次期執行部の人事案については、6月29日・30日開催の日本薬剤師会通常総会の議案の1つとなっており、信任投票が行われることになっている。それに先立つ5月21日には議案の1つとして、具体的な候補者を記載した人事案が現執行部理事に示されていた(ドラビズfor Pharmacy5月22付け既報)。
https://www.dgs-on-line.com/articles/2612
この理事候補者名簿の人選をめぐって、5月29日に開かれた日薬都道府県会長協議会では、長野県薬剤師会が“非会員”である飯島裕也氏の次期理事入りに対して、県薬として反対すると発言。他の代議員へ文書を送るなど、対立が表面化していた(ドラビズfor Pharmacy5月30付け既報)。
https://www.dgs-on-line.com/articles/2618
また、鳥取県薬の徳吉雄三氏に関しては、敷地内薬局を有するとの点で、代議員から反対意見が出ていた。
こうした事態を受け、次期日薬会長候補者として選挙で当選している岩月進氏の陣営は、この2人の登用を断念することを決めた。
2人とも40代という若手であり、業界内外で人脈も広く、次世代の業界を担う人材として期待を集める存在だっただけに、これら事案への反発に対しては、「当人というよりも父親が進めていた部分も大きかった」と残念がる向きも強い。
ただ、一部代議員の反発が強く説得が難しいことから、30日の総会では2人をはずした理事候補者をもって投票が行われる見通しとなった。
岩月陣営にとっては苦渋の選択となったが、岩月氏は当選当初から「話し合い」を重んじる方針を示してきていることもあり、組織内のさまざまな意見に耳を傾ける姿勢を示す必要もあるとの判断もあったようだ。
新執行部の理事候補者でもあり日薬の現理事でもある関係者は、「こんな内向きなことで熱心に活動するほど、薬剤師の業界は余裕があるのだろうか。社会構造が大きく変わり、その中で示す薬剤師の姿が問われている」と語り、団結と“外”からの視線への配慮を求めた。
すでに岩月氏は日本薬剤師連盟の会長に就いており、対外的な挨拶回りを行っている。政権中枢に近い人物とも交流を始めており、今回の事態は対外的にも日薬の混乱を示すことになっている。
【日薬次期執行部人事】若手の飯島氏と徳吉氏の登用を断念
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