【日本OTC医薬品協会】「医師によるオンライン健康相談等でセルフメディケーション啓発」をグランドデザインに

【日本OTC医薬品協会】「医師によるオンライン健康相談等でセルフメディケーション啓発」をグランドデザインに

【2022.05.16配信】日本OTC医薬品協会は5月16日に会見を開き、OTC医薬品産業のグランドデザインなどを説明した。この中で「医師によるオンライン健康相談等でセルフメディケーション啓発」を行うことなどを記載した。


 同日の会見で「OTC医薬品産業グランドデザイン改訂版 to 2025」を提示した。
 その中で、「残り3ヵ年で重点的に取組む政策課題、 及び追加するもの」として以下の5項目を示した。

 1)健康・くすり教育支援
 学校教育等で、 健康・くすり教育に活用できる教育資材を作成。今後は、それを使って教育支援が具体的に進められるよう行政や関係方面への働きかけを実施。(オンラインでの教育対応も準備)
 
 2)医師、 薬剤師等、専門家との連携強化
 今回のコロナ禍で、 医師とのセルフメディケーション連携は必要不可欠と判断。 従来からの薬局やドラッグストア等からのOTC医薬品販売と合わせて、医師によるオンライン健康相談等でセルフメディケーション普及啓発と適切な0TC医薬品の勧奨を強化。

3)スイッチOTCと検査薬の拡大
 スイッチ評価検討会議、 内間府規制改革推進会議、 薬食審体外診断薬部会等への働きかけ強化。検査薬では、臨床検査薬協会と合同部会&WG再編成し、 協働で検査薬OTC化に向けて活動。スイッチ候補成分は、2025年度迄に各社の承認申請がスムーズに進められるよう環境整備。

4)セルメ税制改正で更に普及啓発を強化
今回の対象品目拡大とスマートレシートやオンライン対応による申告手続きの簡素化で活用実績を伸ばし、それに基づき5年後の税制改正で更なる対象範囲拡大を実現する。

5)環境保全活動を4つ目の環境整備として追加
これまで各社で取り組んできた環境保全など、 SDGs活動について、協会として最大公約的に取りまとめ、 関係団体と共に目標を持って取り組む。→会員企業ごとで全ての達成を求めるものではなく、 団体としての総和で達成を目指す

 上記の通り、セルフメディケーションの推進として医師との連携に光を当てている。

 協会は診療報酬上の手当てもセルフメディケーションに必要と提案しているとされるが、このことに対し記者から質問が出ると、黒川達夫理事長は「協力の中には第一線の医師や薬剤師、医療従事者のご理解を得て利便性と健康の提供を実現していく必要があり、(診療報酬上の施策も)重要なポイントである」と語った。その上で、「実現にあたっては今の制度がある」ともし、政治家や行政で議論をしてもらっている最中で連携をしていくとの考えを示した。
 
 さらに抗原検査薬を含めたOTC薬の範囲拡大について黒川理事長は、「特に感染症関連のOTCに対しての期待は国民の声でもあると思っている。前向きにお役に立てないかという姿勢で望んでいる」と話した。

 加えて記者から緊急避妊薬のOTC化への考えを改めて問われると、黒川理事長は「OTC薬として適切な使用が確保できるような方策を関係者、専門家のみなさまと意見交換し、社会の声に応えていきたいと思っている。転売への危惧などのご意見あるが薬剤師の方々のご尽力などで克服できるという声もある。状況は急がれるという中で協会としても前向きに提案をし、できるような工夫はあるのではないかとの意見を出しながら事案に望んでいるところ」とした。

この記事のライター

関連するキーワード


骨太方針

関連する投稿


【骨太方針閣議決定】トリプル改定、「物価高騰・賃金上昇」踏まえた「必要な対応」明記

【骨太方針閣議決定】トリプル改定、「物価高騰・賃金上昇」踏まえた「必要な対応」明記

【2023.06.16配信】政府は6月16日、「経済財政諮問会議」と「新しい資本主義実現会議」の合同会議を開催。「経済財政運営と改革の基本方針 2023」(骨太方針)などをとりまとめ、その後開いた臨時閣議で閣議決定した。次期診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬の同時改定については、「物価高騰・賃金上昇、経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性、患者・利用者負担・保険料負担への影響を踏まえ、患者・利用者が必要なサービスが受けられるよう、必要な対応を行う」と明記した。原案では負担について「抑制の必要性を踏まえ」との記載があったが、「抑制」というネガティブな記述から変更があった。


