【長野県茅野市】指定訪問看護事業所の在庫薬剤の対象拡大を要望/医療機関または薬局と連携協定を結ぶこと想定

【長野県茅野市】指定訪問看護事業所の在庫薬剤の対象拡大を要望/医療機関または薬局と連携協定を結ぶこと想定

【2022.11.11配信】内閣府国家戦略特区ワーキンググループは11月9日、「指定訪問看護事業所にストック可能な薬剤等の対象拡大」を議論した。この中で長野県茅野市は、医療機関または薬局と連携協定を結んだ上で、連携先の医師または薬剤師が指定訪問看護事業所にストックされた薬剤の管理を行うスキームを提案。処方薬や衛生材料はその患者を診ている医療機関が算定、または包括報酬の中で払い出しを行うイメージ図を示した。


 長野県茅野市は、指定訪問看護事業所にストック可能な薬剤の対象拡大を提案した。
 現在の在宅医療における問題点として、看護師が必要な補液剤等の供給のために在庫のある医療機関と患者宅を往復し、多大な時間的ロスを生じていることを指摘。解熱剤の入手に関しても、距離のある薬局で看護師が購入し、服用させた事例などもあるとした。
 
 対象拡大にあたって、医療機関または薬局と連携協定を結んだ上で、連携先の医師または薬剤師が指定訪問看護事業所にストックされた薬剤の管理を行うスキームを提案。処方薬や衛生材料はその患者を診ている医療機関が算定、または包括報酬の中で払い出しを行うイメージ図を示した。
 趣旨に賛同する医師に限定して、訪問看護指示書(茅野版)を運用・活用することで、指示書に記載されている薬剤等を指定訪問看護事業所にストック可能としてはどうかとした。指示書では「38度以上の時にロキソニン」など具体的に記載する案も提示した。
 
 想定する薬剤の種類については、補液、解熱鎮痛剤、緩下剤、下剤、整腸剤、皮膚軟膏、ターミナルコンフォートセット(ターミナル期のみ)、検査キット、衛生材料などをあげている。

 

厚労省、「適切な連携体制」でも課題解決できる考え示す/提案実施の場合でも「処方箋をどのように交付し、 誰が調剤するのかについて整理が必要」

 この提案に関し、厚労省は以下の通り回答した。

■厚生労働省からの回答
 期待する経済的社会的効果 (患者アウトカムへの影響等) 及び添付資料から、提案の背景の課題に対して、医師の指示のあった薬剤を訪問看護師が持参していない状況を解決する必要があるものと理解していますが、 訪問先で持参していない薬剤が必要になった場合に、医療機関及び薬局において保管する薬剤を医療機関及び薬局の従事者が持参するなど、地域における医療機関や薬局、他職種 (医師、薬剤師等) との適切な連携体制を整備することにより、期待する効果を得ることは可能と考えられることから、まず地域における連携の体制について検討する必要があると考えます。また、訪問看護事業者が卸売販売業者から購入可能な医薬品は滅菌消毒用医薬品のほか、臨時応急の処置や瘡の予防処置に必要な白色ワセリン、グリセリン (浣腸用) 等に限られているところですが、 衛生材料についてはあらかじめ保管しておくことが現在でも可能です。なお、ご提案のように指定訪問看護事業所に薬剤等をストックする場合は、 処方箋をどのように交付し、 誰が調剤するのかについて整理が必要と考えます。

この記事のライター

関連するキーワード


訪問看護ST

関連する投稿


【日本薬剤師会・山本信夫会長】規制改革に「薬剤師の総力を結集して、理不尽な要求に対抗していかなくてはならない」

【日本薬剤師会・山本信夫会長】規制改革に「薬剤師の総力を結集して、理不尽な要求に対抗していかなくてはならない」

【2023.03.13配信】日本薬剤師会は3月11・12日の両日、第101回臨時総会を開いた。この中の会長演述の中で、会長の山本信夫氏は、調剤業務の一部外部委託や訪問看護ステーションに配置可能な医薬品の対象範囲の拡大を求めている規制改革の要望に対して、薬剤師は「国民が安全に医薬品を提供できる環境を確保する、いわば“提供義務”を担う」として、「その責務が揺るがぬよう、会員をはじめ日本中の薬剤師の総力を結集して、理不尽な要求に対抗していかなくてはならない」との考えを示した。


