【日本薬剤師会】次期会長候補者選挙に当選した岩月氏、勝因問われ「変えたいという気持ち」と回答

【日本薬剤師会】次期会長候補者選挙に当選した岩月氏、勝因問われ「変えたいという気持ち」と回答

【2024.03.10配信】日本薬剤師会は3月10日、臨時総会の中で次期会長候補者選挙を行い、岩月進氏が当選した。実際の会長就任は6月の総会の場になる。岩月氏は当選確定後、記者陣の質問に応えた。


 記者 当選決定を受けてコメントお願いします。

 岩月 思いがあって立候補した。その思いをご理解いただいた方々の期待に応えて、お約束してきたことを、日薬をこれから変えていきたいということについて取り組んでいきたい。

 記者 ずばり勝因は何だと思うか。
 
 岩月 たぶん、変えたいとか、これからどうするんだということを考えましょうということをご理解いただけたんだと思う。

一定の批判もあること踏まえ会長職を務める

 記者 3候補者の中で、一番、選挙戦として陣営が機能していたという見方があるが、そのあたりの手応えはどうか。

 岩月 正直に言って、私どもは当初、最初の得票数は60、60、30ではないかと予想していた。そういう意味では思ったよりも差がついた。(初回投票結果は安部好弘氏52、岩月進氏67)
 いずれにしても副会長の信任票に比べれば3分の2。一定程度のご批判もあるということを踏まえて、会長職を務めなければいけないということは改めて感じている。

現在不在の専務理事、移行期間中に「何とか話ができればいい」

 記者 (現在、空席になっている)専務理事についての考えは。

 岩月 なくてはならない存在だと思っている。これから情報を集めるのにも、発信するのにも、行政経験のある方が専務理事に来ていただかないと、会もうまく回らないと思っている。ぜひお願いにうかがいたいと思っている。

 記者 具体的にイメージしている専務理事候補者はいるか。

 岩月 それは分からない。来ていただきたい方のお名前はたくさんある。しかしそれは先様の都合もあるし、いろいろな条件もある。勤め先が変わるということはその方にとっても重大な決断だと思うので、そういったことを勘案して移行準備期間内(6月の正式就任までに)に何とか話ができればいいのかなと思っている。

日薬の組織改革、「話し合いで」

 記者 日薬の組織改革についてはどうする考えか。

 岩月 (所信表明などで)さきほども申し上げましたが、やっぱり話し合いをすることが一番大事かなと思っています。今回の選挙もそうだったが、最初はやっぱり、「常務理事しかやってないのになぜ選挙に出るのか」とかいったお声はいただいたのですが、会ってお話をして、「こういう改革はどうでしょう」と話をすると、やっぱりご理解いただける面もあるんです。
 そうすると、先ほども(所信表明で)申し上げたように多職域(行政や学術など)にまたがっている薬剤師をこれからどうするのか、あるいはほかの団体とどうお付き合いをしていくのか、これは役所もそうだが、関係する方々とお話し合いをする(ことが重要)。これは会長が出ていくことも必要かもしれないが、場面場面で担当役員が双方の関係者と情報交換をすることが大事だと思っている。それがあまりこれまでは見えるようになっていない。そこは見せていかないと関係する方々も会員の方々も現状が把握しにくい。

執行部の組閣、「(関係団体などに)“出ていって話をしてくれる人”を」

 記者 当選したばかりではあるが執行部の組閣についてイメージはあるか。例えば、今回の会長候補者選挙ではライバルとなった候補者の入閣はあり得るか。

 岩月 まったく白紙だ。いま申し上げたように“出ていって話をしてくれる人”を中心に(考えたい)。これは選挙期間中も申し上げたが、“役員になりたい人”ではなく、“仕事をしたい人”になっていただきたい。これからそれをどうやって集めるか。考えている。
 愛知県薬剤師会会長としての私の経験からいうと、ドラスティックに変えるのは1期目は難しい。今期も予算案や事業計画が承認されている。そうすると、1年かけて今の課題をどうするのか。冗談のようだが、(今回の選挙で)副会長の投票箱が小さかった。総務担当の最初の仕事は投票箱を大きくすることだね、と笑い話で言っていた。そういったことを話し合ってできることは重要。たぶん最初の1期目は課題の抽出とその課題をどうするのかということで任期が終わってしまうかもしれない。そうすると、せっかく(会長を)変えたのにと、たぶんそういうご指摘をいただくんだと思う。ただ、今までの自分の経験でいうと、1年目はやろうと思っていることができないというジレンマもある、そういったことを含めてきちっと説明をすることが大事だろうと思っている。

医薬品の供給不安、「患者さんが困らない医薬品供給の在り方」の視点で議論を

 記者 今、一番の課題は何だと思っているか。

 岩月 変化への対応だと思う。今回の臨時総会でも医薬品の供給不安の話が出ていた。どういったらいいのか、おそらくほとんどの方が思っているのは薬価を下げすぎているということ。そこに大きな要因の1つがあることはみなさんお分かりなんだけれども、こういうところで表立って議論できないのはたぶん、問題なんだと思う。だから、「どうやったら自分たちの仕事ができるか」ではなく、「患者さんたちが困らないような医薬品供給はどうやるのか」という視点で考えないといけない。「(薬剤師の)僕らが調剤で困ります」とか、それはここで議論することではないのではないか。「患者さんが困らない医薬品供給はどうあるべきか」「薬価の改定はどうあるべきか」という視点でもう少し議論ができるようにしないと、(議論が)なかなかに成熟していく感じがしない。表紙だけ変わっても仕方がない。活字の1字1字のフォントが変わるようでないと会長が変わった意味がないと思っている。そういう意味では記者の方々にもご指摘いただきたいと思っている。

