【検査キット問題】埼玉県薬剤師会・斉藤祐次会長「再周知・徹底する」

【検査キット問題】埼玉県薬剤師会・斉藤祐次会長「再周知・徹底する」

【2022.11.21配信】コロナの第8波やインフルエンザとの同時流行への対策が進められる中、抗原検査キットの販売体制の不備を指摘する声が大きくなっている。大野元裕・埼玉県知事は11月18日、埼玉県薬剤師会に対して“休日対応”への要望を行った。この件について、埼玉県薬剤師会会長の斉藤祐次氏は本紙に対し、18日の時点で大野知事からコロナ検査キットの「販売体制の充実について」との要望を受け取ったとした上で、会員への再周知・徹底など、「しっかりと対応していきたい」と話した。


 埼玉県薬剤師会会長の斉藤祐次氏は、大野知事からの要望の中に、「休日に薬剤師が不在で検査キットを買えない場合があるため、なるべく対応してほしい」という内容があったとし、「当会への要望であるため、特に会員の中でドラッグストア業態もあれば周知していく」と話した。

 埼玉県薬剤師会だけでなく、日本薬剤師会はかねてから、薬局で抗原検査キットを販売するよう周知に努めてきた。ただ、土日の薬剤師配置となると、経営上の負担が重くなることも考えられ、どこまで徹底するかは個別の薬局の判断に委ねるしかないのが実情だ。斉藤会長は、「特に第1類医薬品は薬剤師が販売するべきものであり、相談の窓口として薬局が機能を担うべきだ」との考えを示している。

 販売店舗や販売曜日・時間が限定される状況下にあるが、埼玉県薬剤師会では県内の会員薬局における検査キットの取り扱い店をホームページで案内。リストには薬局の販売対応時間なども掲載しているため、市民での活用を促している。
https://saiyaku.or.jp/
 
 販売店舗の状況に関しては、厚生労働省もホームページで公開。どこで入手できるのか分かりづらいとの声に応えている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082537_00001.html

 一方、大野知事が“ドラッグストアでの購入”について言及したことについては、ドラッグストアの中には薬局として許認可を受けている店舗と、店舗販売業という登録販売者だけでも許認可を受けられる店舗との、行政の許認可の違いがあることが、一般に知られていないのではないかとの懸念も薬局関係者からは挙がる。「店舗販売業」では薬剤師が配置されていないケースも少なくないため、許認可の違いを理解しておく必要もありそうだ。

 加えて、大野知事も参加している全国知事会では、コロナの抗原検査キットを登録販売者でも販売できるようにすることの検討などを提言書で求めている。
 医薬品のリスク分類に関しては、「副作用」や「患者背景」、「使用方法」等を鑑みることとされており、コロナ検査キットに関しては、これらの事項を総合的に判断して1類が妥当とされたもの。使用方法への十分な説明が必要との指摘も審議会では委員から出ていた。
 コロナの感染状況や病態の変化によっても考え方に変化が起きる可能性はあるとしても、現状は薬剤師によって販売される第1類薬に分類されているため、現状下では、より多くの薬局で検査キットが販売されることが理想的といえそうだ。アクセスを優先するか、専門家の介入を優先するかの議論は難しいが、少なくとも検査キットがOTC化されたタイミングにおいては、例えば陽性の結果が出た場合に医療へつなぐ役割も含めて薬剤師の専門的知見が必要とされる場面もあったのではないだろうか。

この記事のライター

関連するキーワード


抗原検査キット

関連する投稿


【抗原検査キットの販売実態】偽陰性の可能性説明、遵守低い結果/厚労省

【抗原検査キットの販売実態】偽陰性の可能性説明、遵守低い結果/厚労省

【2023.09.01配信】厚生労働省は9月1日、「医薬品販売制度実態把握調査」の結果を公表した。今回の令和4年度調査では、一般用新型コロナウイルス抗原定性検査キットの販売時の情報提供の状況に係る調査も実施した。同品の販売にあたっては厚労省が販売時に偽陰性の可能性があること等について特に丁寧に説明することなどの留意事項を示しているが、これらの事項について情報提供を行っていた割合は低い結果だった。


