【緊急避妊薬スイッチ化パブコメ】大阪府薬、意見書提出/OTC化への「賛成」明言、ただし体制整備の必要性を指摘

【緊急避妊薬スイッチ化パブコメ】大阪府薬、意見書提出/OTC化への「賛成」明言、ただし体制整備の必要性を指摘

【2023.02.09配信】厚労省が1月31日まで実施した緊急避妊薬のスイッチOTC化に関するパブコメに関して、大阪府薬剤師会(大阪府薬)は乾英夫会長名で意見書を提出した。「女性にとって望まない妊娠を防ぐことは、自分自身を守る権利である」として、「その手段の一つとして心身ともに負担の少ない緊急避妊薬のOTC化には賛成である」と記載。賛成の立場を明確にした。その上で、体制整備の必要性を指摘した。


 大阪府薬は、意見書の中で「女性にとって望まない妊娠を防ぐことは、自分自身を守る権利である」として、「その手段の一つとして心身ともに負担の少ない緊急避妊薬のOTC化には賛成である」と記載。賛成の立場を明確にした。
 受け皿となる薬局の現状については、「薬局では2020年よりオンライン診療における調剤にはすでに実績があり、スイッチOTC医薬品を扱う素地は十分である」との認識を示した。

薬剤師による対面販売体制の維持を求める

 一方で、さらなる体制整備の必要性も指摘した。背景には、現状はオンライ診療が前提となっており、スイッチOTC化によって「薬剤師の責任の質が変わる」ことを挙げた。
 具体的には女性にDVなどの際の連絡先を確実に情報提供することや、薬剤師の対面販売体制の維持などが必要だとした。医薬品のリスク区分に関しても、変更しない必要があるとした。

 詳細は以下の3つを記載した。
1、医薬品の副作用・相互作用、精神的ケア、避妊の成否など当該女性自身では、判断・対応できないことが多いため、販売後のフォローアップ、産婦人科への受診勧奨、事故やDVの際の連絡先を薬剤師が確実に情報提供する体制
2、入手が簡便になることによる悪用や乱用を防止する観点から、適切な知識・情報を会得した薬剤師の対面販売体制の継続(今までのスイッチOTC化医薬品のように薬剤師が介在しないリスク区分への変更について反対する)
3、若年層の使用も想定されることから、確実な避妊方法を含めた教育のさらなる徹底の強化体制

編集部コメント

 「薬剤師による対面販売の維持」などの意見は、受け止め方によっては薬剤師の既得権益維持の意見と指摘する声もあるかもしれない。あるいは、女性が自分のことを自分で決められる権利の視点からは、アクセスの妨げになるという意見もあるかもしれない。しかし、スイッチ検討会議でも性教育の現状や各国に比して特異的な我が国の避妊方法の状況について触れられてきたように、我が国の女性の中の知識には濃淡があることが想定され、それを医療界が心配していることは本音でもあるのではないだろうか。こうした中にあっては、知識が豊富である人、そうでない人の双方の安全安心に配慮した制度設計が、ステップとしては我が国では現実的であると指摘できる。大阪府薬の意見は、まさにそういった女性層の中の“困難な状況”にいる女性も取り残してはいけないという意識に基づいているのではないだろうか。

 いずれにせよ、スイッチOTC化となれば薬局薬剤師は受け皿となるにもかかわらず、当該の薬局薬剤師が「どう考えているのか」の情報発信が多いとはいえないことは心許ない。その中で、大阪府薬の意見表明には社会的な立ち位置への意識の高さを感じる。そして、その意識は今後の災害時、感染症蔓延時、医療計画など、薬局・薬剤師の存在感の全てにつながっていくものではないだろか。

この記事のライター

関連するキーワード


緊急避妊薬 スイッチOTC

関連する投稿


【日薬】緊急避妊薬のスイッチ化でパブコメ提出/「賛成」

【日薬】緊急避妊薬のスイッチ化でパブコメ提出/「賛成」

【2025.09.25配信】日本薬剤師会は9月25日、定例会見を開き、緊急避妊薬のスイッチOTC化に関して、パブコメを提出したことを説明した。


【PPI】国内初のOTCを発売/エーザイ「パリエットS」

【PPI】国内初のOTCを発売/エーザイ「パリエットS」

【2025.06.02配信】エーザイは6月2日、国内 OTC 医薬品として初めて製造販売承認を取得したプロトンポンプ阻害薬(PPI)である「パリエットS」を発売した。


