近隣の市区町村の薬局が対応している場合があることに留意必要
「令和6年度規制改革実施計画(令和6年6月2 1日閣議決定)」では、「在宅医療における円滑な薬物治療の提供」について、一次医療圏ごとの薬局における在宅対応に関する体制・機能等の情報を公開することとしていた。
一次医療圏は、おおむね市町村単位。
同日の検討会では、速報値であることを強調した上で、一次医療圏ごとの薬局における在宅対応に関する体制・機能等の情報を示した。
それによると、市区町村1741のうち、薬局があるのは1603だった。
また、このうち、夜間・休日対応薬局(輪番制による対応を含む)があるのは1479。本紙編集部が算出したところ、市町村1741における夜間・休日対応薬局1479のカバー率は85.0%。
また在宅対応可能薬局があるのは1534。おおむね、多くの市区町村には対応可能な薬局が存在している。
一方、薬局がない町村も138。うち訪問看護ステーションが存在するのは13。
薬局は存在するが、休日・夜間対応(輪番制を含む)がない市町村は124(うち訪問看護ステーションがあるのは40)、在宅対応可能な薬局がない市町村は69ある(うち訪問看護ステーションがあるのは20)。
また、訪問看護ステーションがない市町村は448(うち薬局がある市町村は323)。
なお、薬局がない、または薬局はあるが夜間・休日や在宅対応可能な薬局がない町村であっても、近隣の市区町村の薬局が対応している場合があり、必ずしも対応する薬局が存在しないということではないことに留意が必要とした。
訪問看護ステーションにおいても同様のことがいえるとしている。
日医宮川氏、一次医療圏のデータ把握の実効性を疑問視
こうした結果に関連して日本医師会常任理事の宮川政昭氏は、一次医療圏ごとのデータを開示することの意義に懐疑的な立場を示した。
宮川氏は「医療において一次医療圏(市町村ごとに状況を見ること)には意味がない」と言及。
宮川氏はこれまでも多職種で工夫をしながら医療提供体制をつくってきた経緯に触れ、「365日、24時間、行政も含めて関われるのかとなってしまう。空虚な規制改革が出たために議論しないといけなくなっている」と述べ、一次医療圏ごとの情報開示を求めた規制改革にも疑問を呈した。
加えて、薬剤提供に困窮する事例が数多くあったのかについても、そうではなかったというデータが検討会でも示されたのではないかとした。「切り取った議論をどこまでしていいのか。片面からみた、出来ていない、薬剤師はいないと議論するのはどうなのか」(宮川氏)。多職種連携の中での議論が重要との姿勢を示した。