【インタビュー】日本医療ベンチャー協会に聞く「オンライン診療・オンライン服薬指導の普及の展望」/「規制撤廃後の未来、ゼロか100かではない」原聖吾理事

【インタビュー】日本医療ベンチャー協会に聞く「オンライン診療・オンライン服薬指導の普及の展望」/「規制撤廃後の未来、ゼロか100かではない」原聖吾理事

【2022.02.21配信】オンライン診療・服薬指導で政策提言を行っている日本医療ベンチャー協会理事の原聖吾理事(MICIN代表取締役)は当メディアの取材に応え、今後の展望や設立支援してきたヘルステック議連(「医療・ヘルスケア産業の新時代を創る議員の会」)の活動などについて話した。オンライン服薬指導に関しては、診療報酬上の変更や薬機法上の変更が見込まれている。さらに言えば、産業界からはもっと踏み込んだ「オンライン特化薬局」の要望なども出ている。こうした規制緩和を仮定した未来を読んでおく必要もある。原理事のインタビューはその予測に資するものではないか。


 インタビューの中で原氏は、日本医療ベンチャー協会は「オンラインが対面と共存できる」との立場であるとし、オンライン特化薬局などを要望している経団連(日本経済団体連合会)のスタンスとは一線を画していることを示唆した。

 ヘルステック議連に関しても、事業者だけでなく医療者、患者が重要性を認識していることが普及につながるとの考えから、勉強会などを支援しているとした。

 一方、経団連などが要望しているオンライン特化薬局が登場するような規制撤廃後の未来予想に関しては、「ゼロか100ではない」としつつも、「10%でもオンライン化するようであれば業界へのインパクトは大きい」などと話した。

■有料版「ドラビズfor Pharmacy」で詳報
「ドラビズfor Pharmacy」の媒体概要は下記より
https://www.dgs-on-line.com/boards/5

日本医療ベンチャー協会・原聖吾理事(取材はオンラインで行われた)

編集部コメント/オンライン服薬指導の議論が見えづらい/WGの議論に注目

 原理事はインタビューの中で、「オンライン服薬指導に関する表立った議論が見えづらい」と述べていた。オンライン診療に関しては厚労省で指針の見直しに関する検討会が行われており、そういった議論の積み上げが中医協でも「対面との適切な組み合わせ」に決着した背景があるのではないだろうか。
■当メディア関連記事
【中医協】オンライン診療の評価、対面の9割水準か/対面診療との「適切な組み合わせ」で決着
https://www.dgs-on-line.com/articles/1372

 一方、オンライン服薬指導に関しては昨年11月30日に厚労省からパブコメ募集された改正案が出て、12月29日にパブコメは終了しているものの、その後、規制改革推進会議と厚労省の間で調整が続いているとされる。薬局関係者のほとんどからはその議論の過程は見えづらいといえるのではないか。

 ただ、厚労省は「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」の下に設置した「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」(WG)の第2回の議論でオンライン服薬指導を議論する予定にしている。この場で、これまでの議論の過程や論点がある程度、明らかになるとみられる。要注目だ。
 
なお、第2回WGの議題は以下の通り。
【第2回:薬剤師・薬局のDX】
① 薬剤師が在宅(薬剤師の自宅等)での服薬指導を認めるべきとの意見についてどのように考えるか。
② どのような場合にオンライン不可で対面が必要となるか。
③ 電子処方箋、オンライン服薬指導、マイナポータルを通じた各種医療情報の共有等のデジタル技術の進展を踏まえ、薬局薬剤師の業務はどのように変化していくべきか。

この記事のライター

関連する投稿


【ホームケアIoT】薬局とオンライン服薬指導で連携/リンクジャパン社とメディバリー社

【ホームケアIoT】薬局とオンライン服薬指導で連携/リンクジャパン社とメディバリー社

【2023.09.21配信】AIとIoT技術で住宅機器をリンクするホームIoTプラットフォーム「HomeLink」を開発・提供する株式会社リンクジャパン(東京都港区)は9月20日、薬局を運営する株式会社メディバリー(東京都文京区)とオンライン服薬指導で連携すると公表した。


