【緊急避妊薬のスイッチOTC化】短期的・長期的な対応策を整理へ

【緊急避妊薬のスイッチOTC化】短期的・長期的な対応策を整理へ

【2022.10.04配信】厚生労働省は9月30日に「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」(検討会議)を開き、緊急避妊薬のスイッチOTC化について議論した。


 同日の会議では一定の成果があった。スイッチOTC化までの工程で1段階を進めたからだ。
 現在の検討会議では、「検討会議①」のあとにパブリックコメント(パブコメ)を実施し、その後、「検討会議②」を開催。検討会議としての意見書をまとめて「薬事・食品衛生審議会薬事分科会(薬食審)要指導・一般用医薬品部会」に送ることになっている。
 緊急避妊薬に関しては、2021年6月に再要望がされてから10月、2022年3月、4月、と3回の検討会議を開催も、「パブコメ」の工程に移れないでいた。委員から議論に資する資料追加を求める意見などが出ていたたことや、パブコメ案自体も整理に時間がかかったためだ。
 
 それだけ、検討会議での意見が多様であったことの表れでもある。特に専門家から性教育の遅れを指摘する声は根強かった。
 そこで、同日開かれた4回目となる「検討会議①」では、事務局は課題を短期的・長期的なものに整理し、さらには検討会議での少数意見だったのか、多数意見だったのかをある程度まとめて意見を策定していく方針を示した。同日の「検討会議①」をもって、パブコメ実施に移ることが了承された。
 実際の最終的な検討会議としての意見書は、パブコメを経て、「検討会議②」でまとめられることになるが、事務局が前述の方向性を示したこともあり、同日の会議では大きな課題であった性教育などについても長期的課題として、スイッチ化とは「同時並行」で進めるべきとの意見が出始めた。

 日本医師会常任理事・宮川政昭氏は、緊急避妊薬に関する正しい知識を伝えていくためにも「医療が介在して守っていかなければいけない」と、なお慎重な対応を期すべきとの考えを表明。課題として、薬局の販売体制や研修、医療機関やワンストップセンターとの連携、加えて一般用医薬品に移行しない仕組みなどを挙げた。性教育に関しても「実効性担保を文科省にしっかり注文をつけていき文科省にも受けて立っていただきたい」と拡充を求めた。一方で、「とめるわけにはいかない」とも語り、「同時並行でいくためには仕掛けを実際にどうやって動かしていくのか知恵を絞っていくことが大事だろうと思う」と述べた。

 また、日本産婦人科医会副会長の前田津紀夫氏は、緊急避妊薬をOTC化した場合も、「薬剤師の介在が必須」との考えを示した上で、現在のオンライン診療に関わる調剤の研修内容に関してはOTC化を前提としておらず不十分との考えを表明。「(現在の研修内容は)薬剤師の先生がたにも責任が発生する研修内容には至っていない。研修内容を変えていただかないと」と述べた。
 加えて、要指導医薬品にとどめる制度も求めた。「数年ののちに一般用医薬品に自動的に変わっていくという仕組み」では、「手放しで賛成できない」とした。追加意見書でも医会は「スイッチ OTC と一般用医薬品への移行とは分けて議論すべき」とし、「緊急避妊薬については、要指導医薬品として継続できる例外的な措置をとることが望ましい」として、特性に合わせた柔軟な規制改革制度の適用を求めた。
 さらに医会は「販売後に正しい避妊に結びつけることが重要」との意見を示した。これは販売後に産婦人科医に確実につなげる連携体制などを求めているとみられる。

「BPC創設」も長期的課題か

 こうした中で、短期的、長期的課題は何だろうか。
 短期的課題はまさに緊急避妊薬を薬局でも入手できるOTC医薬品にすることだろう。その中で薬剤師の研修拡充や医療機関につなげる連携体制担保の仕組みをつくっていくことが考えられる。

 長期的な課題としては、薬剤師だけが扱えるBPC医薬品というカテゴリーを創設する必要があるのではないかという検討が挙げられる。BPCは「Behind the pharmacy Counter」の訳。緊急避妊薬のスイッチにおいては、BPC創設の検討が必要との意見が出ていた。
 
 さらに長期的課題として、性教育拡充を筆頭とした社会的環境の整備も挙げられる。
 これまでの会議の中では、我が国では中学生に性交や性交すれば妊娠する可能性があること、そして中絶についてなど学校教育では十分に取り入れられていないとの指摘があった。こうした課題についても、検討会議の意見書として明記していくことの意味は小さくない。

 さらに我が国の性交同意年齢が13歳と諸外国に比べて低いことなどの指摘もあった。
 日本産婦人科医会常務理事の種部恭子氏は追加意見書の中で、性交同意年齢の引き上げのほか、「子どもの性的搾取に緊急避妊薬を悪用するものへの処罰規定を設けるべきである」とした。加えて「未成年者が親権者同意なく医療に同意できる年齢について議論し立法を目指す場を設けるべき」とも提起している。
 
 リプロダクティブ・ヘルス・ライツ(SRHR:性と生殖に関する健康と権利)に関わる問題として、議論されてきた緊急避妊薬のスイッチOTC化の議論。女性にとっての権利、自己決定権、基本的人権に関わる問題であるだけに、「OTC化」という出口だけに矮小化することなく、社会環境の問題も進展する契機とすることが、この検討会議が長い時間をかけて議論してきた意味にもなるのではないだろうか。

