改正薬機法のうち、法令遵守規定は8月1日から施行になる。
これに先駆け、厚労省はガイドラインを発出していた。
これを受けて、日本チェーンドラッグストア協会は独自のガイドラインを策定し、会員企業に送付、活用を促した。
独自のガイドラインは、「薬局管理者の選任に関するガイドライン」と、「医薬品販売業における店舗管理者の選任ガイドライン」の2つ。
前者は調剤推進委員会(榊原栄一委員長)、後者は登録販売者委員会(浦上晃之委員長)が作成したもの。主に、厚労省のガイドラインで「5年」の勤務経験を推奨した管理者の選定基準に関して、業界の考え方をまとめたものとなっている。
1つ目の「薬局管理者の選任に関するガイドライン」では、「おおむね3年以上の保険薬剤師としての薬局勤務経験」を選任基準とした。加えて、コンプライアンスに関する研修(内部研修、外部研修の別を問わない)の修了を求めている。
一方、但書として、小規模の薬局では当面は2年の経験でよいとした。
「処方件数等が少ない小規模薬局の管理者については、当分の間、2年以上の保険薬剤師としての薬局勤務経験に加えて研修認定制度による認定薬剤師の資格を有することをもって、要件を満たすものとして差し支えない」とした(この場合でもコンプライアンス研修の修了は必須)。
さらに、医療機関勤務経験も経験に含める考えを示した。「保険医療機関における薬剤師として勤務経験を1年以上有する場合、当該勤務経験を保険薬剤師としての薬局勤務経験の期間に含めることができる(ただし1年を上限とする)」とした。この考えはかかりつけ薬剤師指導料に関する規定に合わせたとする。
適用期間は施行日である2021 年8月1日以後のあらたな選任からとする。
適用前に選任された管理者に対しては「薬局勤務経験は要件ではない」とする一方、コンプライアンスに関する研修や研修認定制度による認定薬剤師の資格取得を推奨している。
JACDSでは今回ガイドラインを作成した背景として、改正薬機法により法令遵守の一環として薬局開設者は必要な能力と経験を有する者を管理者に選任しなければならないこととなったが、法令のほか厚生労働省のガイドラインでも選任の具体的な要件は定められておらず、会員から協会のガイドラインを希望する数多くの声が寄せられたことを挙げた。
独自ガイドラインの位置づけとしては、会員の便宜のために作成したもので、「なんら強制するものではない」とする。また、管理者の選任には総合的な判断であり、本基準を満たせば一律に選任されるものではないとし、「本ガイドラインは最低基準。これを超える基準の作成を妨げるものではない」とした。
他方、もう一つの「医薬品販売業における店舗管理者の選任ガイドライン」では、登録販売者を店舗管理者に選任する場合には、法令上の要件(過去5年のうち 24 か月 1920 時間の実務・業務経験)に加え、外部研修(年度単位で直近の12時間)とコンプライアンスに関する研修(内部研修、外部研修の別を問わない)を修了していることを求めている。
薬剤師を店舗管理者に選任する場合には、コンプライアンスに関する研修(内部研修、外部研修の別を問わない)を求める。

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