サツドラ2020年5月期決算は増収増益、今期見込みは減収減益予測

サツドラ2020年5月期決算は増収増益、今期見込みは減収減益予測

【2020.06.19配信】サツドラホールディングスは6月19日、2020年5月期決算短信を公表した。売上高は893億400万円(前期比+5.5%)、営業利益8億2000万円(同+90.7%)、経常利益8億8500万円(同+97.4%)、当期純利益1億1500万円(同+293.6%)だった。


【2020.06.19配信】サツドラホールディングスは6月19日、2020年5月期決算短信を公表した。売上高は893億400万円(前期比+5.5%)、営業利益8億2000万円(同+90.7%)、経常利益8億8500万円(同+97.4%)、当期純利益1億1500万円(同+293.6%)だった。

2021年5月期は850億円(前期比-4.8%)、営業利益2億円(同-75.6%)、経常利益2億円(同-77.4%)、当期純利益1億円(同-13.6%)を見込む。

2020年5月期の概況に関して同社は、国内経済において期間前半は、国際的な貿易問題や中国経済の減速、慢性的な労働力不足等弱さが見られたものの、雇用・所得環境の改善による個人消費の持ち直し等により、緩やかな回復基調で推移したと分析している。

しかしながら、期間後半に入ると新型コロナウイルス感染症の拡大による訪日外国人の激減等により、国内経済は急激に悪化し、現在も景気の先行きに対し予断を許さない状況にあると指摘。

これに加えて、「第4次産業革命」における先進テクノロジーの戦略的な有効活用は、今後の企業の成長や存続に大きな影響を及ぼす状況となっており、ドラッグストア業界においては、消費者の健康志向の高まり等を背景に市場規模が拡大する一方、競合他社との出店競争の加速、大手企業の統合や業界再編、業界の垣根を超えた販売競争の激化、消費者の節約志向による熾烈な価格競争、人手不足による人件費の増加や物流コストの上昇等、同社グループを取り巻く経営環境は厳しい状況が継続しているとしている。

このような状況を踏まえ、同社グループは、これらの経営環境の変化を更なる成長機会と捉え、現在を「第2創業期」と位置付け、ドラッグストア事業を中心とする既存事業の拡充に加えて、マーケティング会社、IT関連会社、教育関連会社をグループ化することにより、リアル店舗を持つ強みを活かした新規事業への進出を図ることでグループ全体の成長を目指していくとしている。

一方、新規事業での追加コストの発生や収益モデル化の遅れ等に加えて、既存事業でも国際情勢の悪化や、新型コロナウイルス感染症の拡大によるインバウンド需要の急減等、想定していなかった事象も発生しているとする。

「小売事業」の単一セグメントから、「リテール」と「IT」の2つに

なお、同社グループは「小売事業」の単一セグメントだったが、経営管理体制の見直しに伴う経営資源配分の決定方法及び業績評価方法の類似性・関連性を踏まえ、事業区分及び事業活動の実態を適切に表すとともに、事業内容を明瞭に表示する目的で、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分を「リテール事業」「ITソリューション事業」に変更している。

セグメントの業績数値は、セグメント間の内部売上高または振替高を含んで記載している。また、以下の前年同期比較につきましては、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較している。

「リテール事業」に関しては、主に北海道内でのドミナント化を目指したドラッグストアフォーマットでのチェーン展開と訪日外国人が多く訪れる観光地等でのインバウンドフォーマットの運営を行っている。また、営業面ではエブリデー・セイム・ロープライスを中心とする低価格戦略を継続するとともに、当期より地域の健康プラットフォーム化を目指したウェルネス事業部を新設し、ドラッグストアや調剤薬局の枠を超えた健康サービスの提供に取り組むことで差別化を図っている。これらの結果、ドラッグストアフォーマットの売上高は堅調に推移した。これに対し、インバウンドフォーマットの売上高は、日韓関係の悪化等に加え、1月下旬以降の新型コロナウイルス感染症の拡大による訪日外国人観光客の減少等により、低調に推移した。以上の結果、リテール事業は、セグメント売上高889億37百万円(前年同期比5.6%増)、セグメント利益7億63百万円(前年同期比98.6%増)となった。

また、同社は2019年12月に生活協同組合コープさっぽろと包括業務提携契約を締結し、提携内容を協議・推進する機関として任意団体「北海道MD機構」を設置した上で、物流の再構築をはじめ包括的な取組みを進めることにより、北海道経済の活性化や道民の利便性向上、及び両社の企業・事業価値向上を目指している。

ITソリューション事業に関しては、同社グループ向けに開発した技術をもとに、ユーザー目線での課題解決を目指したPOSアプリケーション等の販売を行なっている。POSアプリケーション関連では、既存取引先への軽減税率対応やキャッシュレス化に向けた開発等を行なっている。なお、AWL株式会社について、株式の一部を2019年9月20日公表の「連結子会社の異動(子会社株式の譲渡)及びAWL株式会社との業務提携締結に関するお知らせ」のとおり、2019年9月30日付にて譲渡し、第2四半期連結会計期間より、AWL株式会社及び当該会社の100%子会社であるAWL VIETNAM CO., LTDを当社連結から除外した。以上の結果、ITソリューション事業は、セグメント売上高1億23百万円(前年同期比66.3%減)、セグメント損失55百万円(前年同期はセグメント損失23百万円)となった。

その他事業に関しては、主に、共通ポイントや多様なQR決済を利用した地域密着のマーケティングサービス、インバウンド関連のノウハウを活用した支援サービス、小中学生向けのプログラミングスクールの運営等を行なっている。その他事業は、セグメント売上高6億50百万円(前年同期比33.1%増)、セグメント損失30百万円(前年同期はセグメント利益11百万円)となった。なお同社グループは、グループ全体の適正な経営管理体制の観点から、2020年5月1日を効力発生日として、連結子会社である株式会社リージョナルマーケティングを存続会社としてVISIT MARKETING株式会社を吸収合併した。

リアル店舗を持つ強みを活かし既存事業の拡充と新規事業の収益化図る

今後の国内経済の見通しについては、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる、世界経済、個人消費、及び企業活動への影響の長期化が懸念され、訪日外国人の激減によるインバウンド需要の減少等、予測が難しいリスクが複数存在し、先行きは依然として不透明な状況にあると分析。

同社グループにおいても、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による緊急事態宣言の影響から、多くの店舗で休業や営業時間の短縮を余儀なくされており、今後も不透明な経営環境が続くものと考えられるとする。

ドラッグストア業界においても、各社の積極的な出店や消費者の健康志向の高まり等を背景に市場規模が拡大する一方、既存企業間の出店競争の加速、大手企業の統合・再編による寡占化や、業界の垣根を超えた販売競争の激化等、同社グループを取り巻く経営環境の厳しさは継続するものと考えらる。

このような経営環境のもと、同社グループとしては、リテール事業を中心にリアル店舗を持つ強みを活かしながら既存事業の拡充と、新規事業の収益化を図ることでグループ全体の成長を目指すとする。

また、2021年5月期の見通しについては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が業績に与える影響が、ドラッグストアフォーマットにおいては限定的であると考える一方、インバウンドフォーマットにおいては、その影響が当事業年度を通じ継続するものの、下半期から一部回復するとの仮定をもとに算定したものであり、終息時期によって変動する可能性があるとする。なお、2021年5月期を最終年度とする中期経営計画については、新型コロナウイルス感染症の脅威等、取り巻く経営環境が大きく変化していることから、対象期間及び数値目標等について再度検討する必要性が出てきたため、見直す。詳細については、開示が可能となった時点で、速やかに公表する予定。

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