【厚労省中医協】健保連、オンライン服薬指導のコロナ特例「即時廃止を」/「新型コロナウイルス感染症の診療報酬上の取扱い」議論で

【厚労省中医協】健保連、オンライン服薬指導のコロナ特例「即時廃止を」/「新型コロナウイルス感染症の診療報酬上の取扱い」議論で

【2023.03.01配信】】厚生労働省は3月1日、中央社会保険医療協議会 総会を開き、「新型コロナウイルス感染症の診療報酬上の取扱い」を議論した。5類への移行に伴い、診療報酬上の特例的な取り扱いをどうするかが論点になっていた。この議論の中で、健康保険組合連合会理事の松本真人氏はオンライン診療・服薬指導の特例に触れ、即時廃止を求めた。


健保連・松本氏、特例継続「極めて限定的にすべき」

 健康保険組合連合会理事の松本真人氏は、診療報酬上の特例措置の継続について、限定的にすべきとの考えを示した。
 「政府のコロナ対策本部が1月21日に決定した対応方針を踏まえ、5類への移行を1つの節目として、診療報酬の特例措置についても平時の姿に戻していくことが求められていると考えます。ソフトランディングのために一部の特例を残すとしても、極めて限定的な対応とし、最終的には特例の完全廃止を目指すものです」と述べた。

  外来治療については、感染対策について「経験の蓄積で業務効率化されていることを踏まえれば特例措置の縮小が可能だと考えます」とした。院内トリアージ実施料と二類感染症患者入院診療加算については保険財政への影響が大きいとして、見直しの必要性を強調した。その他の特例措置についても見直しの余地が大きいことを指摘した。

 感染対策については、「学会のガイドラインで個人防護具の装着が一部緩和され、専用病棟も基本的に不要とされたということですので、これまでより業務の効率化や業種の柔軟な運用が期待できます。通常の感染対策を超えて経費が発生するのか、令和4年度会改定で新設した感染対策向上加算や外来感染対策向上加算で対応できないのか慎重に見極めるべきです」とした。

 また、オンライン診療・服薬指導に関して、「(事務局資料の)課題に示されておりませんが、資料では17ページの下ですが、初診からの電話や通信情報機器を用いた診療の特例は医療の質の面で極めて問題があると考えております。新型コロナ拡大の当初は倫理的な特例措置として柔軟に対応することに意味があったと思いますが、令和4年度改定で公益委員の裁定までいただいて初診からのオンライン診療が恒久化され、特例措置は明らかに役目を終えたものと考えます。本則のルールに基づいて安全・安心な体制で患者に向き合うことはあるべき姿として当然です。オンライン診療・オンライン服薬指導を健全に普及させるためにも特例措置の即時廃止を求めます」と述べた。

 資料「17ページ下」には以下のように特例について記載されている。
※初診からの電話や情報通信機器を用いた診療の実施について(令和2年4月10日~)
〇 時限的・特例的な対応として、初診から電話や情報通信機器を用いた診療により診断や処方をする場合には、初診料214点(歯科については185点)を算定できることとした。また、その際、医薬品の処方を行い、又は、ファクシミリ等で処方箋情報を送付する場合は、調剤料、処方料、処方箋料、調剤技術基本料、又は薬剤料を算定できることとした。
〇 保険薬局において、保険医療機関から送付された処方箋情報に基づき調剤を行い、電話や情報通信機器を用いて服薬指導を行う場合について、調剤技術料、薬剤料及び特定保険医療材料料を、(その他の要件を満たした場合)薬剤服用歴管理指導料等を算定できることとした。
〇 慢性疾患を有する定期受診患者に対して、電話や情報通信機器を用いた診療及び処方を行う場合について、電話や情報通信機器を用いた診療を行う以前より、対面診療において診療計画等に基づき療養上の管理を行い、管理料等を算定していた患者に対して、電話や情報通信機器を用いた診療においても当該計画等に基づく管理を行う場合は、月1回に限り147 点(歯科については55点)を算定できることとした。

■関連記事
【厚労省中医協】「新型コロナウイルス感染症の診療報酬上の取扱い」議論/薬局は緊急薬剤配送の算定継続が焦点
https://www.dgs-on-line.com/articles/2008


【厚労省中医協】日薬・森副会長、診療報酬上の特例「適切な対応や配慮を」/「新型コロナウイルス感染症の診療報酬上の取扱い」議論で
https://www.dgs-on-line.com/articles/2010

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