【骨太方針2023原案公表】トリプル改定、物価・賃金上昇や人材確保の必要性から「必要な対応」

【骨太方針2023原案公表】トリプル改定、物価・賃金上昇や人材確保の必要性から「必要な対応」

【2023.06.07配信】政府は6月7日、経済財政諮問会議を開催し、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2023」原案を公表した。来春の診療報酬・介護報酬・障害福祉サービスのトリプル改定に関しては、物価高騰・賃金上昇、 経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性から「必要な対応を行う」とした。ただ、「患者・利用者負担・保険料負担の抑制の必要性」も踏まえるとした。さらに与党とも調整を続け、今月中旬にとりまとめを目指す。


【骨太方針原案】「診療報酬改定DX」進める/医療保険の運営コスト削減

【骨太方針原案】「診療報酬改定DX」進める/医療保険の運営コスト削減

【2022.05.31配信】政府は5月31日に経済財政諮問会議を開き、「経済財政運営と改革の基本方針2022(仮称)原案」を公表した。この中で「診療報酬改定DX」を進めるとし、それにより医療保険の運営コストを削減する方針を示した。「全国医療情報プラットフォームの創設」も記載し、「オンライン資格確認等システムのネットワークを拡充し、レセプト・特定健診等情報に加え、予防接種、電子処方箋情報、自治体検診情報、電子カルテ等の医療(介護を含む)全般にわたる情報について共有・交換できる全国的なプラットフォームをいう」と記載した。


【骨太方針原案】「リフィル処方箋の普及・定着のための仕組みの整備」明記

【骨太方針原案】「リフィル処方箋の普及・定着のための仕組みの整備」明記

【2022.05.31配信】政府は5月31日に経済財政諮問会議を開き、「経済財政運営と改革の基本方針2022(仮称)原案」を公表した。「リフィル処方箋の普及・定着のための仕組みの整備」明記した。今後、最終版へ向けて調整される。


【厚労省】保険証の原則廃止意向示す/5月25日の社会保障審議会医療保険部会

【厚労省】保険証の原則廃止意向示す/5月25日の社会保障審議会医療保険部会

【2022.05.25配信】厚生労働省は5月25日午前に社会保障審議会医療保険部会を開き、オンライン資格確認の導入状況等を踏まえて、保険証の原則廃止を目指す意向を示した。加入者から申請があれば保険証は交付されることも併記した。骨太方針(経済財政運営と改革の基本方針)2022において、「健康保険証の原則廃止」を明記するとの報道がされており、注目が集まっていた。


最新の投稿


【医薬品制度部会】認定薬局、「医療制度に組み込む方がいい」/希少疾病の認定薬局の提案も/委員から

【医薬品制度部会】認定薬局、「医療制度に組み込む方がいい」/希少疾病の認定薬局の提案も/委員から

【2024.04.18配信】厚生労働省は4月18日、「令和6年度第1回 厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会」を開催した。


【医薬品制度部会】日薬、フォローアップの重要性指摘/厚労省「GL作成中」

【医薬品制度部会】日薬、フォローアップの重要性指摘/厚労省「GL作成中」

【2024.04.18配信】厚生労働省は4月18日、「令和6年度第1回 厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会」を開催した。


【ウエルシアHD】池野隆光氏が会長兼社長に就任

【ウエルシアHD】池野隆光氏が会長兼社長に就任

【2024.04.18配信】ウエルシアホールディングスは4月18日、「代表取締役社長選任に関するお知らせ」を公表した。


速報【アイン敷地内薬局めぐる裁判で地裁有罪判決】藤井被告懲役1年・執行猶予3年、新山・酒井両被告懲役6か月・執行猶予2年

速報【アイン敷地内薬局めぐる裁判で地裁有罪判決】藤井被告懲役1年・執行猶予3年、新山・酒井両被告懲役6か月・執行猶予2年

【2024.04.18配信】KKR札幌医療センターの敷地内薬局の整備を巡り、公契約関係競売入札妨害の罪に問われたアインファーマシーズ元代表取締役社長・酒井雅人被告、同社元取締役・新山典義被告、KKR札幌医療センター元事務部長・藤井浩之被告の判決公判が4月18日午前、札幌地裁で行われた。(ジャーナリスト・村上 和巳)


【八戸薬剤師会】調剤実績情報の共有サービスを開始へ/薬局間医薬品融通スムーズに

【八戸薬剤師会】調剤実績情報の共有サービスを開始へ/薬局間医薬品融通スムーズに

【2024.04.17配信】八戸薬剤師会(青森県)は4月17日の夜、八戸市内のホテルで「薬局会員間の調剤実績共有サービスの導入について」との説明会を会員薬局・薬剤師向けに開催した。同サービスは調剤実績情報を共有することで薬局間の医薬品融通をスムーズにすることを目的とするもの。同薬剤師会は会員薬局数149薬局だが、説明会には100名以上が参加し、関心の高さがうかがえた。


ランキング


>>総合人気ランキング