会見した東京都薬剤師会会長の永田泰造氏は、デカドロンなどのステロイド剤に関して、東京医薬品卸業協会(理事長:長福恭弘氏)と連携して、地域で適切量を確保していく方針を示した。
8月26日に東京都薬剤師会から東京医薬品卸業協会へ、安定確保に関して要請の文書を発出。コロナの自宅療養者が急増する中、中等症Ⅱの治療に用いられるステロイド薬(デキサメタゾン、プレドニゾン)についても出荷調整が行われているとして、「適切な出荷」への「特段の配慮」を依頼していた。具体的には都内に33ある医薬品・情報管理センターのうち、16で分割販売を行っており、こうした基幹施設を中心に卸から出荷してもらい、地域の薬局が必要な時に困らない体制を整備する。
依頼文書の翌日8月27日には、東京医薬品卸業協会から都内の卸会員企業に対し、東京都薬剤師会からの協力要請通知を周知。「当該通知を踏まえ、安定供給の観点から各地区の状況等を配慮しつつ、必要とする患者に医薬品がいきわたるよう、適切な供給体制の維持・確保をお願い申し上げます」と会員各社へ連絡した。
また、9月2日には東京都薬剤師会と日医工との間で情報交換を行い、患者への薬剤供給の観点から、デカドロン錠に関して医薬品・情報管理センターおよび基幹薬局に対して、できる限り優先的に納入してもらえるよう東京都薬剤師会から要請し、日医工側から「可能な限りの対応をする」との回答を得たという。
当然、通常の薬局業務でデカドロンなどのステロイド薬の調剤は各薬局で行っているものであり、今回のスキームはコロナ自宅療養者などへ処方箋が出て対応が必要であるにもかかわらず薬局での入手ができなかった場合に地域で備えておくという、いわばセーフティーネットの対応となる。
一方、会員薬局に関しては、医薬品・情報管理センター等の分割販売業務の周知を行うと同時に、会員薬局が過度な在庫を抱えないよう説明していくとしている。

【コロナ自宅療養患者向けデカドロン】東京都薬剤師会、適切量の確保へ東京医薬品卸業協会と連携/基幹薬局へ出荷→地域の薬局へ分割販売
【2021.09.04配信】東京都薬剤師会は9月3日に定例会見を開き、コロナ自宅療養患者へのデカドロン(成分名デキサメタゾン)などのステロイド剤に関して、東京医薬品卸業協会と連携して地区薬剤師会での適切量を確保していく方針を示した。都内に33ある医薬品・情報管理センターのうち、16で分割販売を行っており、こうした基幹施設を中心に適切量を確保。地域の薬局からの入手要請に対して分割販売することで、応えられる体制をとりたいとの考えを示した。
関連する投稿
【薬局の休日当番】「自治体から補助金届いているか」/東京都薬剤師会が調査
【2025.06.09配信】東京都薬剤師会は6月6日に定例会見を開き、薬局が休日当番をしている際に対価が自治体から手当てされているかどうか、状況を調査することを明らかにした。
【東京都薬剤師会】独自eラーニングに連携強化加算対応コンテンツを追加
【2025.04.04配信】東京都薬剤師会(都薬)は4月4日、定例会見を開いた。この中で、都薬独自eラーニングであるt-MYLSに連携強化加算対応のコンテンツを追加したと説明した。
【東京都薬剤師会】髙橋会長「若い人がやってくれたら嬉しいと思っていた」/会長選で
【2025.03.07配信】東京都薬剤師会(都薬)は3月7日に定例会見を開いた。この中で髙橋正夫会長は、2期目続投を決めた都薬会長選挙について語った。
【東京都薬剤師会】賃上げと物価高騰の状況調査実施/骨太方針や改定基礎資料に
【2025.03.07配信】東京都薬剤師会(都薬)は3月7日に会見を開き、「薬局経営における賃金引き上げ状況及び物価高騰の影響に関する調査」を実施することを明らかにした。薬局の賃上げ対応については令和6年度調剤報酬改定で調剤基本料に含める形で対応されたが、十分な評価になっていないとの指摘も上がっている。
【東京都薬剤師会】緊急避妊薬調査事業、協力医療機関数が250に
【2025.02.07配信】東京都薬剤師会は2月7日に定例会見を開いた。この中で、緊急避妊薬販売にかかる環境整備のためのモデル的調査事業の協力医療機関リストを公開した。250の医療機関から協力を得た。
最新の投稿
【大木ヘルスケアHD】“推し活”キーに医薬品需要に気付き/目薬や喉ケア/秋冬商品提案で
【2025.06.15配信】ヘルスケア卸大手の大木ヘルスケアホールディングスは6月11日に、事業部説明会を開催した。来る6月17日(火)~6月18日(水)にTRC 東京流通センターで開く「2025OHKI秋冬用カテゴリー提案商談会2025 年 OHKI 秋冬用カテゴリー提案商談会」の事前説明会の位置付け。OTC医薬品に関しては、“推し活”市場の拡大を背景に、“推し活”をきっかけに需要に気付きを与える提案を実施することを説明した。
【骨太方針_閣議決定】「高齢化の伸び」に経済・物価動向の増加分を加算
【2025.06.13配信】政府は6月13日、「経済財政運営と改革の基本方針 2025」、いわゆる骨太方針を閣議決定した。医療・介護に関連しては、「高齢化による増加分に相当する伸びにこうした経済・物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算する」と記載した。これまでは、社会保障関係費の伸びを高齢化の範囲内に抑える方針がとられてきた。薬剤師で参議院議員の神谷政幸氏はXで「税収増を踏まえた経営の安定化や確実な賃上げに繋がる対応がついに反映」と投稿。医療介護業界の声が届いたとの考えを示唆した。
【奈良県薬剤師会】「健康ハートの日 2025」に協賛/気になる“nara”測ろう血圧ポスター作成
【2025.06.12配信】奈良県薬剤師会(後岡伸爾会長)は、「健康ハートの日 2025」に協賛する。
【マイナ保険証】活用で「多重受診・過剰処方」発見効果/日本保険薬局協会調査
【2025.06.12配信】日本保険薬局協会は6月12日に定例会見を開き、「保険薬局における医療DX活用と業務貢献等の実態調査」の結果を説明した。「多重受診・過剰処方」の発見など効果がみられた。
【日本医師会】自公維3党合意に見解公表/病床削減と医療DXに「総論賛同」
【2025.06.10配信】日本医師会は6月9日、自由民主党、公明党、日本維新の会の3党合意についての見解を公表した。