この議論の中で日本保険薬局協会(NPhA)副会長の藤井江美氏は、薬局による夜間・休日対応(外来、在宅)については、改めて行政機関の関与が重要との考えを示した。
事務局資料に、夜間・休日対応の体制・周知広報について、「地域薬剤師会を中心に夜間・休日対応体制の構築等が進められているが、地域の医療資源を有効に活用する観点から、体制構築に当たっては、地域薬剤師会非会員の薬局も含めた対応が必要であり、行政機関がしっかり関与して、地域住民への広報・周知を行う必要が」と記載があることに関連して、「行政機関に主体的に関わっていただくことは重要。(情報の)網羅性というところもあるのではないか。行政機関による関わりは継続してお願いしたい」と述べた。「非会員ということがキーワード。薬局は許認可であり、行政より声掛けする仕組みということをやることで非会員も抜け・漏れがないように」と要望した。
薬局間連携については、患者の情報共有の仕組みや連携した場合の調剤報酬の整理も必要との考えを示した。
これに対し事務局は、「行政機関の関与が重要であることはおっしゃる通りだ。どこまでできるのかは行政機関の事情もある。ご意見としては当然重要と同じように考えている」と回答した。さらなる事例収集については厚労科研の調査結果も次回以降の検討会などでさらに提示していく考えを示した。
同日の検討会では参考人として出席した医療法人社団悠翔会 理事長・診療部長の佐々木淳氏から、薬局間連携で対応いただいた経験がないなど、薬局間連携が機能しているのかについて懐疑的な厳しい意見が飛んだ。
事務局では整理案に次のように記載した。
■これまでの本検討会での意見を踏まえると、在宅医療における夜間・休日対応(臨時の調剤対応)については、
・医師、薬剤師、看護師等による連携体制の構築が重要であるが、連携している薬局において、どうしても対応できない場合の受け皿となる薬局が地域にあることが望ましい
⇒輪番なのか、もしくはそれぞれの薬局が代わりを指定しておくのか。
・地域の薬局の対応状況と提供可能な設備、ひとについて患者や関係者への周知・広報が必要であり、外来患者の夜間・休日対応と同様の対応が必要
・個別の状況等を踏まえて、さらなる対応が必要かも含め検討が必要である。
【厚労省_薬局機能検討会】日本保険薬局協会の藤井氏/夜間・休日周知で「行政機関の関与重要」
【2024.03.25配信】厚生労働省は3月25日、「第3回薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」を開催し、「薬局による夜間・休日対応(外来、在宅)」について議論した。
関連する投稿
【厚労省_薬局検討会】「議論のとりまとめ」公表/在宅医療における薬剤提供で
【2025.03.31配信】厚生労働省の「薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」は3月31日、「これまでの議論のまとめ」 を公表した。「在宅医療における薬剤提供のあり方について」に関するものとなっている。 同検討会は2024年9月にも「地域における薬局・薬剤師のあり方に関するテーマで議論のとりまとめを公表している。今回は、同検討会でのとりまとめ第2弾となり、「在宅医療における薬剤提供のあり方について」に関するものとなっている。
【専門医療機関連携薬局】「HIV」「小児(疾病)」追加を検討へ/厚労省検討会
【2024.12.16配信】厚生労働省は、認定薬局の1つである「専門医療機関連携薬局」について、現行の「がん」に加え、「HIV」、「小児(疾病)」について検討することとし、関係者へのヒアリングを実施していく方針を示した。「第11回薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」で示したもの。
【厚労省】薬局検討会のとりまとめ公表/地方行政も関与し「必要な体制を構築」
【2024.09.30配信】厚生労働省は9月30日、「薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」の「これまでの議論のまとめ」 を公表した。
【一次医療圏の薬局における夜間休日対応】市町村カバー率は85%
【2024.09.18配信】厚生労働省は9月18日に「第9回薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」を開いた。この中で一次医療圏ごとの薬局における夜間休日対応の状況について速報値を公開した。速報値によると、市区町村1741のうち、薬局があるのは1603、このうち夜間・休日対応薬局があるのは1479だった。市町村のカバー率は85.0%の計算になる。
【2024.07.19配信】厚生労働省は、現在3年間となっている処方箋の保存期間について見直す方針を示した。「第7回薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」で提示した。診療録の保存期間が5年となっている中、電子処方箋については処方箋を調剤済みとなった日から5年間保存するサービスを提供しているなどの環境変化を挙げている。今後、制度部会で議題とする方針。
最新の投稿
【病院薬剤師会】診療報酬改定議論「期待」/転所時評価などの要望反映で
【2025,12.10配信】日本病院薬剤師会(日病薬)は12月10日に定例会見を開き、厚労省中医協で議論の進んでいる次期診療報酬改定について、期待できるとの見方を示した。日病薬が要望事項に挙げていた転所時の情報共有への評価などが俎上にのっていることなどを評価した。
【2025.12.07配信】東京都薬剤師会(都薬)は12月5日に定例会見を開き、中医協で規模の小さな薬局が該当することが多い「調剤基本料1」の除外範囲を拡大するとの議論について言及。特に大阪府と東京都に該当地域のある「特別区」が名指しされていることについて、都薬会長の髙橋正夫氏は、「大阪府薬が会見で“絶対に許さない”と表明されているが、都薬も同じ考えだ」と話した。
【ドラッグストア協会】かかりつけ薬剤師「在籍年数」延長に反対
【2025.12.06配信】日本チェーンドラッグストア協会は12月5日に定例会見を開き、調剤報酬改定への要望を説明した。かかりつけ薬剤師指導料の要件見直しについても要望した。
【ドラッグストア協会】敷地内薬局「ただし書き」撤廃でも、「新規開局に限定を」
【2025.12.06配信】日本チェーンドラッグストア協会は12月5日に定例会見を開き、調剤報酬改定への要望を説明した。敷地内薬局について、施設基準において「ただし、当該保険薬局の所在する建物内に診療所が所在している場合を除く」という「ただし書き」を削除すべきとの意見が出ていることに対し、撤廃でされたとしても新規開局に限定すべきといった要望を表明した。
【ドラッグストア協会】敷地内薬局「連座制導入」なら「薬局事業撤退せざるを得ない」
【2025.12.05配信】日本チェーンドラッグストア協会12月5日に定例会見を開き、調剤報酬改定要望をを表明した。その中で、敷地内薬局「連座制導入」なら薬局事業から撤退せざるを得ないなどと、強い抵抗感を示した。