【スイッチ検討会議】“コンバントリン錠”(蟯虫の駆除薬)のスイッチ、家族への予防的投与などが課題に

【スイッチ検討会議】“コンバントリン錠”(蟯虫の駆除薬)のスイッチ、家族への予防的投与などが課題に

【2022.01.31配信】1月14日に開かれた厚生労働省「第18回 医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」(転用会議)では、「コンバントリン錠/ドライシロップ」(成分名;ピランテルパモ酸塩、蟯虫の駆除薬)のOTC化が議論された。この中で、「診断」や「家族への投与」をどうするのかという課題が挙がった。いつ飲むべきなのかは、OTC医薬品に関しては「基礎的なヘルスリテラシーの蓄積で乗り越えられる」といった意見も出た。さらに「予防投薬」が問題になるのは主に保険上でありOTC医薬品の場合には違った視点になるとの見方も示された。


 「コンバントリン錠/ドライシロップ」(成分名;ピランテルパモ酸塩)は効能効果を「蟯虫の駆除」とするもので、平成27年から学校検診が行われなくなるなど、患者数は減少しているものの、企業側によると、依然、一定の患者数はあるとして、OTC化するニーズが指摘されている。

 むしろ、現代においては、医療機関にかかることなどから“大ごと”のようになって、子供に心理的負担を与えるよりは、「需要は少なくても薬局に置いておくべき医薬品ではないか」(日本薬剤師会常務理事の岩月進氏)との指摘も出た。

 体内に残らず、有効性・安全性のある成分であることから、OTC化そのものへの異論は少なかったものの、診断をどうするのか、つまり「診断のできない薬局で飲む人をどうやって見分けるのか」という問題が提起された。

 これに対し、日本OTC医薬品協会理事長の黒川達夫氏は、薬剤師や臨床医によるアドバイスなどをもって「基礎的リテラシーの蓄積で乗り越えられるのではないか」との考えを示した。

 さらに臨床現場では家族への投与や、複数回の投与も視野に入れることから、薬局現場ではどのようにこうした用法用量の指導が可能か、との課題も抽出された。「予防投与はOTCで可能なのか」との声も出た。

 これに対し、日本チェーンドラッグストア協会理事の平野健二氏は、複数回服用に関して「生活者は容易に理解ができる」とし、店頭でも説明が可能であるとの意見を述べた。

 予防的投与に関しては、薬剤師会の岩月氏が「予防投与というのは保険上の話ではないか」との意見を述べ、OTC医薬品においては違う観点になるとの見解を示した。

 座長の笠貫宏氏(早稲田大学特命教授)は、「患者のための薬局ビジョン」が策定されたことに触れ、研修を含めて薬剤師の関わり方が重要になるとの認識を示した。

 “令和4年スキーム”では1つの成分の検討会議は原則2回開かれる。今回の検討会議①後にはパブリックコメントが募集されるほか、抽出された課題に対する解決策が収集された上で次回「検討会議②」が開かれる見込みだ。

■詳細記事
https://note.com/dorabiz_fp/n/nc8c7f139c01f

この記事のライター

関連する投稿


【PPI】国内初のOTCを発売/エーザイ「パリエットS」

【PPI】国内初のOTCを発売/エーザイ「パリエットS」

【2025.06.02配信】エーザイは6月2日、国内 OTC 医薬品として初めて製造販売承認を取得したプロトンポンプ阻害薬(PPI)である「パリエットS」を発売した。


【緊急避妊薬のOTC化】評価検討会議は終結、薬事審議会での承認可否判断へ

【緊急避妊薬のOTC化】評価検討会議は終結、薬事審議会での承認可否判断へ

【2025.05.23配信】厚生労働省は5月23日、「第32回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」を開催し、緊急避妊薬のスイッチOTC化について議論した。


【日本薬剤師会】緊急避妊薬の調査事業を報告/「世の中の流れはスイッチ化と理解」

【日本薬剤師会】緊急避妊薬の調査事業を報告/「世の中の流れはスイッチ化と理解」

【2025.05.22配信】日本薬剤師会(日薬)は5月22日に定例会見を開催した。その中で緊急避妊薬の薬局販売にかかる調査事業について報告した。


【あすか製薬】緊急避妊薬のスイッチOTCの承認申請を公表

【あすか製薬】緊急避妊薬のスイッチOTCの承認申請を公表

【2025.05.15配信】あすか製薬は5月15日、 緊急避妊薬のスイッチ OTC について、製造販売承認申請を行ったと公表した。


【OTC薬協】小学校に出前授業、「健康とくすり」

【OTC薬協】小学校に出前授業、「健康とくすり」

【2025.01.15配信】日本OTC医薬品協会は1月15日、小学校向けに「健康とくすり」の出前授業を行ったと公表した。


最新の投稿


【厚労省】次期調剤報酬改定へ「現在の薬局の立地に至った経緯」調査

【厚労省】次期調剤報酬改定へ「現在の薬局の立地に至った経緯」調査

【2025.07.10配信】厚生労働省は7月9日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開催し、「令和6年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(令和7年度調査)の調査票案」を提示した。次期調剤報酬改定議論の基礎資料となるもの。


【奈良県議会】薬価制度の抜本的改正を求める意見書を採決/奈良県薬が働きかけ

【奈良県議会】薬価制度の抜本的改正を求める意見書を採決/奈良県薬が働きかけ

【2025.07.02配信】奈良県議会は7月2日、奈良県議会本会議において「薬価制度の抜本的改正を求める意見書」を会派全会一致で採決した。


【厚労省】電子処方箋の新目標を公表

【厚労省】電子処方箋の新目標を公表

【2025.07.01配信】厚生労働省は7月1日、第7回「医療DX令和ビジョン2030」を開催し、電子処方箋普及の新目標を公表した。


【日本薬剤師会】定時総会会長演述/岩月進会長

【日本薬剤師会】定時総会会長演述/岩月進会長

【2025.06.29配信】日本薬剤師会は6月28・29日に第106回定時総会を開き、その中で岩月進氏が会長演述を行った。


【OTC医薬品の遠隔販売】支援システム構築へ/MG-DX社

【OTC医薬品の遠隔販売】支援システム構築へ/MG-DX社

【2025.06.26配信】株式会社サイバーエージェント(本社:東京都渋谷区、代表取締役:藤田晋氏)の連結子会社である医療AIカンパニー、株式会社MG-DX(本社:東京都渋谷区、代表取締役:堂前紀郎、以下「当社」)は、薬局特化型の接客AIエージェント「薬急便 遠隔接客AIアシスタント」において、OTC医薬品の遠隔販売に特化した新たなシナリオを構築したと公表した。


ランキング


>>総合人気ランキング