まとめ案では、「(1)医薬品販売区分及び販売方法の見直し」の中の、「①処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売のあり方」について、「やむを得ない」場合を規定する方向を示した。
【医療用医薬品は、医療において医師の処方箋や指示により使用されることを前提として承認された医薬品であるため、一般の者の需要に応じて医師の診断を経ずに販売されると、医薬品の適正使用が十分に確保されないおそれがある。医療用医薬品の役割及び規制の実効性に鑑み、医療用医薬品については処方箋に基づく販売を基本とした上で、リスクの高い医療用医薬品(従来の「処方箋医薬品」)を除き、例外的に「やむを得ない場合」に薬局での販売を認めることとして法令上規定してはどうか】と記載した。
「医療用医薬品」については法令上規定がなかったため、【「医療用医薬品」の定義を法令上明記すること等としてはどうか】ともした。
「やむを得ない場合」については、以下の条件を具体案として示した。
(1)次の①、②をいずれも満たす場合
①医師に処方され服用している医療用医薬品が不測の事態で患者の手元にない状況となり、かつ、診療を受けられない場合
②OTC医薬品で代用できない、もしくは、代用可能と考えられるOTC医薬品が容易に入手できない場合(例えば、当該薬局及び近隣の薬局等において在庫がない等)
(2)社会情勢の影響による物流の停滞・混乱や疾病の急激な流行拡大に伴う需要の急増等により保健衛生が脅かされる事態となり、薬局において医療用医薬品を適切に販売することが国民の身体・生命・健康の保護に必要である場合
さらに上記「やむを得ない場合」における販売に当たっては、次の要件を課すことを想定する。
(1)原則として継続して処方箋を応需する等、当該患者の状況を把握している薬局が販売すること(旅行先等通常利用している薬局の利用が難しい場合等の例外的な場合を除く。なお、例外的な場合に販売を行う薬局は、通常利用している薬局(必要となった医薬品を調剤した薬局)に連絡を取り、連携を図ること)。
(2)一時的に(反復・継続的に販売しない)、最小限度の量(事象発生時には休診日等で行けない、当該疾患で通常受診している医療機関に受診するまでの間に必要な分、最大で数日分等)に限り販売すること。
(3)適正な販売のために購入者の氏名、販売の状況等を記録すること。
そのほか、次のような留意事項も示した。
(1)の場合は受診している医療機関に情報提供すること。
○上記の要件に基づく販売は、処方箋の継続的な応需等、薬局が患者との関係性に基づいて対応する業務であり、一般消費者向けに医療用医薬品が販
売可能である点を薬局の特色として強調する内容の広告については不適切であることから、やむを得ない場合の医療用医薬品の販売を行うことに関する広告は制限すべき。
○現在は処方箋医薬品に指定されていない医療用医薬品のうち、用途等により副作用のリスクが高いもの等一部品目については、個別にリスクを分析・評価した上で、リスクの高い医療用(従来の「処方箋医薬品」)として分類を見直すことについて検討する必要がある。
編集部コメント/コロナ禍の医療用アセトアミノフェン供給の役割は“維持”
前回の「やむを得ない場合」の記述では、コロナ禍で零売が機能を果たした医療用アセトアミノフェンの供給が妨げられることになるのではないか、との指摘が出ていた。
今回の案では(1)以外に(2)を追加。物流の停滞・混乱や疾病の急激な流行拡大など、「保健衛生が脅かされる事態」についても零売は認められるとの方針を示したことで、“コロナ禍のアセトアミノフェン”供給などの事例は維持されたといえるだろう。