【日本薬剤師会】「自民党 薬剤師問題議員懇談会」開催/中間年改定への懸念示す

【日本薬剤師会】「自民党 薬剤師問題議員懇談会」開催/中間年改定への懸念示す

【2024.06.05配信】日本薬剤師会および日本薬剤師連盟は6月3日、「自民党 薬剤師問題議員懇談会」を開催した。5日の日薬定例会見で明らかにしたもの。


薬価の中間年改定、「一時的に実施見送り」必要/安定供給の見通しつくまでの間に

 議員懇談会の中では、薬価基準の中間年改定について強い懸念を示した。
 現下の医薬品の安定供給に支障が生じている中、過度な薬価政定は製薬企業による医薬品供給の早期改善・回復を困難にするだけでなく、創薬力の低下や医薬品市場の不安定要素等への警戒感から、ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの拡大を助長することが危視されるとした。
 加えて、保険薬局においては地域住民への安定した医薬品提供すなわち薬物治療の維持・確保に混響を及ぼすことが懸念されるとした。

 そのため、中間年の薬価改定の取り扱いについて、後発医薬品の安定供給に係る議論や流通の適正化等の見通しがつくまでの間、「たとえば、一時的に実施を見送ることや、改定対象は現行薬価と市場実勢価格が著しく乖離が生じている品目とするが、医療上安定供給が必要な品目を除外することなど、範囲を限定した上での対応等が必要」と要望した。

 医薬品販売制度や在宅医療などの規制改革事案への対応については、医薬品適正使用を確保する観点から医薬品の提供・販売にあたっては、医薬品の性質や取り扱いに十分な知識を有する資格者である薬剤師、または、販売にあたり適切な資質を有する者として認められた登録販売者が行うことが不可欠と提示。地域住民もしくは医薬品使用者の安全を確保するためには、住民における医薬品へのアクセスを損なうことなく、医薬品の専門家である薬剤師及び登録販売者が、患者または医薬品購入者の相談に基づき、必要な指導・説明を行った後に提供・販売する制度を雑持することが必要だとした。

 在宅患者への薬剤の提供については、現在適切に機能している地域医療に影響もしくは混乱を与えないよう、それぞれの医療関係職種の職能・専門的知識・経験を活かした、多職種間連携による対応策やエ夫により改善を図っていくことが必要とした。

 次期薬機法改正については、厚生労働省の検計会による「とりまとめ」の内容を踏まえるとともに、販売時に医薬品の専門家が適切に関与することによる、医薬品適正使用の確保という基本的方向性を持って進めることが必要とした。

 医療DXの推進についても、議題となった。
 処方箋だけを電子化しても、薬剤師・薬局の業務の効率化は進まないと提示し、薬局全体のインフラ整備、特に調剤室における電子処方箋の取り扱いに対応した調剤業務環境のデジタル化の早急な実現が必要だと訴えた。
 薬局DXの推進を要望。より質の高い医療提供の実現のために薬局は、医療機関から患者の診療情報の提供を受けるだけでなく、薬局が有する調有情報・服薬借銀等を医療機関へ提供すること(相互連携)が重要だとし、医療機関等とのデジタル情報を活用した相互連携を実現するためには、電子的診療録と整合の取れる調剤録・医薬品服薬情報の標準化等、薬局の基盤整備を含めたDX化が不可欠とした。

この記事のライター

関連する投稿


【日本薬剤師会】夏の参院選へ、「通らなければ何もなくなる」/岩月会長

【日本薬剤師会】夏の参院選へ、「通らなければ何もなくなる」/岩月会長

【2025.05.28配信】日本薬剤師会は5月28日に都道府県会長協議会を開いた。挨拶の中で岩月進会長は、薬剤師業務に大きな影響を与える夏の参院選の厳しい状況について触れ、「通らなければ何もなくなると思わなければいけない」と語気を強めた。


