【緊急避妊薬のOTC化要望】特定非営利活動法人ピッコラーレが厚労省に提出

【緊急避妊薬のOTC化要望】特定非営利活動法人ピッコラーレが厚労省に提出

【2021.11.18配信】特定非営利活動法人ピッコラーレは、「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト(https://kinkyuhinin.jp/)」賛同団体として、2021年11月12日(金)に厚生労働省を訪問し「緊急避妊薬へのOTC化を求める要望書」を提出した。


 特定非営利活動法人ピッコラーレは、「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト」の賛同団体として2021年11月12日(金)に厚生労働省を訪問し、「緊急避妊薬へのOTC化を求める要望書」を提出した。
 医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 林 亜紀子 課長補佐、医薬品審査管理課 吉田 智志 審査調整官に手渡した。要望書の提出先は、後藤茂之厚生労働大臣。

 要請書の概要は、「緊急避妊薬を必要とする全ての人が医師の処方箋なしに、薬局や妊娠葛藤相談窓口で薬剤師や助産師、看護師の関与のもと、安価に速やかに入手できるようにしてください」というもの。

 ピッコラーレが運営する妊娠葛藤相談窓口「にんしんSOS東京」にはアフターピルに関する相談が10〜20代を中心に数多く寄せられているという。中でも10代からの相談は「緊急避妊薬がほしいが入手できない」といった相談の割合が他の年代よりも圧倒的に多く、「思いがけない妊娠をしてしまった」という相談の中には、緊急避妊薬に速やかにアクセスできていれば妊娠を避けることができたかもしれない、という相談が少なくないという。

 ピッコラーレでは、「彼らは緊急避妊薬を含む避妊方法について理解しており、緊急避妊薬が妊娠を防ぐことができる手段であることを知り、今の自分にそれが必要だとわかっているのにも関わらず、様々なハードルによってそれを選択することができません。これらハードルには社会として改善することが可能なものも含まれています」としている。その上で、「私たちひとりひとりが若年の思いがけない妊娠を防ぎたいと思うなら、どこに住んでいても必要な時にいつでも緊急避妊薬を手に入れられる環境を用意することに、社会として取組む必要があることは明白です」とし、「緊急避妊薬のOTC化は、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR:性と生殖に関する健康と権利)の理念に基づいた「自分の体を守る権利」であり、その権利はいかなる状況であっても保証されるもの」だと主張している。

 「緊急避妊薬のアクセス改善は10代の若者をはじめ全ての人の性の自己決定を支え、それぞれの人生を社会として守ることにもつながると現場では確信しており、速やかに緊急避妊薬のOTC化がなされることをここに要望します」としている。

 要望書の全文は以下のサイトで確認できる。
https://prtimes.jp/a/?f=d78811-20211115-e0fc653e6857c30a0f2b46c0f5373ee9.pdf

 厚生労働省医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課・林 亜紀子課長補佐の要望書受領時のコメントは以下の通り。
 
 「要望書を受け取りました。緊急避妊薬については、まさに今年度検討を再開したところです。2021年10月4日に開催された検討会の中で、前回検討時からの課題がどうなったのか、これまでの対応状況を紹介するとともに、『緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト』の代表の皆さんや、日本薬剤師会、日本産婦人科医会からの発表をきくなど取組みをすすめています。そういった中で様々な意見をいただいており、それら意見を踏まえ、また我々としても海外の状況調査を行なっているところですので、それら調査を踏まえて、次回の検討会以降で議論を進めていきたいと思います」

 次回の評価検討会議は2022年2月開催予定。ピッコラーレは、妊娠葛藤相談窓口に寄せられる当事者の声を聴く立場として「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト」とともに、引き続き緊急避妊薬のOTC化実現を求めていく方針。

 特定非営利活動法人ピッコラーレは、「にんしん」をきっかけに、だれもが孤立することなく、自由に幸せに生きることができる社会の実現を目指して、4つの事業に取り組んでいる。妊娠葛藤相談支援事業(にんしんSOS東京/にんしんSOS埼玉/にんしんSOSちば)では、妊娠にまつわる全ての「困った・どうしよう」に寄り添うことをミッションに365日メールと電話で相談を受け付けている。また、相談支援員の育成を目的とした研修の開催や、相談窓口から見える課題を社会に広く伝えるための啓発活動として「妊娠葛藤白書」の制作・発行(2021年4月)も行っている。そして2020年度からは居所のない妊婦のための居場所づくり「project HOME」のHOME第一号「ぴさら」(豊島区)の運営も開始している。

この記事のライター

関連する投稿


【緊急避妊薬のOTC化】評価検討会議は終結、薬事審議会での承認可否判断へ

【緊急避妊薬のOTC化】評価検討会議は終結、薬事審議会での承認可否判断へ

【2025.05.23配信】厚生労働省は5月23日、「第32回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」を開催し、緊急避妊薬のスイッチOTC化について議論した。