【経団連】オンライン服薬指導の要件緩和要望/「処方箋電送でも調剤を可能に」

【経団連】オンライン服薬指導の要件緩和要望/「処方箋電送でも調剤を可能に」

【2023.09.13配信】日本経済団体連合会(経団連)は9月12日、提言書「2023年度規制改革要望ー日本経済にダイナミズムを取り戻すー」をまとめ、公表した。この中で「オンライン服薬指導の要件緩和」を要望。電送された処方内容に基づいて行う薬剤の調製等も、薬剤師による訪問確認を前提とせず、「オンライン服薬指導後、薬剤師以外の従業員や配送員が患家を訪問し、処方箋を受領・内容を確認することにより、薬剤師本人による当該処方箋原本の受領・確認なしでも、遡って当該処方箋による薬局での調剤とみなす」こととすべきであるとしている。


【厚労省_コロナ5類移行後の体制】オンライン服薬指導「実施要領」の体制整備を

【厚労省_コロナ5類移行後の体制】オンライン服薬指導「実施要領」の体制整備を

【2023.04.21配信】厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部は、4月20日に「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う医療提供体制の移行及び公費支援の具体的内容について」(令和5年4月 20 日最終改正)を発出した。オンライン服薬指導については、いわゆる0410通知を継続するものの、当該取扱いの終了に向けて「実施要領」(令和4年9月30日付け)の体制の整備を求めている。


【オンライン服薬指導】薬局での導入率は81.0%も、実施実績は13.1%の薬局にとどまる/日本保険薬局協会調査

【オンライン服薬指導】薬局での導入率は81.0%も、実施実績は13.1%の薬局にとどまる/日本保険薬局協会調査

【2023.03.09配信】日本保険薬局協会は3月9日、定例会見を開き、オンライン服薬指導に関する会員調査結果を公表した。それによると、システムを導入している薬局は81.0%と高い比率と違なったが、実施実績があるのは13.1%の薬局にとどまっていた。


オンライン服薬指導に“ついで買い”サービス拡充へ/オンライン診療・服薬指導・宅配の「SOKUYAKU」

オンライン服薬指導に“ついで買い”サービス拡充へ/オンライン診療・服薬指導・宅配の「SOKUYAKU」

【2023.01.27配信】オンライン診療・オンライン服薬指導・医薬品の宅配までをワンストップで提供するアプリ「SOKUYAKU」(ジェイフロンティア社提供)が、“ついで買い”のサービスを拡充している。オンライン服薬指導を受ける患者の中にはそのほかのOTC医薬品や日用品もついでに買いたいというニーズがあり、そのニーズに「SOKUYAKU」が応えるもの。もともと処方薬は配達員がドラッグストアや薬局にピックアップに行っているため、その際に一緒に同梱して他のものを届けるようにする。


最新の投稿


【厚労省】“研究用”抗原検査キット、薬機法で取り締まりの方向/該当性判断の上

【厚労省】“研究用”抗原検査キット、薬機法で取り締まりの方向/該当性判断の上

【2024.07.25配信】厚生労働省は7月25日に「厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会」を開催し、体外診断用医薬品の特性を踏まえた制度の見直しについて議論した。その中で「研究等の医療以外の用途を標榜する試薬の提供業者への対応」を議題とした。


【日薬】オーバードーズ問題でマニュアル作成を検討中

【日薬】オーバードーズ問題でマニュアル作成を検討中

【2024.07.24配信】日本薬剤師会は7月24日、都道府県会長協議会を開催した。


【厚労省】処方箋保存期間の検討を提示/薬局検討会

【厚労省】処方箋保存期間の検討を提示/薬局検討会

【2024.07.19配信】厚生労働省は、現在3年間となっている処方箋の保存期間について見直す方針を示した。「第7回薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」で提示した。診療録の保存期間が5年となっている中、電子処方箋については処方箋を調剤済みとなった日から5年間保存するサービスを提供しているなどの環境変化を挙げている。今後、制度部会で議題とする方針。


【コンソーシアム】大阪市から調剤外部委託で4社8薬局が確認通知受領を公表

【コンソーシアム】大阪市から調剤外部委託で4社8薬局が確認通知受領を公表

【2024.07.19配信】薬局DX推進コンソーシアムは7月19日、大阪市から調剤業務一部委託事業の確認通知を受け取ったと公表した。


【日本保険薬局協会】健康サポート薬局と地域連携薬局「違いない」/厚労省検討会に意見書

【日本保険薬局協会】健康サポート薬局と地域連携薬局「違いない」/厚労省検討会に意見書

【2024.07.19配信】日本保険薬局協会は7月19日に開かれた厚労省「第7回 薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」で意見書を提出した。「健康サポート薬局、地域連携薬局、地域支援体制加算届出薬局が描く薬局像は、小異こそあれ、分立させるほどの違いはない」とした。


ランキング


>>総合人気ランキング