対人シフト、「モノの手を抜けということではない」
規制改革推進会議WGでの議論に対し、山本信夫会長は「会議が開かれるということは聞いているが、クローズドな会議だと承知しており、まだ十分に確認はできていない状態だ」と断りを入れた上で改めて日薬として外注や薬剤師員数規定の見直しについては反対との立場を示した。
「骨太(の方針)と合わせていくのか、最終的にどんな形に規制改革が進められるのかの文言はみえていない。昨年来の規制改革推進会議の場で誰がどういうスタンスでいるのか把握できないが、調剤の外注という話が出ている。ことの起こりは一包化をどうするかだと思っているが、いつのまにか調剤に変わっているという意味ではわれわれ会内でも気にしながら議論している。薬剤師の員数規定や外注の問題について従来通りのスタンスが変わっているつもりはない。当方は当方の意見を言わせていただいている。(規制改革推進会議に対しては)こちらが主張していることについてはご理解いただきたいと思っている」(山本会長)と述べた。
その上で、対人業務拡充の方向性については「モノの管理があって初めて正しく患者に(医薬品が)渡る」として、対物業務を軽んじるという意味ではないとの見解を示した。
「薬剤師の立場からすれば処方箋40枚に1人の薬剤師でまかないきれるのかどうか。今回の調剤報酬改定も全体としてはモノからヒトへということで対人業務の充実をはかれということだが、その一方でモノに対する管理も手抜かりなくしろというのが国のスタンスだと思っている。モノの管理ということがあって初めて正しく患者の手に渡る。単純にモノからヒトへという理屈だけではことが済まないのが医療の世界だ。そういった意味では片方でモノの管理をしながら、加えて患者さん(の薬物療法)を個別化するために薬剤師が仕事をする。モノの手を抜いてもいいんだということは平仄があっていないと思っている」(山本会長)と述べた。
業務効率化、「“人減らし”ではなく“できる仕事を増やす”議論」
加えて、業務の効率化についても“人減らし”ではなく、“できることを増やす”議論が重要だとの見解を示した。
「効率化できる部分は効率化するのかもしれないが、それは“人減らし”ではなしに、仕事ができるためにできる仕事を増やしていこうということ。単純な省力化ということではない。1人で10人分の仕事ができるのか、単純に数を減らせばいいという話ではないと思っている。そうした議論が規制改革の中で、40枚に1人置けとか、調剤を外注してはいけないという規制をただ壊すというのは、それは改革ではなしに破壊だと思っている。しっかりとその中身について議論が必要だ。仮にそういう方向を出すのであればなぜそれがあったのか。それをなしに進めるのは、いささか私どもとしては心外。今でも外注については反対だし、どれぐらいの人が要るのかということについては一定のメルクマークは必要だと思うが、その中でどういう人の入れ方をするのかということについては専門職が判断するものであって、どれぐらいの専門職がその施設にいるのかは合理性がなくてはいけない。単に数の制限をするのはいかんと、処方箋40枚規定を俎上に載せるのは少しやりすぎではないかと今でも思っている」(山本会長)とした。
「結果がどうなるか分からないが、あらゆる場、規制改革の場でも繰り返している」(山本会長)と述べた。
「このニュースを見た規制改革の方々からけしからんと言われるのかもしれないが、われわれの主張は主張としてさせていただきたいと思っている」と述べた。