この記事のライター

関連する投稿


【緊急避妊OTC薬】取扱店検索システム提供/第一三共ヘルスケア

【緊急避妊OTC薬】取扱店検索システム提供/第一三共ヘルスケア

【2026.02.08配信】第一三共ヘルスケアは2月3日、緊急避妊薬「ノルレボ」の販売店検索システムを公開した。最寄りの取扱店舗を位置情報から検索できるほか、駅名・住所からも検索可能。


【緊急避妊薬OTC】全国5000超の薬局等が販売へ/1月19日時点リスト、厚労省

【緊急避妊薬OTC】全国5000超の薬局等が販売へ/1月19日時点リスト、厚労省

【2026.01.19配信】厚生労働省は1月19日時点での緊急避妊薬OTC(要指導医薬品)の販売が可能な薬局等の一覧を公表した。全国で5000超の薬局・店舗販売業の店舗が登録した。


【緊急避妊薬OTC】アプリ「ルナルナ」と協力で服薬サポート/第一三共ヘルスケア

【緊急避妊薬OTC】アプリ「ルナルナ」と協力で服薬サポート/第一三共ヘルスケア

【2026.01.14配信】⽇本初となるOTC緊急避妊薬「ノルレボ」(要指導医薬品)を販売開始する第一三共ヘルスケアは1月14日、ウィメンズヘルスケアサービス『ルナルナ』と協⼒し服薬前から服薬後までをサポートすると公表した。同剤の発売は2月2日。製品の詳しい情報や購⼊・服⽤の流れ、服⽤前セルフチェック ページなどを掲載したブランドサイト(https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_norlevo/)も同日、公開した。


日本初のOTC緊急避妊薬「ノルレボ」新発売/第一三共ヘルスケア

日本初のOTC緊急避妊薬「ノルレボ」新発売/第一三共ヘルスケア

【2025.12.18配信】 第一三共ヘルスケア株式会社(本社:東京都中央区、社長:内田高広氏)は12月18日、日本初となるOTC緊急避妊薬「ノルレボ」(要指導医薬品)を2026年2月2日(月)に発売すると公表した。価格(メーカー希望小売価格)は1錠 6800円(税込み 7480円)。


【東京都薬剤師会】市販緊急避妊薬の「産婦人科医等との連携リスト」関与の方針

【東京都薬剤師会】市販緊急避妊薬の「産婦人科医等との連携リスト」関与の方針

【2025.11.07配信】東京都薬剤師会(都薬)は11月7日に定例会見を開いた。その中で、市販化の見通しとなった緊急避妊薬の販売条件となる「産婦人科医等との連携体制」のリストについて、都薬としても関与していく方針を示した。


最新の投稿


【財政審】薬局の“小規模分散”の問題指摘/中医協「調剤その2」の資料引用

【財政審】薬局の“小規模分散”の問題指摘/中医協「調剤その2」の資料引用

【2026.04.23配信】財務省は4月23日、財政制度等審議会「財政制度分科会」を開き、「財政各論」の資料を提示した。この中で薬局について、昨年の中央社会保険医療協議会(中医協)の資料「調剤その2」の資料も引用しつつ、“小規模分散”の問題を指摘した。小規模分散の体制は、対人業務の充実や安定的な医薬品供給の観点から問題があるとした。


【令和8年度調剤報酬改定】施設基準届出チェック/6月1日期限は11項目

【令和8年度調剤報酬改定】施設基準届出チェック/6月1日期限は11項目

【2026.04.21配信】厚生労働省は4月20日、「令和8年度診療報酬改定に係る施設基準届出チェックリスト」を発出した。令和8年6月1日が届出期限となっているのは11項目。


【東京都】健康食品試買調査で6製品から医薬品成分/医師・薬剤師への相談啓発

【東京都】健康食品試買調査で6製品から医薬品成分/医師・薬剤師への相談啓発

【2026.04.21配信】東京都は3月23日に「令和7年度健康食品試買調査結果」を公表した。都が購入した健康食品の94%(125製品中118製品)に不適正な表示、広告を発見した。都では健康食品の利用について医師や薬剤師に伝えてほしいと訴えている。


注目集まる日薬の生涯学習「JPALS」/服用薬剤調整支援2の算定要件で

注目集まる日薬の生涯学習「JPALS」/服用薬剤調整支援2の算定要件で

【2026.04.20配信】日本薬剤師会(日薬)が2012年から直接手掛けている生涯学習支援システム「JPALS」(ジェイパルス)をご存知だろうか。令和8年度調剤報酬改定で見直された「服用薬剤調整支援料2」の算定要件に関連することになったことで、最近、改めて注目が集まっている。


【第一三共】第一三共ヘルスケアの株式をサントリーHDヘ譲渡/譲渡契約締結を公表

【第一三共】第一三共ヘルスケアの株式をサントリーHDヘ譲渡/譲渡契約締結を公表

【2026.04.15配信】第一三共株式会社(本社:東京都中央区)は、連結子会社である第一三共ヘルスケア株式会社(本社:東京都中央区、以下「DSHC」)の株式の全てをサントリーホールディングス株式会社(本社:大阪市北区、以下「サントリーHD」)に譲渡することを合意し、サントリーHD との間で株式譲渡契約を締結したと公表した。


ランキング


>>総合人気ランキング