【中医協】「薬剤種類数が多い場合の評価」には異論相次ぐ/かかりつけは「かかりつけ薬剤師以外の対応」を許容の方向か

【中医協】「薬剤種類数が多い場合の評価」には異論相次ぐ/かかりつけは「かかりつけ薬剤師以外の対応」を許容の方向か

【2021.10.22配信】厚生労働省は10月22日、中央社会保険医療協議会総会を開き、「調剤(その2)」を議論した。この中で、事務局が示した「薬剤種類数が多い場合に説明時間が長くなること」に関連する評価に対し、医師会や保険者から異論が出た。健保連や連合の委員からは、「これまでの対人シフトに逆行する」などとして、「明確に反対」の意見が示された。一方、「かかりつけ薬剤師以外の対応」の項目に関して、委員からは一定の理解を示す声が聞かれた。


在宅では在宅医以外の指示での算定へ

 この日の中医協の調剤関連の議論では、事務局は大きく5つの論点を提示した。

 ①かかりつけ薬剤師・薬局の推進について、②重複投薬、ポリファーマシー及び残薬等への対応に係る評価、③保険薬局と保険医療機関との連携について、④医療的ケア児の薬学的管理について、⑤在宅患者訪問薬剤管理指導に係る評価について−−である。

 1つ目のかかりつけ薬剤師・薬局の推進については、「患者が薬局に求める機能・患者が薬局を選択する理由」において「一元・継続的な管理」や「気軽に薬や健康に関する相談ができるということ」などがあり、かかりつけへのニーズが認められていることを紹介。一方、対人業務の主な評価として現在、基本的な服薬指導のほか、処方箋の受付時に行う疑義照会、時間をかけて行う服薬情報提供料、さらには調剤後のフォローアップとして調剤後薬剤服用管理指導加算などがあることが紹介された。
 資料では「薬局での調剤業務の流れについて」で、「調剤料」で評価している薬剤調製の部分と、薬学管理料で評価している服薬指導や薬歴の作成を提示。その上で、処方箋1枚にかかる処理時間で最も長くかかるのは服薬指導であり、次いで薬歴の記載になっていること、さらには薬剤種類が6種類以上の場合は、6種類未満に比べ服薬指導に時間がかかるとのデータを示した。
論点として、「薬剤服用歴管理指導料について、薬剤種類数が多い場合に服薬指導の事項が増え内容が複雑になることから説明時間が長くなることを踏まえ、その評価についてどのように考えるか」と提示した。

 かかりつけ薬剤師指導料の算定については、届出がされていない理由では、「24時間の対応」「在宅対応」などが挙げられていたほか、「かかりつけ薬剤師以外が対応する場合がある」との回答が6割を占めた。かかりつけ薬剤師以外の対応では薬歴での情報共有や事後の報告などを行っているとされた。

 2つ目のテーマである「重複投薬、ポリファーマシー及び残薬等への対応に係る評価」については、服用薬剤調整支援料2において、複数の保険医療機関から6種類以上の内服薬が処方されている患者に対して、重複投薬等の解消に係る提案を行った場合について評価しているが、服用薬剤調整支援料2を算定した場合、実際に2種類以上の減薬が行われた場合であっても服用薬剤調整支援料1を算定できない問題点を指摘した。
 一方で、服用薬剤調整支援料2を算定している薬局において、重複投薬等の解消の提案により重複投薬が解消された保険薬局は約77.2%と高い比率で実効性が示されていた。

 3つ目のテーマである「保険薬局と保険医療機関との連携について」は、糖尿病患者のフォローアップや吸入薬指導を薬局に指示した場合、保険医療機関が感じるメリットとして「患者が正しく使用できるようになった」、「アドヒアランスが向上した」や「状況の報告が診療の参考になった」といった回答が多かった。
 特定薬剤管理指導加算2の届出を行っていない理由としては、「対象となる患者がいないため」や「満たすことが難しい要件があるため」といった回答が多かった。

 病院が入院時に薬局に担ってほしい支援としては「普段の服用状況、副作用の状況等の情報提供」、「持参薬の管理」や「重複投薬等の有無の確認」といった回答が多かった。

 論点としては、調剤後のフォローや入退院時の連携に対する評価が挙げられた。
 具体的には、「調剤後のフォローアップにより患者の状況等を把握し、保険医療機関に情報提供を行った場合の評価について、どのように考えるか」「退院時共同指導料の算定状況等をふまえ、現行の算定要件等についてどのように考えるか。」「保険医療機関と保険薬局の連携を強化し、より質の高い医療を提供する観点から、入退院時における保険医療機関と保険薬局の取組の評価について、どのように考えるか」などだ。

