オンライン診療に関しては1号側(支払い側)から「指針を超える制限を設けるべきではない」「点数の水準は対面と同様も含め引き上げ」といった意見があった。
2号側(診療側)からは、「オンライン診療は対面診療の補完である」「一定時間内に通院又は訪問が可能な患者に利用を限定」「オンライン診療の実施割合に係る上限設定は維持」「点数水準は特例対応を維持」といった意見が示された。
公益側裁定案「医師が必要と判断した場合にはオンライン診療ではなく、対面診療が行われることも重要」
双方の意見の隔たりが大きいことから、公益側から以下の裁定案が示された。
・「指針」に基づいて見直しを行うことが今回の検討の前提であり、また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大下において、オンライン診療が活用されてきたことも踏まえれば、患者が適切にオン
ライン診療を受けることができる環境を整備することが重要となる。一方、オンライン診療の質を確保し、医師が必要と判断した場合にはオンライン診療ではなく、対面診療が行われることも重要である。
公益側裁定案「時間・距離要件や、オンライン診療の実施割合の上限については要件として設定しないことが適切」
・以上を踏まえると、オンライン診療の算定要件及び施設基準については、「指針」の規定を前提とし、その趣旨を明確化する観点から設定すべきである。「指針」において、「対面診療を適切に組み合わせて行うことが求められる」とされていることから、保険医療機関において、対面診療を提供できる体制を有すること、また、「指針」において、「オンライン診療を行った医師自身では対応困難な疾患・病態の患者や緊急性がある場合については、オンライン診療を行った医師がより適切な医療機関に自ら連絡して紹介することが求められる」とされていることから、患者の状況によってオンライン診療では対応が困難な場合には、他の医療機関と連携して対応できる体制を有することを求めることが適切である。これらも含め、「指針」に準拠した診療の実施を要件化することを前提として、医療機関と患者との間の時間・距離要件や、オンライン診療の実施割合の上限については要件として設定しないことが適切である。なお、今後、オンライン診療の実態の把握・検証が可能となるよう、施設基準の定例報告において、オンライン診療の実態についての報告項目を盛り込むなど、必要な対応を講じるべきである。
公益側裁定案「対面診療の点数水準と特例対応の点数水準の中間程度の水準とすることが適当」
・点数水準については、「時限的・特例的な対応」の初診料が 214 点に設定され、対面診療の場合の初診料 288 点と比較して、約 74%の水準となっている。
・オンライン診療では、対面診療との比較において、触診・打診・聴診等が実施できないことを踏まえると、点数水準に一定程度の差を設けることは妥当であると考えられる。一方、オンライン診療のみで診療を終え得ることや、国民にオンラインでも適切に診療を届けていくことの重要性も勘案すると、オンライン診療に係る初診料については、対面診療の点数水準と「時限的・特例的な対応」の点数水準の中間程度の水準とすることが適当である。
・また、医学管理料については、対面診療の場合の点数が 87 点から 1,681 点までであるところ、オンライン診療の場合では一律 100 点に設定されている。また、「時限的・特例的な対応」においては一律 147 点となっている。オンライン診療に係る医学管理料の点数水準についても、オンライン診療の初診料の対面診療に対する割合と整合的に設定することが適当である。
・今後、今回改定の影響を調査・検証し、オンライン診療に係る適切な評価等の在り方について、引き続き、今後の診療報酬改定に向けて検討を行うこととする。
編集部コメント/オンライン服薬指導で行方が不透明な「対面との組み合わせ」
今回了承された文書にはオンライン服薬指導については触れられていないが、同様の考え方が用いられる可能性が高いだろう。
例えば、月に1回の算定としていた指導料については、「個別項目」内ですでに「受付1回につき」に変更が提示されている。
ただ、1点、「対面との組み合わせ」については服薬指導にも用いられるのかどうかは「個別改定項目」にも記載がなく今日現在、不透明だ。オンライン服薬指導においては対面との組み合わせが適用されない可能性もあるだろう。