【緊急避妊薬のOTC化】評価検討会議は終結、薬事審議会での承認可否判断へ

【緊急避妊薬のOTC化】評価検討会議は終結、薬事審議会での承認可否判断へ

【2025.05.23配信】厚生労働省は5月23日、「第32回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」を開催し、緊急避妊薬のスイッチOTC化について議論した。


【日本薬剤師会】緊急避妊薬の調査事業を報告/「世の中の流れはスイッチ化と理解」

【日本薬剤師会】緊急避妊薬の調査事業を報告/「世の中の流れはスイッチ化と理解」

【2025.05.22配信】日本薬剤師会(日薬)は5月22日に定例会見を開催した。その中で緊急避妊薬の薬局販売にかかる調査事業について報告した。


【あすか製薬】緊急避妊薬のスイッチOTCの承認申請を公表

【あすか製薬】緊急避妊薬のスイッチOTCの承認申請を公表

【2025.05.15配信】あすか製薬は5月15日、 緊急避妊薬のスイッチ OTC について、製造販売承認申請を行ったと公表した。


最新の投稿


【エフィエント錠】PTPシートのGS1コード誤表示/第一三共

【エフィエント錠】PTPシートのGS1コード誤表示/第一三共

【2025.09.30配信】このほど、抗血小板剤「エフィエント錠3.75㎎」のPTPシートに印字されたGS1コード(調剤包装単位コード)に誤りがあったとして、製造販売元の第一三共より報告がされている。それを受け、日本薬剤師会でも注意喚起の文書を発出した。


【日薬学術大会】ブース出展/災害備蓄や認知症の服薬支援で技術紹介/アルフレッサ

【日薬学術大会】ブース出展/災害備蓄や認知症の服薬支援で技術紹介/アルフレッサ

【2025.09.30配信】医薬品の流通を担う社会インフラ企業であるアルフレッサ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:福神雄介氏)は、2025年10月12日(日)~13日(月・祝)に国立京都国際会館にて開催される「第58回日本薬剤師会学術大会」に出展する。「かかりつけ薬剤師の新たな挑戦!健康・生活を支える商品と信頼」をテーマに、医療現場の業務効率化と患者様の満足度向上に貢献するソリューションを紹介する予定。


【日本薬剤師連盟】神谷まさゆき氏を組織内統一候補に選任

【日本薬剤師連盟】神谷まさゆき氏を組織内統一候補に選任

【2025.09.26配信】日本薬剤師連盟は9月25日に開催した臨時評議員会で、組織内統一候補に神谷まさゆき参議院議員を選任した。神谷氏が自身のSNSで報告した。


【健保連】OTC薬に代替可能な薬や簡易な検査「保険給付から除外」を/『「ポスト2025」健康保険組合の提言 』

【健保連】OTC薬に代替可能な薬や簡易な検査「保険給付から除外」を/『「ポスト2025」健康保険組合の提言 』

【2025.09.25配信】健康保険組合連合会は9月25日、新たな提言『「ポスト2025」健康保険組合の提言 』を公表した。OTC医薬品に代替可能な医療用医薬品や簡易な検査などについて、保険給付から除外あるいは給付割合の見直しを図ることなどを提言している。同種同効の医薬品のうち、正当な理由なく、より高額な医薬品を選択する場合に自己負担を増加させる選定療養の活用も提案している。


【日薬】緊急避妊薬のスイッチ化でパブコメ提出/「賛成」

【日薬】緊急避妊薬のスイッチ化でパブコメ提出/「賛成」

【2025.09.25配信】日本薬剤師会は9月25日、定例会見を開き、緊急避妊薬のスイッチOTC化に関して、パブコメを提出したことを説明した。


ランキング


>>総合人気ランキング