地域支援体制加算の要件緩和求める/「調剤基本料1以外」の薬局も夜間・休日対応と麻薬は「実績ではなく体制整備に」
NPhAは「2022年度診療報酬改定等に関する要望」をまとめ、厚労省などに提出している。
6つの要望事項のうち、重点項目は1〜3の3つ。
1、患者にとって分かりやすく、薬局が果たしている機能を公正に評価
2、医薬品の安定供給と、後発医薬品のさらなる使用促進
3、患者や地域医療のニーズを踏まえた、かかりつけ薬剤師・薬局制度の見直し
トップに掲げた「薬局が果たしている機能を公正に評価」は、調剤基本料のことだ。
比較的個店が取得しやすいと言われ、特定の医療機関からの処方箋集中率の低い「調剤基本料1」において、調剤報酬が手厚い一方で、薬局が持つ機能は「調剤基本料1」以外が高いと指摘した。
事例として、社会医療診療行為別統計を解析した結果では、「基本料と地域支援の平均点数」の状況では、2015年6月には全体平均50.05点、「基本料1+地域支援の平均点数」51.89点、「基本料1以外+地域支援の平均点数」25.02点。この時点でも「1」と「1以外」の格差はあるが、これは年を追うごとに格差が拡大している。
2016年6月 平均が45.84 、「1」が50.49、「1以外」が22.46
2017年6月 平均が48.62、「1」が53.07、「1以外」が22.62
2018年6月 平均が47.50、 「1」が55.83、「1以外」が 19.77
2019年6月 平均が48.48、「1」が56.74、「1以外」が19.78
また、薬局機能に関しては、厚生局届出状況において、「調剤基本料1」における地域支援体制比率が38.6%、GE変更80%以上が66.5%、かかりつけ薬剤師届出が54.7%、在宅年間10件以上が31.4%である一方、「1以外」では地域支援体制2.2%、GE変更80%以上が77.0%、かかりつけ薬剤師届出は66.2%、在宅年間10件以上が42.0%と概ね「1以外」が高いとした。
NPhAでは、「例えば、地域支援体制加算の要件のうち、夜間・休日対応実績と麻薬調剤の実績については周囲の医療環境によっては達成不可能であり、地域連携薬局と同様にその体制を整備することで満たすこととするよう要望する」としている。
一方、重点事項2の後発医薬品の使用促進については、変更不可処方箋がいまだ一定数残っていることを問題視。504施設を対象とした調査では、「先発品処方で変更不可」が18.1%、「後発品処方で変更不可」が9.4%という。
また、薬効別に変更率に格差があるとして、変更率が40.4%の外皮用薬、変更率60.6%の中枢神経系用薬などに、変更余地があるとした。
変更余地はバイオシミラーにもあるとする一方、「完全に同一ではない不安感」や「変更ルールの浸透」、「疑義紹介が必要である」などの点が薬局において課題になっているとした。
重点事項3のかかりつけ推進に関しては推進を目指す一方で、在宅等の薬局外業務を行うことで、かかりつけ患者を担当できない場合があるとの課題も指摘している。この項ではフォローアップの評価も求めている。
「在宅や地域連携のニーズが増す中で、実情を踏まえたかかりつけ薬剤師・薬局制度の見直しを要望する」としている。
往診同行時の処方提案業務の評価を
重点事項3までは5月の会見でも概ね説明されていたが、6月10日の会見で補足されたのが重点事項4〜6と、それぞれの個別要望事項。
4、患者にとって安心で質の高い在宅医療の推進について
①間隔が6日以上開かない訪問の評価
②主治医以外の他科からの処方薬の指導・管理に対する評価
③医師の在宅訪問に同行した際の処方設計過程における処方提案、情報提供等の評価
④認知症の人やその家族を支えるための他職種連携や、薬物治療上の成果を評価
5、医療機関等との情報連携の推進について
①同一医療機関の複数診療科における重複投薬防止の取り組みを評価
②入院治療移行時の情報提供に対する評価
③プロトコルに基づく問い合わせの簡略化や薬物治療管理の推進
6、ICTを活用したより効率的かつ、質の高い薬物治療について
在宅医療では祝日などの事情で訪問を前倒しするなどがあるが、こうしたケースで間隔が6日以上空いていないために算定できないケースがあるという。往診同行を行なっている比率は16.8%で、その際に76.8%が処方提案を行なっているという。在宅医療では特に認知症患者への介入の難しさと効果の高さを事例でまとめ、こうした業務への評価を求める。
単一医療機関内で重複投薬の確認をした経験は47.5%(「よくある」と「ある」の合計)で半数にのぼり、「複数医療機関からの処方」を想定する服用薬剤調整支援料2の条件緩和要望も滲ませる。