日本チェーンドラッグストア協会・池野隆光会長の年頭所感は以下の通り。
あけましておめでとうございます 本年も宜しくお願い致します。
新型コロナウイルスの感染や今もなお後遺症で苦しんでおられる多くの皆さまにお見舞い申し上げます。
昨年の今頃は、新型コロナウイルス感染症のまん延で悲壮感が世の中を覆っていました。あれから早1年が経過、国民の7割がワクチン接種を終え、治療薬の承認も間近に控えるに至りました。医療提供体制の拡充など、コロナ対策の課題は山積状態ですが、「ワクチン・検査パッケージ」導入による大規模イベントの解禁や入国制限の緩和など、再成長へ向けた経済の動きまでやっと辿り着いた印象です。
世界中を震撼させた新型コロナパンデミックによって、私たちドラッグストアの事業環境は大きく変化致しました。お客さまがご自身のお住まいの近くで買い物を済ませたいというニーズに合わせ、ドラッグストアでは①食品の取り扱い拡大、②衛生関連商品の取り扱い拡大、③調剤併設の拡大によって、引き続き収益の増大を図ることができました。結果的にドラッグストアの売上高は他の小売業と比較しても伸長率が高くなっているものと予想されます。
幕を開けた 2022 年、不確実性の高まる事業環境下において、私たちドラッグストアは国民のより快適な生活を実現するため、次のような重要ポイントを掲げ取り組みを進めてまいります。
① カーボンニュートラルに代表される環境配慮への取り組み
JACDS では、SDGs推進委員会等を通じ、環境に配慮した持続的な事業活動に向けて取り組んでおります。私たちは、多くの生活必需品を取り扱う事業者としての責任を認識し、プラスチックごみの削減や回収などを通じた環境問題解決に積極的に取り組んでまいります。
② ドラッグストア調剤取扱高 1 兆円突破と薬剤師資質向上への取り組み
調剤併設型店舗の拡大によって、調剤取扱高は 1 兆円に達し、さらに拡大する見込みです。薬剤師採用も拡大しており、今後は薬剤師の資質向上が課題となってまいります。JACDS では、会員企業の教育への取組を促すとともに、勤務薬剤師委員会等を通じて研修企画等を支援してまいります。
③ 医薬品登録販売者の資質向上への取り組み
JACDS のほぼすべての会員企業において医薬品登録販売者を雇用しています。医薬品登録販売者の役割は非常に大きく、資質向上への取り組みが欠かせません。JACDS では、学術・調査研究委員会等を通じて、医薬品登録販売者による活用を想定した受診勧奨ガイドラインの策定に取り組み、教育活動を支援してまいります。
④ 行政書式統一や検査薬 OTC 化等改革要望の取り組み
各自治体で異なる行政手続書類の統一を切に希望します。また、健康状態を確認するための各種検査
薬の OTC 化による店頭取扱の実現など、ドラッグストアを取り巻く事業環境の整備が求められています。JACDS では、会員企業のさらなる成長に向け事業環境改善の要望を行ってまいります。
⑤ JACDS 政治連盟によるロビー活動強化
ドラッグストアは規制の影響を少なからず受ける事業です。私たちは地域住民に対してより高い健康
サービスを提供し続けるため、自ら規制変更を促し改善することが必要です。JACDS では、医療用医薬品のスイッチ OTC 化をはじめとする多くの課題に対し、政治連盟を通じたロビー活動を展開してまいります。
⑥ 他の業界団体との連携に向けた取り組み
JACDS では、各方面の団体との情報交流を図り、地域住民のために発言力強化に向けた連携に取り組んでいます。JACDS、日本薬剤師会、日本保険薬局協会との間では、薬業三団体としての連携をより緊密にして、国民の健康・医療問題に取り組んでまいります。また流通企業団体とは、市民生活を守るため経済環境の変革を提案してまいります。
事業拡大に伴い、社会での責任も拡大します。ドラッグストア業界が大きくなることは、社会的責任も大きくなっていることをあらためて認識しなければなりません。国民の医療や健康・環境問題に積極的に取り組み「尊敬される企業集団 JACDS」をさらに一歩前進させる決意で取り組んでまいります。
