日本薬剤師会(日薬)は、厚生労働省の厚生科学審議会・医薬品医療機器制度部会による薬機法等制度改正に関するとりまとめについて、1月14日付けで都道府県薬剤師会宛に情報周知を発した。
令和元年の薬機法等改正法(令和元年法律第63号)附則では、施行後5年を目途として、改正後の法律に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとされていた。
連絡の中では、令和6年4月以降、計10回にわたり次期制度改正に向けた様々な検討が行われ、日薬としても構成員として、国民・患者の安全を守る視点から必要な主張をしたと説明。
とりまとめにおいては、①医薬品等の品質確保及び安全対策の強化、②品質の確保された医療用医薬品等の供給、③ドラッグ・ラグやドラッグ・ロス解消に向けた創薬環境・規制環境の整備、④薬局機能・薬剤師業務のあり方の見直し及び医薬品の適正使用の推進について、基本的な考え方及び具体的な方向性が示されていると説明した。
ここで示されている具体的な方策に基づき、今後、厚生労働省では、制度化に向けた検討が進められることになるとした上で、都道府県薬剤師会においてもその趣旨・内容について理解するよう求めている。
関連して日薬会長の岩月進氏は、現在の状況について、「最終段階であり、リーガルチェック受けているところと承知している」との認識を示し、「ここまできているので大幅な修正はないものと承知している」と述べた。
また、日薬が制度部会で主張してきた「地域医薬品提供計画」については、文言そのものは入らない見込みだとした。その上で、「(地域医薬品提供計画の)精神についてはなんとかご理解を頂けたのかなと思っている」とした。
加えて、過量服薬、いわゆるオーバードーズに関してかなり議論となったが、「本会の要望も入れていただいた」と述べるとともに、医薬品の安定確保へ向けた製造に関する責任体制強化について「取り組みができたことを評価している」と述べた。
「精神」がどのように最終的に法案に反映されるのかについては、岩月会長は「全文が出てきていない」ので法案については言及できないとした上で、「制度部会で議論をしてきたことは事実。反映されるなら議論した甲斐があったと思っている。実際に議論されたし、精神について情報共有されたと思う」と述べた。
とりまとめでは薬局の機能の項で地域への医薬品の提供について触れられており、この辺りの項で法案に書き込みの可能性はゼロではないといえる。また、すでに医療計画には薬局の指標が含められており、岩月会長は「その辺りを含めた議論だった」との見方を示した。

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