【日本薬剤師会】緊急避妊薬の調査事業を報告/「世の中の流れはスイッチ化と理解」

【日本薬剤師会】緊急避妊薬の調査事業を報告/「世の中の流れはスイッチ化と理解」

【2025.05.22配信】日本薬剤師会(日薬)は5月22日に定例会見を開催した。その中で緊急避妊薬の薬局販売にかかる調査事業について報告した。


【あすか製薬】緊急避妊薬のスイッチOTCの承認申請を公表

【あすか製薬】緊急避妊薬のスイッチOTCの承認申請を公表

【2025.05.15配信】あすか製薬は5月15日、 緊急避妊薬のスイッチ OTC について、製造販売承認申請を行ったと公表した。


【緊急避妊薬】スイッチOTC化に係る調査事業報告書が公表

【緊急避妊薬】スイッチOTC化に係る調査事業報告書が公表

【2025.05.14配信】厚生労働省は5月14日、緊急避妊薬のスイッチOTC化に係る環境整備のための調査事業である「令和6年度 緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業報告書」を公表した。令和5年度事業では購入者の約85%において、服用3~5週間後に産婦人科医を受診しておらず、また、避妊の成否を妊娠検査薬で確認していないなどの課題が抽出されていた。そのため令和6年度事業では妊娠の可能性に関しチェックリストやフロー等の資材を見直し。その結果、課題の改善がみられた。購入者の避妊成否確認については、販売後3~5週間後の調査において、6割が「確認した」と回答しており、また、その他2割も「今後確認する」と回答した。


【東京都薬剤師会】緊急避妊薬調査事業、協力医療機関数が250に

【東京都薬剤師会】緊急避妊薬調査事業、協力医療機関数が250に

【2025.02.07配信】東京都薬剤師会は2月7日に定例会見を開いた。この中で、緊急避妊薬販売にかかる環境整備のためのモデル的調査事業の協力医療機関リストを公開した。250の医療機関から協力を得た。


最新の投稿


【厚労省_令和6年度医薬品販売制度実態把握調査】“濫用薬”販売方法で改善みられる

【厚労省_令和6年度医薬品販売制度実態把握調査】“濫用薬”販売方法で改善みられる

【2025.08.26配信】厚生労働省は8月22日、「令和6年度医薬品販売制度実態把握調査」の結果を公表した。同調査は、薬局・店舗販売業の許可を得た店舗が医薬品の販売に際し、店舗やインターネットで消費者に適切に説明を行っているかどうか等について調べたもの。令和6年度の調査は、前年度に引き続き一般用医薬品のインターネットでの販売状況や要指導医薬品の店舗での販売状況を含めた調査を実施した。


【スギHD】セキ薬品の株式の取得/持分法適用会社化

【スギHD】セキ薬品の株式の取得/持分法適用会社化

【2025.08.19配信】スギホールディングス株式会社は8月19日、埼玉県を中心に調剤併設型ドラッグストアを展開する株式会社セキ薬品の株式(3万7929株、持株比率 34.8%)を取得し、持分法適用会社とすることについて決定し、同日、株式譲渡契約を締結したと公表した。


【薬局DXコンソーシアム】病院が新たに加盟/社会医療法人 仁厚会

【薬局DXコンソーシアム】病院が新たに加盟/社会医療法人 仁厚会

【2025.08.19配信】薬局DXコンソーシアムに病院が加盟した。社会医療法人 仁厚会が会員となった。


【医薬品情報把握システムの検討活発化】薬剤師会“アクションリスト”実践へ/MSNW「LINCLEちいき版」を全国の都道府県薬へ提案中

【医薬品情報把握システムの検討活発化】薬剤師会“アクションリスト”実践へ/MSNW「LINCLEちいき版」を全国の都道府県薬へ提案中

【2025.08.08配信】日本薬剤師会が公表した「地域医薬品提供体制強化のためのアクションリスト」。このうちの1つの事項である「地域の医薬品情報の把握・共有の取組」。この実践へ向けて情報共有のためのシステム選定の動きも活発化してきた。こうした中、メディカルシステムネットワーク(MSNW)では、もともと地域薬剤師会と共に開発を進めてきた「LINCLEちいき版」の提案を強化している。すでに10以上の都道府県薬剤師会への提案を進行中だという。


【厚労省】保険調剤「確認事項」公表/2枚処方箋で投薬期間上限を超えるなど不適切事例

【厚労省】保険調剤「確認事項」公表/2枚処方箋で投薬期間上限を超えるなど不適切事例

【2025.08.08配信】厚生労働省はこのほど、保険調剤「確認事項」(令和7年度改訂版)を公表した。2枚処方箋を受け付けることにより、投薬期間上限を超えるなどの不適切事例を指摘している。