本年が皆さまにとって良い年となりますよう、お祈り申し上げます。

【2022年年頭所感/日本チェーンドラッグストア協会池野隆光会長】検査や医療用薬のOTC化拡大を重要政策に
【2022.01.04配信】日本チェーンドラッグストア協会の池野隆光会長は、「年頭所感」をメディア各社に公表した。コロナ禍でドラッグストアの事業環境が大きく変わったことに触れ、顧客のワンストップショッピングニーズに合わせた食品・衛生材料の取り扱い拡大や調剤併設などに取り組んできたことを紹介。不確実性の高まる2022年においては、環境配慮への取り組みや薬剤師・登録販売者の資質向上のほか、検査・医療用薬のOTC化拡大、他団体との連携などを重要政策に掲げた。
関連する投稿
【ドラッグストア協会】森副会長、「200店舗」などへの波及警戒/調剤報酬改定要望
【2025.03.26配信】日本チェーンドラッグストア協会は3月26日に定例会見を開いた。
【ドラッグストア協会】調剤額伸び率鈍化、「まだ併設出店意欲ある」/今後の伸び率維持に自信
【2025.03.26配信】日本チェーンドラッグストア協会は3月26日、定例会見を開いた。
【ドラッグストア協会】OTC類似薬の保険適用除外論議にコメント
【2025.03.26配信】日本チェーンドラッグストア協会は3月26日に定例会見を開いた。
【ドラッグストア協会】調剤額前年比8.4%増の1兆5205億円に/JACDSドラッグストアの実態調査
【2025.03.26配信】日本チェーンドラッグストア協会は3月26日に定例会見を開いた。
【ドラッグストア協会】300店舗以上、敷地内薬局等への不利益解消を厚労大臣に要望
【2025.03.26配信】日本チェーンドラッグストア協会は3月26日に定例会見を開いた。
最新の投稿
【規制改革WG】事前処方・調剤の質疑への回答公表/在宅医療における円滑な薬物治療の提供で
【2025.05.01配信】規制改革推進会議「健康・医療・介護ワーキング・グループ(第5回)」が5月1日、開催された。その中で令和7年3月14日に開催された「第2回健康・医療・介護 WG」に関する委員・専門委員からの追加質疑・意見に対する厚生労働省の回答を公表した。
【東京都薬務課】健康食品試買調査結果、79%が違反/効能効果の標榜に販売店のチラシなども注意
【2025.04.30配信】東京都薬務課は4月30日に定例会見を開き、都が毎年行っている健康食品試買調査の結果を説明した。124製品中、98製品、79%に不適正な表示、広告が発見されたという。医薬品的な効能効果の標榜を禁止している薬機法違反も多いが、景品表示法、食品表示法、特定商取引法などの違反も見られる、都では複数の法律で規制されている健康食品を取り扱う事業者に向けて講習会を開いており、講習会参加なども生かして法令遵守に取り組んでほしいとしている。
【厚労省_疑義解釈(その24)】DX加算のマイナ保険証利用率について
【2025.04.28配信】厚生労働省は4月25日、診療報酬改定についての「疑義解釈(その24)」を発出した。「医療DX推進体制整備加算」の施設基準の1つであるマイナ保険証利用率について回答。4月については在宅患者を分母から引いて構わないとしている。現在は通常の外来患者がマイナ保険証を利用した場合のみが反映されているため。5月以降については、居宅同意取得型のオンライン資格確認によるマイナ保険証利用件数が社会保険診療報酬支払基金から通 知するマイナ保険証利用率集計に含まれる予定。
【日本薬剤師会】電子お薬手帳ビューワー、他職種への周知を依頼
【2025.04.26配信】日本薬剤師会は電子おくすり手帳簡易ビューワーアプリ「e薬 SCAN」について、他職種への周知依頼を都道府県薬剤師会宛てに発出した。
【財政審】 後発薬調剤体制加算等、政策目標の達成状況を踏まえ「必要に応じ報酬体系の再編を」
【2025.04.23配信】財務省は4月23日に財政制度等審議会「財政制度分科会」を開催した。