【規制改革会議】訪看STへの薬剤配置で“遠隔管理”案が浮上

【規制改革会議】訪看STへの薬剤配置で“遠隔管理”案が浮上

【2023.03.07配信】内閣府は3月6日、規制改革推進会議「医療・介護・感染症対策ワーキンググループ」(WG)を開催し、「訪問看護ステーション(訪看ST)へ配置可能な薬剤の対象拡充について」を議論した。この中で、専門委員から実施にあたってのスキーム案が提示された。薬局の薬剤師がオンラインによって訪看STに設置した遠隔倉庫を遠隔管理し、随時授与するなどとした。


【規制改革WG】訪問看護STへの薬剤の常備を議論/鎮痛剤や抗生物質など

【規制改革WG】訪問看護STへの薬剤の常備を議論/鎮痛剤や抗生物質など

【2022.11.07配信】規制改革推進会議「医療・介護・感染症対策ワーキング・グループ」(WG)は11月7日、「訪問看護ステーションに配置可能な薬剤の対象拡充について」を議論した。日本看護協会などから、訪問看護ステーション(ST)に一定の範囲の薬剤の常備を求める要望が出た。鎮痛剤や抗生物質などを想定している。特定行為研修制度を修了している場合、手元に薬剤がないため指示を実施できないことも矛盾として挙げられた。これに対し、厚労省は職種間の連携が重要との考えを示し、今後の方向性については回答はしなかった。


最新の投稿


【ウエルシアHD】全社全店でたばこ製品の取り扱いを終了/2026年2月までに

【ウエルシアHD】全社全店でたばこ製品の取り扱いを終了/2026年2月までに

【2023.03.24配信】ウエルシアホールディングスは3月24日、2026年2月までに全社全店でたばこ製品の取り扱いを終了すると公表した。 同社が策定・公表した「ウエルシア グループ健康宣言」の一環。


【ツルハHD2023年5月期 第3Q決算】鶴羽社長、調剤事業は「額をとりにいく戦略」

【ツルハHD2023年5月期 第3Q決算】鶴羽社長、調剤事業は「額をとりにいく戦略」

【2023.03.23配信】ツルハホールディングスは3月23日、2023年5月期第3四半期(2022年5月16日~2023年2月15日)の決算説明会を実施した。


【第108回薬剤師国家試験の合格発表】合格者は前回から5名減少の9602名/合格率約1ポイント増の69.00%

【第108回薬剤師国家試験の合格発表】合格者は前回から5名減少の9602名/合格率約1ポイント増の69.00%

【2023.03.22配信】厚生労働省は3月22日、令和5年2月18日及び19日に実施した、第108回薬剤師国家試験の合格者を発表した。


【京大附属病院とメディセオなど】医療機関と薬局を結ぶトレーシングレポートサービスを共同開発

【京大附属病院とメディセオなど】医療機関と薬局を結ぶトレーシングレポートサービスを共同開発

【2023.03.22配信】京都大学医学部附属病院、株式会社ファインデックスと株式会社メディパルホールディングスの連結子会社である株式会社メディセオは、医療機関と近隣の薬局とのトレーシングレポートを連携するクラウドサービス「AAdE-Report(Adherence and adverse drug event report)」を共同開発(株式会社メディセオは共同開発をサポート)し、2023 年 3 月 13 日より運用を開始したと公表した。


【2023年2月度のOTC市場】前年比112.8%、過去5年間で2番目に高い実績/花粉飛散量の前年増で

【2023年2月度のOTC市場】前年比112.8%、過去5年間で2番目に高い実績/花粉飛散量の前年増で

【2023.03.22配信】インテージヘルスケアは3月22日、「2023年2月度 OTC医薬品(一般用医薬品) 市場概況」を公表した。それによると、2023年2月度のOTC市場は前年比112.8%で、過去5年間で2番目に高い実績となった。花粉飛散量の前年増が影響し、鼻炎治療剤、アレルギー用目薬など関連薬効が大幅に伸長した。


ランキング


>>総合人気ランキング