年11月12日(金)に厚生労働省を訪問し、「緊急避妊薬へのOTC化を求める要望書」を提出した。
医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 林 亜紀子 課長補佐、医薬品審査管理課 吉田 智志 審査調整官に手渡した。要望書の提出先は、後藤茂之厚生労働大臣。
要請書の概要は、「緊急避妊薬を必要とする全ての人が医師の処方箋なしに、薬局や妊娠葛藤相談窓口で薬剤師や助産師、看護師の関与のもと、安価に速やかに入手できるようにしてください」というもの。
ピッコラーレが運営する妊娠葛藤相談窓口「にんしんSOS東京」にはアフターピルに関する相談が10〜20代を中心に数多く寄せられているという。中でも10代からの相談は「緊急避妊薬がほしいが入手できない」といった相談の割合が他の年代よりも圧倒的に多く、「思いがけない妊娠をしてしまった」という相談の中には、緊急避妊薬に速やかにアクセスできていれば妊娠を避けることができたかもしれない、という相談が少なくないという。
ピッコラーレでは、「彼らは緊急避妊薬を含む避妊方法について理解しており、緊急避妊薬が妊娠を防ぐことができる手段であることを知り、今の自分にそれが必要だとわかっているのにも関わらず、様々なハードルによってそれを選択することができません。これらハードルには社会として改善することが可能なものも含まれています」としている。その上で、「私たちひとりひとりが若年の思いがけない妊娠を防ぎたいと思うなら、どこに住んでいても必要な時にいつでも緊急避妊薬を手に入れられる環境を用意することに、社会として取組む必要があることは明白です」とし、「緊急避妊薬のOTC化は、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR:性と生殖に関する健康と権利)の理念に基づいた「自分の体を守る権利」であり、その権利はいかなる状況であっても保証されるもの」だと主張している。
「緊急避妊薬のアクセス改善は10代の若者をはじめ全ての人の性の自己決定を支え、それぞれの人生を社会として守ることにもつながると現場では確信しており、速やかに緊急避妊薬のOTC化がなされることをここに要望します」としている。
要望書の全文は以下のサイトで確認できる。
https://prtimes.jp/a/?f=d78811-20211115-e0fc653e6857c30a0f2b46c0f5373ee9.pdf
厚生労働省医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課・林 亜紀子課長補佐の要望書受領時のコメントは以下の通り。
「要望書を受け取りました。緊急避妊薬については、まさに今年度検討を再開したところです。2021年10月4日に開催された検討会の中で、前回検討時からの課題がどうなったのか、これまでの対応状況を紹介するとともに、『緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト』の代表の皆さんや、日本薬剤師会、日本産婦人科医会からの発表をきくなど取組みをすすめています。そういった中で様々な意見をいただいており、それら意見を踏まえ、また我々としても海外の状況調査を行なっているところですので、それら調査を踏まえて、次回の検討会以降で議論を進めていきたいと思います」
次回の評価検討会議は2022年2月開催予定。ピッコラーレは、妊娠葛藤相談窓口に寄せられる当事者の声を聴く立場として「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト」とともに、引き続き緊急避妊薬のOTC化実現を求めていく方針。
特定非営利活動法人ピッコラーレは、「にんしん」をきっかけに、だれもが孤立することなく、自由に幸せに生きることができる社会の実現を目指して、4つの事業に取り組んでいる。妊娠葛藤相談支援事業(にんしんSOS東京/にんしんSOS埼玉/にんしんSOSちば)では、妊娠にまつわる全ての「困った・どうしよう」に寄り添うことをミッションに365日メールと電話で相談を受け付けている。また、相談支援員の育成を目的とした研修の開催や、相談窓口から見える課題を社会に広く伝えるための啓発活動として「妊娠葛藤白書」の制作・発行(2021年4月)も行っている。そして2020年度からは居所のない妊婦のための居場所づくり「project HOME」のHOME第一号「ぴさら」(豊島区)の運営も開始している。

【緊急避妊薬のOTC化要望】特定非営利活動法人ピッコラーレが厚労省に提出
【2021.11.18配信】特定非営利活動法人ピッコラーレは、「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト(https://kinkyuhinin.jp/)」賛同団体として、2021年11月12日(金)に厚生労働省を訪問し「緊急避妊薬へのOTC化を求める要望書」を提出した。
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