 記者 投票した方々は一番何を期待して岩月さんに投票したと思うか。

 岩月 やはり現状を変えることではないか。いみじくも、副会長のみなさんは(所信表明で)「会長を支える」と。そうではない常務理事が立候補して当選した。当然、是々非々ではあるが今の現行体制をそのまま踏襲することでは私が立候補した意味がない。みなさん、そういったことを期待されていると思う。ただ、やみくもに変えればいいのかというと、そうではなくて、今、何が問題かというと、真っ先に挙げた「対話」だろうと思う。

「“日本薬剤師会”であって決して“日本薬局会”ではない。原点に返る」

 記者 「変える」ことにもう少し、説明をいただきたい。所信表明の中でも広い職域の薬剤師への対応や他団体、勤務薬剤師への対応など、比較的、融和政策のように受け取れたが、そのようなイメージでいいのか。

 岩月 “日本薬剤師会”ですよね。決して“日本薬局会”ではない。原点に返る意味ではすべての薬剤師さんを包含できるようにするためには、ひょっとしたら定款を変えないといけないかもしれない。そうなると1年、2年で(はできない)大がかりなことになりますよね。3層構造に関しても、地域薬剤師会が最初にあって、そこで解決できないことを互助で隣の薬剤師会であったり、共助で都道府県薬剤師会、最後は公助で日本薬剤師会、という順番だろうと。今日の代議員会の質疑項目に関しても、まずは自分たちでどうするのか、やってみたけどできない、ここは規制の壁があるから何とかならないかと、都道府県薬剤師会が動く、それでもできなければ日本薬剤師会が動く。この順番だろうと思う。3層構造というのは、そういうことだと思っている。まず日本薬剤師会が何かしてくれて、トリプルダウンのように下におりていくということではなく、代議員の先生がたもお分かりになっていらっしゃると思います。

 記者 都道府県薬剤師会の支部化といったお話を候補者会見の時にお話ししていたが、これは1期目から取り組むのか。

 岩月 これも意見の交換をしないといけない。独立した地域薬剤師会と、県薬の支部という取り扱いをしてらっしゃる県薬もありますよね。そういうことで、それがもし費用対効果を考えた時にうまくいくのであればそういうやり方をとっていきたい。現実問題でそれで地区の運営が回るのであればそういうやり方があってもいいのかなと思う。

 記者 さきほど、執行部については白紙ということだったが、所信表明では多様性を掲げていた。若手や女性を執行部に入れる考えはあるか。あるいは、さきほどの説明の通り、“仕事をやりたい人”という考え方か。

 岩月 両方だ。(会長を務める)愛知県薬剤師会は29名の理事中、7名が女性だ。これは私は多いとは思っていないが、いろいろな方法を使って、仕事をやりたい人で若い人、ウエルカムなので、参加いただければ私も心強いと思う。会員は10万人いる。いますよね。

 記者 政治連盟の会長には立候補するということでいいのか。

 岩月 そのつもりでいる。

 記者 連盟の執行部を変える考えはあるか。

 岩月 会長になってからお答えしたい。

敷地内薬局にも言及、「対話」と会員への情報開示を重視する考え

 記者 チェーン企業に勤める勤務薬剤師への対応をしていく、受け止めていくというふうに感じたが。

 岩月 はい。今日、それこそ、“敷地内薬局の薬剤師さんをどう扱うのか”という質問も(代議員から)出ていたが、さきほども申し上げたように“薬剤師会”ですから、勤務している場所によって薬剤師の評価が変わるのは“薬剤師会”としてはおかしい。そういった事業を営んでいる方々とそこをどう話し合いをするかだ。

 記者 (薬局関連の)他団体と意見対立が激しいのが敷地内薬局だ。対話していけば解決の糸口があるというイメージなのか。

 岩月 解決の目鼻があって対話するということではない、(ここは)はっきり言う。お互いの意見交換だ。“交渉”というのは“妥協”と“取引”だ。そこは会内でどこまで妥協できるのか、どこを取引するのか、会内でコンセンサスを得てから。交渉の途中もそうだが。そういうことをしていかないと何も変わらない。お互いに「嫌だ」とか、「嫌いだ」、「やっていることが分からない」と言っていたら、業界全体にとってそれは決して良いことではない。こう言っていると理想論のようだが、それ(交渉と)は妥協と取引だ。それを会員の皆さんにもわかっていただくには情報の開示が必要だと思っている。現在も会長や役員が話し合いをしているが、それが見えるようになっているかというと、日薬ニュースなどで伝えてはいるが、今日の代議員からの質問を聞いていても、なかなかに浸透しているかというとそうではないように感じている。どうしてそういうことになったのか、バックグラウンドの説明が足りないんだろうと思う。やらなければいけないのは役員が都道府県薬にも分かるように伝えることだと思う。

愛知県薬会長と日薬会長の兼務は1年弱

 記者 現職の愛知県薬剤師会の会長職はどうなるのか。

 岩月 愛知県薬の会長の任期はあと1年あるので、しっかり務める。

 記者 では日薬の会長職と兼務になる時期があるということでよいか。

 岩月 はい。ただ、日薬の会長選に出ることは全員賛成して応援してくれたので、そこは(愛知県薬の現執行部)も織り込み済みで支援をいただいたと理解している。
(了)

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