【厚労省】選定療養に関する疑義解釈を発出

【厚労省】選定療養に関する疑義解釈を発出

【2024.08.22配信】厚生労働省は8月21日、令和6年10月から実施される「後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養」に関して、疑義解釈(その2)を発出した。


 令和6年10月からは、後発医薬品(ジェネリック医薬品)がある医薬品で先発医薬品の処方を希望する場合は、「特別の料金」を患者が負担する必要がある。

 こうした選定療養に関して厚労省は疑義解釈を発出した。

 文書名は、「長期収載品の処方等又は調剤の取扱いに関する疑義解釈資料の送付について(その2)」で、内容は以下の通り。


【処方箋の記載について】
 問1 「変更不可(医療上必要)」欄及び「患者希望」欄の双方に「✓」又は「×」がついた場合、保険薬局においてはどのような取扱いになるか。
(答)「変更不可(医療上必要)」欄及び「患者希望」欄の双方に「✓」又は「×」がつくことは、通常は想定されず、医療機関のシステムにおいても双方に「✓」又は「×」を入力することはできないと考えられるが、仮にそのような場合があれば、保険薬局から処方医師に対して疑義照会を行う等の対応を行うこと。
 なお、医療機関では、「長期収載品の処方等又は調剤について」(令和6年3月 27 日保医発 0327 第 11 号)において、「「変更不可(医療上必要)」欄に「✓」又は「×」を記載した場合においては、「患者希望」欄には「✓」又は「×」は記載しないこと。」としているところであり、医療上の必要性がある場合は、「変更不可(医療上必要)」欄にのみ「✓」又は「×」を記載すること。

 問2 令和6年 10 月1日前に処方された長期収載品であって、保険薬局に 10月1日以降に処方箋が持ち込まれた場合は制度施行前の取扱いとなるのか。
(答)そのとおり。

 問3 令和6年 10 月1日前に処方された長期収載品であって、保険薬局に 10月1日以降に 2 回目以降の調剤のためにリフィル処方箋や分割指示のある処方箋が持ち込まれた場合は制度施行前の取扱いとなるのか。
(答)そのとおり。

 問4 令和6年 10 月1日以降に旧様式の処方箋で処方された長期収載品であって、後発品変更不可にチェックがあるものの、理由について記載がされていないものについてどう扱えばよいか。
(答)保険薬局から処方医師に対して疑義照会を行う等の対応を行うこと。

 問5 「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」(平成 18 年厚生労働省告示第 107 号)第三の十四(三)において、「後発医薬品のある先発医薬品の処方等又は調剤に係る費用徴収その他必要な事項を当該保険医療機関及び当該保険薬局内の見やすい場所に掲示しなければならないものとする。」とされているが、掲示内容について参考にするものはあるか。
(答)院内及びウェブサイトに掲示する内容については、以下の URL に示すポ
スターを参考にされたい。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39830.html

【診療報酬明細書の記載について】
 問6 医事会計システムの電算化が行われていないものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関及び保険薬局については、薬剤料に掲げる所定単位当たりの薬価が 175 円以下の場合は、薬剤名、投与量等を記載する必要はないとされているが、医療上の必要性等により長期収載品を処方等又は調剤した場合の理由は記載が必要となるのか。
(答)記載不要。

【公費負担医療について】
 問7 生活保護受給者である患者が長期収載品を希望した場合は、どのように取り扱うことになるのか。
(答)
【長期収載品の処方等が医療扶助の支給対象にならない場合】
 「生活保護法第五十二条第二項の規定による診療方針及び診療報酬」(昭和 34 年厚生省告示第 125 号)第2に基づき、生活保護受給者については、長期入院選定療養以外の選定療養は医療扶助の支給対象とはならないとしている。
 このため、生活保護受給者である患者が、医療上必要があると認められないにもかかわらず、単にその嗜好から長期収載品の処方等又は調剤を希望する場合は、当該長期収載品は医療扶助の支給対象とはならないため、生活保護法(昭和 25 年法律第 144 号)第 34 条第3項に基づき、後発医薬品処方等又は調剤を行うこととなる。
【長期収載品の処方等が医療扶助の支給対象になる場合】
 長期収載品の処方等を行うことに医療上必要があると認められる場合は、当該長期収載品は医療扶助の支給対象となる。

 問8 生活保護受給者である患者が、単にその嗜好から長期収載品を選択した場合、「特別の料金」を徴収するのか。
(答)生活保護受給者である患者について、医療上の必要性があると認められず、かつ、保険医療機関又は保険薬局において後発医薬品を提供することが可能である場合は、長期収載品を医療扶助又は保険給付の支給対象として処方等又は調剤することはできないため、当該患者が単にその嗜好から長期収載品を希望した場合であっても、後発医薬品を処方等又は調剤することとなる。そのため、「特別の料金」を徴収するケースは生じない。

