9月1日は防災の日だった。よく知られているように、9月1日は関東大震災にちなんだもので、「災害への備えを怠らないように」との戒めも込められている。
防災の啓発はドラッグストア・薬局にとって、役割の一つといえる。そこで、ドラビズon-line編集部では「防災 薬局」で検索してみた。
すると、ヒットしたサイトは「災害が発生した時に薬剤師はどのように地域に貢献するか」といった、〝発災後〟の情報を掲載しているものが多かった。
それも重要だが、防災の実効的な要素としては、地域住民の日頃の防災意識の向上や備えがある。
そんな中、検索上位にヒットしたココカラファインのサイトでは、防災グッズをどう揃えたらよいのかの情報がまとまっており、貴重な情報を発信している。
さらに同社のサイトでは、「感染対策も含めて防災グッズを見直す」という視点が含まれており、更新は2020年6月30日。最近のトピックを含めて情報発信する姿勢が見える。
「いざというとき慌てないように!常備しておきたい防災グッズリスト」のほか、日常的に古いほうから使って買い足す「ローリングストック」を取り入れる重要性も指摘している。
また、検索2位に上がったマツモトキヨシホールディングスのサイトでは、「薬剤師監修防災グッズ』に入れておきたい医薬品4選」のコラムをアップしていた。
持病の薬(3日分を目安)や怪我の処置に使う薬・衛生用品、「かかる可能性がある病気に備えた薬」を挙げる。その上で、日常生活よりも衛生環境が悪く、ストレスがかかる可能性が予想される災害時に「かかる可能性がある病気に備えた薬」をセレクトしている。風邪薬や整腸薬、解熱鎮痛剤、かゆみ止めを挙げる。
どららのサイトも素晴らしいのだが、情報だけで実際の購入まで行きつく構造にはなっていなかったり、一つ一つのアイテム購入はできても全体を包括した「防災セット」の購入はできない。生活者にとっては、どこか物足りなさを感じるのではないだろうか。
防災の観点から、備蓄の重要性は日本チェーンドラッグストア協会が啓発をしてきた。同協会では備蓄リストをパンフレットにして加盟企業に配布し、家庭内備蓄の考え方を啓発する内容になっていた。こうした取り組みと、実際のドラッグストア企業の取り組みや店頭がより濃密になると、社会に及ぼす貢献度もぐっと高まるのではないだろうか。
一つの壁として、防災セットは重量があるため、店頭に置くのは不向きということがある。では、ドラッグストアの通販で扱えばよいとも思うが、ドラッグストアの通販は店頭での取り扱い製品と連携しているため、店頭に置いていないものは通販でも取り扱ってはいないようだ。
「防災セットの啓発の役割」と、「防災セットの販売」の溝を埋める施策はないものだろうか。
いうまでもなく、わが国では災害が多く発生し、豪雨などのこれまで以上に発生が懸念される災害も増加している。加えて、Withコロナにおける防災の考え方はどのようにあるべきか。業界からの情報発信や取り組みも求められている。今後の展開に期待したい。
ココカラファインは同社ホームページを通して、避難所での感染予防も意識して防災グッズを見直すことを啓発している