 4つ目のテーマでは、「医療的ケア児の薬学的管理について」では、「医療的ケア児等については、調剤を行う上での薬学的管理に考慮が必要な事項が多く内容が複雑であることを踏まえ、小児患者に対する薬学的管理指導の評価についてどのように考えるか」との論点が示された。

 5つ目のテーマである「在宅患者訪問薬剤管理指導に係る評価について」では、「在宅患者に対して、当該患者の在宅療養を担う医師と連携した他の医療機関の医師の指示に基づき、訪問薬剤管理指導を実施した場合の評価についてどのように考えるか」とのテーマが示された。

■日薬・有澤氏「6種類以上の薬剤、時間がかかる」

 こうした事務局の説明のあと、意見の口火を切ったのは日本薬剤師会常務理事の有澤賢二氏だ。

 有澤氏は、まず、「身近なかかりつけ薬剤師」が患者を支援することが重要との考えを強調した上で、「その観点から敷地内薬局が機能を十分に発揮できるのか考えざるを得ない」と指摘した。

 その上で、各論点について、意見を述べた。
 まず、6種類以上の薬剤で時間がかかることについては「薬剤の種類数ありきではないが、たしかに飲み合わせ、相互作用を評価・検討する観点が増える。服薬指導や薬歴作成の時間がかかることについて引き続き検討していくことは必要」とした。
 
 かかりつけ薬剤師以外の対応については、実態と必要性については「理解する」とする一方、「要件を緩和することで形骸化につながりかねない」として検討を要請した。重複投薬や残薬などの対応については引き続き推進が必要とした。服用薬剤調整支援料1と2を整理し、「より機動的にして、スキームをより多くの薬剤師になじませることが取り組みの推進につながる」との考えを示した。 

 服薬後のフォローアップについても、より効果的に推進することを求めた。

 退院時共同指導料に関連して、現在、医療資源の少ない地域でやむを得ない事情に限定してビデオ通話が認められているが、「原則、オンライン参加可能にしてもよいのではないか」とした。

 そのほか、入院時の取り組みの評価や医療的ケア児への評価を求めた。

 在宅評価については、在宅医とは別の医療機関の医師からの指示の場合でも算定できるよう求めた。6日以上の間隔を求める規定についても、「患者の通院の予定や休日の関係で難しいこともある」として、柔軟な対応を求めた。

■協会けんぽ安藤氏「薬剤種類多い場合の評価、重複チェックのディスインセンティブに」

 全国健康保険協会(協会けんぽ)理事長の安藤伸樹氏は、対人業務を評価する項目の算定率の低さを問題視。「対人業務の移行のために評価の拡充を行ってきたが、かかりつけ薬剤師指導料もほぼ横這いで推移しており、現状、求められている役割がなかなか果たせていないと認識している」と述べた。その上で、「何がネックになっているのか、要因分析を行うべき」とした。

 薬剤種類が多い場合については、「反復処方の場合は説明には比較的時間は要さないのではないか。重複投薬チェックのディスインセンティブにもなる」とした。

 服用薬剤調整支援料などについては評価の必要を認めつつ、「オンライン資格確認や電子処方箋によって対応しやすくなっていくものと思うため、慎重な検討を」とした。

■健保連幸野氏「薬剤種類の多い場合の評価はこれまでの改革に逆行する」

 健康保険組合連合会(健保連)理事の幸野庄司氏は、薬剤種類が多い場合の評価について反発。

 「必要なことは基本料、調剤料、薬価差益で経営で成り立っているところを改革していくこと。薬剤種類が多い場合の評価はこれに逆行するもので、こういった提案がなされること自体、信じられないこと」とし、「明確に反対する」と述べた。