■厚労省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39830.html

この記事のライター

関連するキーワード


選定療養

関連する投稿


【長期品の選定療養】「同一性への固執」による「医療上の必要性」認める

【長期品の選定療養】「同一性への固執」による「医療上の必要性」認める

【2025.03.18配信】厚生労働省は3月14日、「長期収載品の処方等又は調剤の取扱いに関する疑義解釈資料の送付について(その4)」を発出した。


【長期品の選定療養】患者が負担する「特別の料金」、医療費控除の対象/厚労省疑義解釈

【長期品の選定療養】患者が負担する「特別の料金」、医療費控除の対象/厚労省疑義解釈

【2025.03.18配信】厚生労働省は3月14日、「長期収載品の処方等又は調剤の取扱いに関する疑義解釈資料の送付について(その4)」を発出した。


【東京都薬剤師会_カスハラ調査結果】「漂白剤かけられた」/事件性疑われる事例も複数確認

【東京都薬剤師会_カスハラ調査結果】「漂白剤かけられた」/事件性疑われる事例も複数確認

【2025.01.10】東京都薬剤師会(都薬)は1月10日に定例会見を開いた。その中で都薬が進めていたカスハラに関する調査結果を公表した。「ハイターをかけられた」などの事件性が疑われる案件も複数明らかとなり、薬局・薬剤師が苦しめられている状況がわかった。一方で、医療従事者として我慢して対応している薬剤師の姿も浮かび上がった。また、きっかけに医薬品不足や選定療養などの社会環境や制度変更もあった。


【日本薬剤師会】“期中改定”でコメント公表

【日本薬剤師会】“期中改定”でコメント公表

【2024.12.26配信】日本薬剤師会は12月26日、診療報酬改定のない年の“期中改定”についてコメントを公表した。


【選定療養の影響調査】ヒルドイドの調剤額が4割超減/インテージリアルワールド社

【選定療養の影響調査】ヒルドイドの調剤額が4割超減/インテージリアルワールド社

【2024.11.15配信】株式会社インテージリアルワールドはこのほど、長期品の選定療養導入による後発医薬品への切替の影響を調査した。その結果、選定療養対象薬剤の推計調剤金額トップ10の薬剤のうち、ヒルドイド、プログラフ、グリベック、シムビコート、ネキシウム、アジルバなど、6製品において調剤金額が前月比で3割以上減少していた。ヒルドイドでは4割超減少している。同社データベース Cross Fact の2024年10 月データを基に、院外調剤市場における医療用医薬品の動きを見たもの。


最新の投稿


【日本薬剤師会】「応需義務」の解釈明確化を厚労省に要望へ/カスハラ調査結果受け

【日本薬剤師会】「応需義務」の解釈明確化を厚労省に要望へ/カスハラ調査結果受け

【2025.06.19配信】日本薬剤師会(日薬)は6月19日に定例会見を開き、「薬局業務におけるカスタマーハラスメント発生時の対応事例に係るアンケート調査」の結果を説明した。この結果を受け、日薬では応需を拒否することの正当な範囲の明確化を厚労省に求めていく考え。医師においては令和元年に関連の医政局長通知が出ている。薬剤師に関してもそれらにならった形での通知等の発出が想定される。


【厚労省】薬価削除品目を報告

【厚労省】薬価削除品目を報告

【2025.06.19配信】厚生労働省は薬価削除品目を報告した。今回報告された薬価削除品目は16品目。


【日本医師会】骨太方針への見解公表/医療・介護業界の賃金上昇対応などに謝意

【日本医師会】骨太方針への見解公表/医療・介護業界の賃金上昇対応などに謝意

【2025.06.19配信】日本医師会は6月18日、「骨太の方針2025」の閣議決定を受けて見解を公表した。また、その会見の模様を公式YouTubeチャンネルで公開した。医療・介護界の賃金上昇や物価高騰等への対応に関して、「日本医師会、医療・介護界の主張にご理解を賜った書きぶりになっている」として、謝意を表明した。


【静岡県病院薬剤師会】静岡県立大学薬学部と連携協定/薬剤師の養成と地域医療への貢献で

【静岡県病院薬剤師会】静岡県立大学薬学部と連携協定/薬剤師の養成と地域医療への貢献で

【2025.06.17配信】静岡県病院薬剤師会(会長:渡邉 学氏)と静岡県立大学薬学部(学部長:吉成浩一氏)は、薬剤師の養成と地域医療への貢献を目的とした連携協定を締結し、2025年6月9日に静岡県立大学にて両代表者が協定書に署名した。


【販売中止】「フルナーゼ点鼻液」/グラクソ・スミスクライン

【販売中止】「フルナーゼ点鼻液」/グラクソ・スミスクライン

【2025.06.16配信】グラクソ・スミスクラインは6月16日、同社が販売する「フルナーゼ点鼻液」について、年内を目途に販売を中止することを公表した。