【日本薬剤師会】緊急避妊薬の調査事業を報告/「世の中の流れはスイッチ化と理解」

【日本薬剤師会】緊急避妊薬の調査事業を報告/「世の中の流れはスイッチ化と理解」

【2025.05.22配信】日本薬剤師会(日薬)は5月22日に定例会見を開催した。その中で緊急避妊薬の薬局販売にかかる調査事業について報告した。


【日本薬剤師会】改正薬機法成立を受けてコメント発表

【日本薬剤師会】改正薬機法成立を受けてコメント発表

【2025.05.14配信】日本薬剤師会は5月14日、改正薬機法が成立したことを受けてコメントを発表した。


【日本薬剤師会】“アクションリスト”、「早急に」作成・公表/地域医薬品提供体制強化で

【日本薬剤師会】“アクションリスト”、「早急に」作成・公表/地域医薬品提供体制強化で

【2025.04.10配信】日本薬剤師会は4月10日に定例会見を開き、地域医薬品提供体制強化のための「アクションリスト」について、「早急に」作成、公表したい考えを示した。


【日本薬剤師会】公式キャラクター「ふぁるみん」47都道府県ご当地版作成/LINEスタンプも

【日本薬剤師会】公式キャラクター「ふぁるみん」47都道府県ご当地版作成/LINEスタンプも

【2025.04.10配信】日本薬剤師会(日薬)は4月10日に定例会見を開いた。この中で公式キャラクターである「ふぁるみん」について、47都道府県ご当地版を作成したと報告した。日薬版ではLINEスタンプの配信も開始した。


最新の投稿


【大木ヘルスケアHD】“推し活”キーに医薬品需要に気付き/目薬や喉ケア/秋冬商品提案で

【大木ヘルスケアHD】“推し活”キーに医薬品需要に気付き/目薬や喉ケア/秋冬商品提案で

【2025.06.15配信】ヘルスケア卸大手の大木ヘルスケアホールディングスは6月11日に、事業部説明会を開催した。来る6月17日(火)~6月18日(水)にTRC 東京流通センターで開く「2025OHKI秋冬用カテゴリー提案商談会2025 年 OHKI 秋冬用カテゴリー提案商談会」の事前説明会の位置付け。OTC医薬品に関しては、“推し活”市場の拡大を背景に、“推し活”をきっかけに需要に気付きを与える提案を実施することを説明した。


【骨太方針_閣議決定】「高齢化の伸び」に経済・物価動向の増加分を加算

【骨太方針_閣議決定】「高齢化の伸び」に経済・物価動向の増加分を加算

【2025.06.13配信】政府は6月13日、「経済財政運営と改革の基本方針 2025」、いわゆる骨太方針を閣議決定した。医療・介護に関連しては、「高齢化による増加分に相当する伸びにこうした経済・物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算する」と記載した。これまでは、社会保障関係費の伸びを高齢化の範囲内に抑える方針がとられてきた。薬剤師で参議院議員の神谷政幸氏はXで「税収増を踏まえた経営の安定化や確実な賃上げに繋がる対応がついに反映」と投稿。医療介護業界の声が届いたとの考えを示唆した。


【奈良県薬剤師会】「健康ハートの日 2025」に協賛/気になる“nara”測ろう血圧ポスター作成

【奈良県薬剤師会】「健康ハートの日 2025」に協賛/気になる“nara”測ろう血圧ポスター作成

【2025.06.12配信】奈良県薬剤師会(後岡伸爾会長)は、「健康ハートの日 2025」に協賛する。


【マイナ保険証】活用で「多重受診・過剰処方」発見効果/日本保険薬局協会調査

【マイナ保険証】活用で「多重受診・過剰処方」発見効果/日本保険薬局協会調査

【2025.06.12配信】日本保険薬局協会は6月12日に定例会見を開き、「保険薬局における医療DX活用と業務貢献等の実態調査」の結果を説明した。「多重受診・過剰処方」の発見など効果がみられた。


【日本医師会】自公維3党合意に見解公表/病床削減と医療DXに「総論賛同」

【日本医師会】自公維3党合意に見解公表/病床削減と医療DXに「総論賛同」

【2025.06.10配信】日本医師会は6月9日、自由民主党、公明党、日本維新の会の3党合意についての見解を公表した。