 加えて、日薬の有澤氏に「こうした点数を薬局の方は必要だと思っているのか。そうは思わない」と質問した。

 一方、かかりつけ薬剤師以外の対応については、かかりつけ薬剤師の責任の下でほかの薬剤師がしっかりフォローすることはあってもよいとの考えを示した。

 服用薬剤調整支援料については、「オンライン資格確認や電子処方箋によって、これまで手帳を確認して疑義照会をしていた手間がシステム上でできるようになる。その時には当然の義務になり加算という考えは変わってくる」との考えを表明。その上で、「事務局はどういう位置づけで考えているのか」と質問した。

 医療機関との連携や服薬フォローは重要とし、「地域支援体制加算を取得していなくても、しっかりフォローしている場合を評価するという方向性は理解する」と述べた。

 在宅医療については、「主治医からの指示でなくでも算定することについて異論はない」とした。

■連合間宮氏「説明増えるのは薬剤が変わった時」

 日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員の間宮清氏は、薬剤種類が多い場合の評価について、「私も7種類の薬を出してもらっているが、毎回の説明を受けているわけではなく、1剤が変わった時などに説明される」との感触を述べた。その上で、「薬が増えたことで患者負担が増えることは避けていただきたい。明確に反対する」と述べた。

 かかりつけ薬剤師以外の評価については、「かかりつけ薬剤師の方は精神的に負担もあると聞いている。そこまでやっていただいているので、かかりつけ薬剤師以外の人は通常の調剤でいいのではないか」とした。

■日医「薬剤種類数多い場合もDO処方では時間かからないのでは」

 日本医師会の城守国斗氏は、これまでの対人評価の方向を継続するべきとした上で、薬剤種類数が多い場合の評価については、「現場の仕事としては理解する」とする一方、「DO処方の場合は薬局の説明は多くはないのでは」とした。
 
 オンライン資格確認や電子処方箋との関連については、「実際の現場での稼働はスタート時にも混乱があろうと思う。今は来年の改定の議論」と述べた。
 
 服用薬剤調整支援料の評価については「薬局で完結するものではない」として、「評価を検討するのであれば医療機関の薬剤師やかかりつけ医との連携が必要」とした。
 
 薬局と医療機関との連携については、「もちろん重要だが、在宅への移行で訪問診療する医師が院内処方をする場合もあり、退院時共同指導料で情報共有が足りていることもあるのでは」と述べた。
 
 退院時共同指導のICTの活用については、「まずは医療機関のチーム医療を担う薬剤師が中心となって地域の実情に応じて病院薬剤師と薬局薬剤師の連携が図られる。必要かどうかは病態と地域の実情によって異なる。入院時の持参薬の把握などは患者を受け入れる病院が責任をもって行うべきもの。薬局に入院前の把握をお願いするというよりは、薬局から患者が入院する医療機関に対して情報提供を行うのが本筋ではないか」とした。
 
 患者の安全のための医療機関の薬剤師の評価をしっかり行ってほしいとした。
 
 医療的ケア児については、「複雑な業務に対しての評価が提案されたと思うが、内容をみると対人業務というよりは対物業務の側面が強いように思う。否定するものではないが、薬学管理料とすることが適切かどうか。慎重な検討が必要」とした。
 
 医薬分業のあるべき姿について事務局に質問し、「5年以上前に期待された医療費の適正化について、何がどのように適正化されたのか」とした。

■慢性期医療協会・池端氏「かかりつけの“24時間”は基幹薬局との連携もありでは」

 日本慢性期医療協会副会長の池端幸彦氏は「対物から対人へは大きな流れはいい視点だが、現状でどこがシフトしているのかというと疑問もある」と述べた。

 その上で、かかりつけ薬剤師の推進について、「24時間連携難しいという声が挙がっているが、深夜の対応が本当に必要な場合は極めて稀と思っている。基幹薬局との連携で認めることもありだと思う」とした。

 退院時カンファレンスのICT利用については、「方向性は理解するが、今でもやむを得ない場合は認めている。私が関わる場合は薬剤師は参加している。全てオンラインで認めてしまっていいのか。まずは最初は一回会っておくことは重要ではないか」とした。
 
 医療的ケア児については「130分以上もかかるということで驚いた。一方で、対物業務の範囲なので、全体をみて」の議論が必要とした。小児在宅ケアに関しては「訪問薬剤管理は非常に重要であるので、やりやすい環境の改定はぜひすすめてほしい」とした。

