同日の中医協では「働き方改革(その2)について」も議題となっていた。この中で事務局は【医療機関における薬剤師の業務について】に関連する論点として、「病院薬剤師のさらなるチーム医療の推進と医療の質の向上の観点から、病棟を含む幅広い業務を習得させる教育研修体制とともに、地域の病院へ出向して地域医療を経験させる取組を行っている医療機関の評価についてどのように考えるか」と提示した。
すでにレジデント制度を導入している医療機関があり、そういった取り組みを評価するとの論点を示した格好。事務局は、近年、チーム医療の進展や薬物療法の高度化・複雑化等に対応するため、薬剤師免許を取得した直後の薬剤師を対象にした数年間のプログラムによる教育・研修(レジデント制度など)が、一部の医療機関で実施されていると現状を指摘。特に、病床規模の大きい病院における実施割合が高いといった状況を示した。その上で、そういった取り組みが医療計画にも記載された薬剤師の確保につながる可能性があることを指摘。事務局資料では、「教育研修の一環として、地域の病院へ出向する仕組みを導入している病院もあり、周囲の医療機関等と連携して地域医療を経験することで広い視野を身につけることができ、出向経験者のスキルアップや、基幹病院として目指す指導的な人材の育成機能の強化につながり、基幹病院における質の高い薬物療法の提供に寄与するだけでなく、地域の病院の薬剤師確保に資する取組となっている」とした。
日医からは実効性問う声も/「保険薬局に多くの薬剤師が流れている現状においてどの程度の実効性があるのか」
ただ、医療関係者からは実効性を疑問視する声も出た。
日本医師会常任理事の長島公之氏は、「病院薬剤師がさらなるチーム医療の推進と医療の質の向上を図るために 病棟を含む幅広い業務を習得させる教育研修体制と地域医療の経験を提供する取り組みは重要と考えますので、論点に示されている方向性は理解できるところではありますが、現実には論点に記載されているような対応ができる医療機関は大学病院とごく一部の医療機関に限られるように思います。またそういった病院であっても病棟で勤務する薬剤師が少なく、保険薬局に多くの薬剤師が流れている現状においてどの程度の実効性があるのかという疑問もあります」と述べた。