【コロナ禍の薬局】時間外に抗原検査キット販売協力/八戸薬剤師会(青森県)の事例/会員146薬局中62薬局が対応

【コロナ禍の薬局】時間外に抗原検査キット販売協力/八戸薬剤師会(青森県)の事例/会員146薬局中62薬局が対応

【2023.05.31配信】5類移行となったコロナ。これまでの間、薬剤師会、薬局、薬剤師はどのような活動をしてきたのか。ワクチン接種会場での協力や患者自宅への治療薬のお届けなど、その貢献は数多いが、本稿では八戸薬剤師会の事例から抗原検査キット販売協力への対応を取り上げたい。社会からの要請に応える形で、会員薬局の4割がイレギュラーな営業時間外で販売対応した。


【ウエルシアHD】コロナ5類移行後も検査立会を継続

【ウエルシアHD】コロナ5類移行後も検査立会を継続

【2023.05.08配信】ウエルシアホールディングスは5月8日、コロナ5類移行後も検査立会を継続するとリリースした。


【医学生物学研究所】一般用コロナ抗原検査キット販売開始/12月15日から/「GLINE-2019-nCoV Ag キット(一般用)」

【医学生物学研究所】一般用コロナ抗原検査キット販売開始/12月15日から/「GLINE-2019-nCoV Ag キット(一般用)」

【2022.12.13配信】JSR 株式会社のライフサイエンス事業のグループ企業である株式会社医学生物学研究所(取締役社長 山田 公政氏、以下「MBL」)は、2022 年 11 月 11 日に一般用検査薬(第 1 類医薬品)として厚生労働省の承認を受けた新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原検査キット「GLINE-2019-nCoV Ag キット(一般用)」を、2022 年 12 月 15 日から発売開始する。


【日本薬剤師会】抗原検査キットの販売体制整備へ/日本保険薬局協会や日本チェーンドラッグストア協会とも協力

【日本薬剤師会】抗原検査キットの販売体制整備へ/日本保険薬局協会や日本チェーンドラッグストア協会とも協力

【2022.11.25配信】日本薬剤師会は11月25日に定例会見を開き、抗原検査キットの販売体制強化について、日本保険薬局協会や日本チェーンドラッグストア協会とも協力して取り組む方針を示した。抗原検査キットをめぐっては、全国知事会などでも休日などの販売体制拡充を求める声が出ていた。


最新の投稿


【市民団体】緊急避妊薬OTC化の試験的運用で要望書を厚労省に提出/染矢代表「調査が条件課す根拠に使われないか、非常に危惧している」

【市民団体】緊急避妊薬OTC化の試験的運用で要望書を厚労省に提出/染矢代表「調査が条件課す根拠に使われないか、非常に危惧している」

【2023.11.28配信】適切かつ安全に緊急避妊薬にアクセスできる社会の実現を目指す「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト」は11月28日、「緊急避妊薬OTC化の試験的運用の周知、及び迅速かつ全面的なOTC化実現を求める要望書」を厚生労働省に提出した。厚労省は医薬局医薬品審査管理課長の中井清人氏が受け取った。同日、試験的運用が開始されたことを受けたもの。


【日本薬剤師会】「緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業」HP公開/都道府県別対応薬局リストも閲覧可能

【日本薬剤師会】「緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業」HP公開/都道府県別対応薬局リストも閲覧可能

【2023.11.28配信】日本薬剤師会は11月28日、「緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業」に関する一般向けのホームページを公開した。同日から同事業が開始されることに合わせたもの。


【日本薬剤師連盟】薬剤師議員懇談会開催/賃金上昇への改定財源を改めて訴える/加藤勝信前厚生労働相など参席

【日本薬剤師連盟】薬剤師議員懇談会開催/賃金上昇への改定財源を改めて訴える/加藤勝信前厚生労働相など参席

【2023.11.27配信】日本薬剤師会は11月27日、自由民主党薬剤師問題議員懇談会総会を開催した。年度の会計報告を含めた総会を実施するとともに、改めて薬局が物価高騰・賃金上昇に対応するために必要な診療報酬改定財源の確保などを直接、国会議員に求めた。


【訃報】東邦ホールディングス濱田矩男最高顧問

【訃報】東邦ホールディングス濱田矩男最高顧問

【2023.11.27配信】東邦ホールディングスで長く経営トップとして活躍してきた濱田矩男最高顧問が死去した。83歳。


【中医協】長期収載品の保険給付の在り方、日薬「少なくとも出荷調整の成分は選定療養の対象とすべきではない」

【中医協】長期収載品の保険給付の在り方、日薬「少なくとも出荷調整の成分は選定療養の対象とすべきではない」

【2023.11.24配信】厚生労働省は11月24日、中医協を開き、長期収載品の保険給付の在り方について議論した。


ランキング


>>総合人気ランキング