■松本委員「医療的ケア児のケアの議論に感謝」

 日本医師会常任理事の松本吉郎氏は、「医療的ケア児に関して問題点の指摘に感謝したい」と述べた。
 
 「気管切開した患者さんは在宅で水の問題がある。1人1日1リットル、月に30リットル必要になる。災害時の電源の問題もある。報酬での評価は難しいと思うが、命に関わる問題を考えてほしい」と述べた。

■有澤委員「多種類の薬剤の処方はそのまま出すわけではない」

 日薬の有澤委員は、複数種類の薬剤に関して「出された処方については当然ながらチェックする。その時点で減薬も考慮に入れて検討する。決して種類が多いからということではなく、少なくとも1種類・2種類よりは薬学的考察を加える必要があるということ。相互作用、服薬のタイミング、服薬期間中のDI情報などそれらを照合して調剤しているのが現状。このあたりも考慮してほしい。そのままスルーして出すわけではない。DO処方の場合も、見かけは楽だろうと思われるかもしれないが、そんなことはなく、DI情報の随時の更新についてしっかりチェックをしている。患者さんの生活環境も変わってきた情報を得た上で指導を行っている」とした。

 医療ケア児に関して「対物業務である」との意見が出たことについては、「医療的ケア児の場合は単純に粉砕などでなく、微量の量の薬をどう投薬するか、味など子供一人一人の観点をみて判断している。手作業のものもあるが、どれらを二つに分けるというよりも、包括的な管理という位置づけで検討いただければ」とした。

■長島委員「オンライン資格確認等で医療機関で重複投薬の把握可能に」

 日本医師会常任理事の長島公之氏は、オンライン資格確認や電子処方箋について「しばらくは広く普及するという状況にはない」とした上で、「将来的に重要なことは薬局だけでなく、医療機関・医師が薬剤の一元的な把握、重複投薬等の情報把握できるということだ。薬剤治療のスタートでも医療機関で把握ができ、対応が可能になることで、将来的にはますます医療機関、医師、あるいは医療機関の薬剤師等の関わりが重要になってくる」と述べた。

■有澤氏「オンライン資格確認等で全ての患者情報は吸い上げられない」

 健保連の幸野氏は薬剤種類が多い場合の服薬指導の評価に関連して日薬の有澤氏に対し、「本当に薬剤師はこういった加算を望んでいるのか」と質問した。

 これに対し有澤氏は「多くが望んでいるというよりも、現場でしっかりこういったことに取り組んでいる人へ評価を与えていかなければいけないのではないかと考えている。実際に現場の人に評価をしてくれと言われたというよりも、将来も含めて頑張っていただきたいことを胸に置きつつ発言している」とした。

 また、「オンライン資格確認については本格運用したとしても、レセプト情報であり、OTC医薬品や健康食品などの情報、労災などの自費のものは情報として記載されてこない。オンライン資格確認で患者さんの全ての情報が吸い上げられるわけではない」とした。

■事務局「医薬分業のあり方、減薬など一定の効果」

 東京大学大学院経済学研究科教授の飯塚敏晃氏は、「重複投薬は重要だが、どのくらい重要なのか、どの程度重複投薬やポリファーマシーがあり、薬局でどの程度対応しているのかは見えない。NDBがあるのでデータをベースに議論できれば」と話した。

 最後に事務局は、電子処方箋と改定の関係について「これを用いた場合にどういった点が効率化されるのかが見えた時点で検討するものと考えている」とした。
 医療的ケア児と小児在宅の言葉が資料に併記されていたことについては、小児在宅についてもどの範囲で評価するかは議論が必要とした。
 在宅領域の改定については、介護保険と医療保険の関係については関係部局と連携したいとした。
 医薬分業のあり方については、「処方箋ごとよりも患者さんごとの全人的な把握と評価が分業の目指すところと認識している。医療費適正化の効果については、重複投薬防止加算などの実績では減薬などの一定の効果はあったものと思うが、定量的にどれがどのくらいかについては今後の課題」とした。
 NDBを活用した議論については、「評価できるデータを検討したい」としつつも、重複投薬防止などの実績については「同じ成分であれば分かるが、同じ薬効群などについては違う疾患で使われているなど個別の専門的な判断が必要」として、必ずしもデータだけでは評価が難しいこともあるとの考えを示した。

<編集部コメント>「6種類薬剤」論議の根底にあるのは対物の中にある見えづらい対人業務の“吸い出し”

 今回の中医協の議論で見えた方向性を整理する。

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