【ツルハHD】「地域連携薬局は可能な限り目指す」/大手食品会社とのPB開発が進展/日本保険薬局協会での活動も報告/第2四半期決算説明会

【ツルハHD】「地域連携薬局は可能な限り目指す」/大手食品会社とのPB開発が進展/日本保険薬局協会での活動も報告/第2四半期決算説明会

【2021.12.21配信】ツルハホールディングスは12月21日、2022年5月期第2四半期の連結業績(2021年5月16日~2021年11月15日)に関して説明会をオンラインで開催した。調剤事業に関しては来年公表予定の新中期経営計画の中で併設率や売上規模などの数値目標を設定する見込みであるとした。PBについては、日清食品やカゴメなどの大手食品メーカーとの共同開発が進んでいるとした。調剤戦略においては調剤チェーン企業の業界団体である日本保険薬局協会での活動も報告。同協会の学会である日本薬局学会で同社薬剤師が優秀演題を受賞したことに触れた。さらに地域連携薬局に関して、「可能な限り目指していきたい」とした。


OTC医薬品や制度化粧品の売上回復は「想定以上に遅い」

 ツルハホールディングスの2022年5月期第2四半期の連結業績(2021年5月16日~2021年11月15日)は、売上高4625億1200万円(前年同期比2.0%増)、営業利益227億900万円(同18.9%減)、経常利益226億2200万円(同20.1%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益127億3900万円(同23.2%減)だった。
 
 巣篭もり需要の反動減や季節品不振で売上高は計画未達となったが、販管費は予算を下回る進捗だった。OTC医薬品や制度化粧品の売上回復が想定以上に遅いことを要因として挙げている。
 なお、今期から収益認識基準を変更しているため、旧基準ベースでの前年同期比の概算は、売上高104.7%、営業利益80.8%としている。

 出店状況では70店舗を開店、31店舗を閉店。純増は39店舗となり、国内の期末店舗数は2,459店舗となった。調剤に関しては45店舗を新規開局した。

調剤事業は前期比114%と好調

 商品群別の実績では調剤事業が引き続き好調で、前期比114.3%の501億9000万円となり、売上構成比は10.9%となった。なお、調剤実施店舗数は720店舗となっている。うち併設調剤は543店舗で、専門は177店舗。
 そのほか前期比では食品が106.0%、化粧品が102.0%、OTC薬99.3%、日用雑貨98.2%などとなった。

 通期業績(2021年5月16日~2022年5月15日)見込みは直近の公表から変更はなく、売上高9560億円(前期比増減率4.0%)、営業利益512億円(同5.8%)、 513億6700万円(同7.7%)、当期純利益282億8000万円(同7.6%)を予想する。

「1on1マーケティング」を推進し精度高める

 取り組みと方針を説明した鶴羽順社長は、ITによる業務改善や顧客接点の充実を図っていく方針を説明。アプリ会員に向けては「1on1マーケティング」を志向し、顧客属性を8分類にし、各々のアプローチを実施。来店頻度が落ちている顧客や会員離反が予測される顧客に対しての来店促進手法をとり、こうした実証実験を重ねつつ、「1on1マーケティング」の自動化、全店導入を目指していきたいとした。

 来店頻度を高めるための生鮮食品や100均の取り組みやEコマース拡充を進める。Eコマースに関しては、事業基盤整備のため関東出荷センターを新設している。店舗網を生かし融合策を進める。PB商品では日清食品やカゴメといった大手食品メーカーとの共同開発が進んでいる。

 調剤事業に関しては今期は91店舗の開局を目標としており、上期45の開局と進捗は順調。
 鶴羽社長は「業務効率化に取り組むとともに薬剤師の教育に力を入れていく」と話した。
 「第15回日本薬局学会学術総会」では、ツルハHD グループ調剤薬事部 松井洸氏が優秀演題を受賞したことを紹介した。演題は「抗菌薬に関する患者の認識の適正化に対する薬局薬剤師による対面指導の有効性」。同学会は、調剤チェーン企業の業界団体である日本保険薬局協会の学会。「薬剤師の専門性を社内外に発信していきたい。薬剤師のモチベーション向上や採用活動にもつなげたい」とした。
 
 来年に控えている2022年5月期通期業績の公表のタイミングで新中期経営計画を公表する準備を進めていることも明かした。資本効率や株主還元などの財務方針を設定したい考え。

 アナリストからの質疑応答の中で、来春の薬価改定における調剤事業への影響予測を問われると、 同社執行役員管理本部長の村上誠氏は、改定の詳細が判明していないため確定的な話はできないとした上で、「ある程度予想していたところ」と述べた。ただ、後発医薬品調剤体制加算の行方が不明瞭であるとし、地域支援体制加算などについては取り組んでいく方針を示した。

 また、記者から調剤事業について新中期経営計画に数値目標を掲げるのかどうか、さらに今年8月から始まっている地域連携薬局などへの方針を問われると、鶴羽社長は、「調剤に関しては新中計でも重要戦略の1つに掲げる予定。併設率か売上規模か、もしくは両方かは議論中だが、何らかの数値的な目標は定める方針」と述べた。地域連携薬局に関しては、「可能な限り目指していきたい」とした。

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