【一次医療圏の薬局における夜間休日対応】市町村カバー率は85%

【一次医療圏の薬局における夜間休日対応】市町村カバー率は85%

【2024.09.18配信】厚生労働省は9月18日に「第9回薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」を開いた。この中で一次医療圏ごとの薬局における夜間休日対応の状況について速報値を公開した。速報値によると、市区町村1741のうち、薬局があるのは1603、このうち夜間・休日対応薬局があるのは1479だった。市町村のカバー率は85.0%の計算になる。


近隣の市区町村の薬局が対応している場合があることに留意必要

 「令和6年度規制改革実施計画(令和6年6月2 1日閣議決定)」では、「在宅医療における円滑な薬物治療の提供」について、一次医療圏ごとの薬局における在宅対応に関する体制・機能等の情報を公開することとしていた。
 一次医療圏は、おおむね市町村単位。

 同日の検討会では、速報値であることを強調した上で、一次医療圏ごとの薬局における在宅対応に関する体制・機能等の情報を示した。

 それによると、市区町村1741のうち、薬局があるのは1603だった。
 また、このうち、夜間・休日対応薬局(輪番制による対応を含む)があるのは1479。本紙編集部が算出したところ、市町村1741における夜間・休日対応薬局1479のカバー率は85.0%。
 また在宅対応可能薬局があるのは1534。おおむね、多くの市区町村には対応可能な薬局が存在している。

  一方、薬局がない町村も138。うち訪問看護ステーションが存在するのは13。

 薬局は存在するが、休日・夜間対応(輪番制を含む)がない市町村は124(うち訪問看護ステーションがあるのは40)、在宅対応可能な薬局がない市町村は69ある(うち訪問看護ステーションがあるのは20)。
 また、訪問看護ステーションがない市町村は448(うち薬局がある市町村は323)。

 なお、薬局がない、または薬局はあるが夜間・休日や在宅対応可能な薬局がない町村であっても、近隣の市区町村の薬局が対応している場合があり、必ずしも対応する薬局が存在しないということではないことに留意が必要とした。
 訪問看護ステーションにおいても同様のことがいえるとしている。

日医宮川氏、一次医療圏のデータ把握の実効性を疑問視

 こうした結果に関連して日本医師会常任理事の宮川政昭氏は、一次医療圏ごとのデータを開示することの意義に懐疑的な立場を示した。
 宮川氏は「医療において一次医療圏(市町村ごとに状況を見ること)には意味がない」と言及。
 宮川氏はこれまでも多職種で工夫をしながら医療提供体制をつくってきた経緯に触れ、「365日、24時間、行政も含めて関われるのかとなってしまう。空虚な規制改革が出たために議論しないといけなくなっている」と述べ、一次医療圏ごとの情報開示を求めた規制改革にも疑問を呈した。
 加えて、薬剤提供に困窮する事例が数多くあったのかについても、そうではなかったというデータが検討会でも示されたのではないかとした。「切り取った議論をどこまでしていいのか。片面からみた、出来ていない、薬剤師はいないと議論するのはどうなのか」(宮川氏)。多職種連携の中での議論が重要との姿勢を示した。

この記事のライター

関連する投稿


【厚労省】薬局検討会のとりまとめ公表/地方行政も関与し「必要な体制を構築」

【厚労省】薬局検討会のとりまとめ公表/地方行政も関与し「必要な体制を構築」

【2024.09.30配信】厚生労働省は9月30日、「薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」の「これまでの議論のまとめ」 を公表した。


【厚労省】処方箋保存期間の検討を提示/薬局検討会

【厚労省】処方箋保存期間の検討を提示/薬局検討会

【2024.07.19配信】厚生労働省は、現在3年間となっている処方箋の保存期間について見直す方針を示した。「第7回薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」で提示した。診療録の保存期間が5年となっている中、電子処方箋については処方箋を調剤済みとなった日から5年間保存するサービスを提供しているなどの環境変化を挙げている。今後、制度部会で議題とする方針。


【日本保険薬局協会】健康サポート薬局と地域連携薬局「違いない」/厚労省検討会に意見書

【日本保険薬局協会】健康サポート薬局と地域連携薬局「違いない」/厚労省検討会に意見書

【2024.07.19配信】日本保険薬局協会は7月19日に開かれた厚労省「第7回 薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」で意見書を提出した。「健康サポート薬局、地域連携薬局、地域支援体制加算届出薬局が描く薬局像は、小異こそあれ、分立させるほどの違いはない」とした。


【薬局検討会】健康サポート薬局、「薬機法で定めるべき」/日本薬剤師会が要望

【薬局検討会】健康サポート薬局、「薬機法で定めるべき」/日本薬剤師会が要望

【2024.04.22配信】厚生労働省は4月22日、「第4回薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」を開き、健康サポート薬局と認定薬局(地域連携薬局、専門医療機関連携薬局)の在り方について議論した。


【厚労省_薬局機能検討会】日本保険薬局協会の藤井氏/夜間・休日周知で「行政機関の関与重要」

【厚労省_薬局機能検討会】日本保険薬局協会の藤井氏/夜間・休日周知で「行政機関の関与重要」

【2024.03.25配信】厚生労働省は3月25日、「第3回薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」を開催し、「薬局による夜間・休日対応(外来、在宅)」について議論した。


最新の投稿


【厚労省_流通改善懇談会】「1社流通」への問題指摘相次ぐ

【厚労省_流通改善懇談会】「1社流通」への問題指摘相次ぐ

【2024.10.11配信】厚生労働省は10月10日、「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」(流改懇)を開いた。この中で、メーカーが卸を1社に限定する「1社流通」に関して問題の指摘が相次いだ。


【中医協】認知症薬「ケサンラ」の薬価算定やコロナ治療薬「ゾコーバ」の費用対効果を議題に

【中医協】認知症薬「ケサンラ」の薬価算定やコロナ治療薬「ゾコーバ」の費用対効果を議題に

【2024.10.10配信】厚生労働省は10月9日、中央社会保険医療協議会(中医協)を開いた。認知症薬「ケサンラ」の薬価算定やコロナ治療薬「ゾコーバ」の費用対効果を議題とした。


【オンライン資格確認】訪問診療等向けのアプリがスタート

【オンライン資格確認】訪問診療等向けのアプリがスタート

【2024.10.08配信】令和6年10月1日から、薬局の在宅業務を含む訪問診療等においてマイナ資格確認アプリが利用可能となった。 アプリを利用することで、目視確認による本人確認が可能になる。


【福岡厚労相】局所麻酔薬「アナペイン」の不足問題にコメント

【福岡厚労相】局所麻酔薬「アナペイン」の不足問題にコメント

【2024.10.08配信】福岡資麿厚生労働相は10月8日、全国的な不足が指摘されている局所麻酔薬「アナペイン」の対策についてコメントした。


【日本薬剤師会_新理事の“横顔”⑦】池田里江子氏/「みんなで何かをするのが好き」、学術大会では企画班長

【日本薬剤師会_新理事の“横顔”⑦】池田里江子氏/「みんなで何かをするのが好き」、学術大会では企画班長

【2024.10.07配信】日本薬剤師会は岩月進新会長の下、6月30日の総会をもって新執行部を立ち上げた。本紙では、その中でも新たに理事になったメンバーに焦点を当てて取材、紹介する。第7回は池田里江子氏。【シリーズ最終回】


ランキング


>>総合人気ランキング