【ツルハHD2023年5月期 第3Q決算】鶴羽社長、調剤事業は「額をとりにいく戦略」

【ツルハHD2023年5月期 第3Q決算】鶴羽社長、調剤事業は「額をとりにいく戦略」

【2023.03.23配信】ツルハホールディングスは3月23日、2023年5月期第3四半期(2022年5月16日~2023年2月15日)の決算説明会を実施した。


調剤事業売上高835億8000万円/前年比は109.0%/売上構成比11.4%に

 調剤においては第3四半期の累計で売上高835億8000万円となった。前年比は109.0%。薬局数増加により処方箋枚数が増加したことで伸長した。売上構成比は11.4%となった。
 売上総利益率については薬価改定や調剤報酬改定の影響を受けて0.9ポイント減少し、38.0%となった。
 今期の新規開局は72店舗となった。

 同社は重点戦略の1つに調剤を掲げ、現在の調剤売上高約1000億円を2025年5月期に1400億円に伸ばすことを目標としている。店舗併設を中心とした出店を強化し、調剤店舗数は現在の760店から1170店へ増加させる計画。
 予想される改定に対しては、薬局機能向上による各種加算、および応需枚数アップにより対応する方針。
 オンライン資格確認システムの導入については、全店舗導入済みであるとするなど、医療DXに積極的に取り組む方針。処方箋送信・予約サービスを拡充し、自社アプリ経由でのアクセスや店頭処方箋受付機等により利便性の向上と処方箋枚数の確保を図りたい考え。

 中期経営計画を説明した同社社長の鶴羽順氏は、調剤事業においては処方箋枚数増を重視する戦略を強調。
 記者から調剤報酬改定への対応を聞く質問が出ると、改定の影響については「そのままであれば年間で5億円ぐらいのマイナスにはなるのではないかという試算はある」としつつ、もともとの加算算定率が比較的低く加算算定の余地が大きいことも説明。その上で、処方箋枚数の増加に軸足を置く考えを強調。
 「粗利の低下というのはどうしても調剤に限っては起きてくる。当然色々な加算を算定することなど、やるべき事の努力もしていく。ただ、我々はまだ調剤事業自体の事業規模が成熟している規模ではない。出店を増やして処方箋枚数を増やして、額をしっかり取っていくというところに一番軸を置いていく」(鶴羽社長)と述べた。

コロナ関連商材好調で増収増益を維持

 なお、同社の2023年5月期第3四半期(2022年5月16日~2023年2月15日)連結累計業績は、売上高7314億3600万円(前年同期比5.7%増)、営業利益377億1900万円(同10.8%増)、経常利益378億4900万円(同11.6%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益217億1200万円(同14.9%増)だった。コロナ関連商材の販売が第2四半期に続き好調であったことに加えて、人流回復により風邪薬の販売も回復。堅調な結果となった。販売管理費については継続して電気料金が高い水準で推移している一方、人件費ほかの費用のコントロールによりほぼ計画通りの着地になった。
 第1、第2四半期に続き増収増益を維持した。

この記事のライター

関連するキーワード


ツルハホールディングス

関連する投稿


【ツルハHD】中間決算発表を延期/会計監査人から「誤謬」指摘で

【ツルハHD】中間決算発表を延期/会計監査人から「誤謬」指摘で

【2024.12.19配信】ツルハホールディングスは12月19日、2025 年2月期第2四半期決算発表の延期を公表した。過年度の連結財務諸表に関する誤謬が存在する可能性が判明したとしている。


【レデイ薬局】白石社長を解任/酒気帯び運転の検挙で

【レデイ薬局】白石社長を解任/酒気帯び運転の検挙で

【2024.11.14配信】ツルハホールディングスは11月14日開催の同社取締役会及び同社連結子会社である株式会社レデイ薬局(本社:愛媛県松山市)の臨時株主総会において、同社執行役員でレデイ薬局代表取締役社長である白石明生氏の取締役解任に関する決議を行った。、同日付で両社の役員を解任した。


【ウエルシアHD池野会長】ツルハHDとの統合「早く進めるのがよい」

【ウエルシアHD池野会長】ツルハHDとの統合「早く進めるのがよい」

【2024.05.10配信】ウエルシアホールディングスの代表取締役会長兼社長を務める池野隆光氏は5月10日、都内の会合で、ツルハホールディグスとの統合について触れ、「早く進めるのがよいと思っている」と述べた。同社の取引先を交えた会合「ウエルシアホールディングス共栄会」の総会で挨拶したもの。


【ツルハHD】ウエルシアHDとの経営統合報道でコメント公表

【ツルハHD】ウエルシアHDとの経営統合報道でコメント公表

【2023.02.26配信】ツルハホールディングスは2月26日、ウエルシアホールディングスとの経営統合に関する報道があったことを受け、コメントを公表した。


【ツルハHD】調剤の売上構成比11.3%に/調剤粗利率は▲1.0ポイント減/2023年5月期第2四半期決算

【ツルハHD】調剤の売上構成比11.3%に/調剤粗利率は▲1.0ポイント減/2023年5月期第2四半期決算

【2022.12.20配信】ツルハホールディングスは12月20日、2023年5月期第2四半期の連結業績(2022年5月16日~2022年11月15日)について説明会を行った。調剤事業は開局により処方箋枚数が増加し、順調に伸長。調剤売上は対前年同期比108.9%の546億6100万円だった。対売上の構成比は11.3%となった。一方、薬価・調剤報酬改定により調剤事業の粗利率は低下。前年同期の粗利率39.6%から1.0ポイント減となる38.6%となった。


最新の投稿


【大木ヘルスケアHD】松井秀正社長「ドラッグストアは行政とも連携しビジネスモデル変革を」

【大木ヘルスケアHD】松井秀正社長「ドラッグストアは行政とも連携しビジネスモデル変革を」

【2025.02.14配信】ヘルスケア卸大手の大木ヘルスケアホールディングスは2月14日、同社提案会開催中の会場にて会見を開いた。この中で同社社長の松井秀正氏はドラッグストアは今後、「行政とも連携してビジネスモデルを変革していく必要がある」と語った。同社はこれまでも販売だけでなく店頭で行政とも連携した健康イベントの実施を提案・支援するなどの試みを展開している。今回の提案会でも店頭でのフレイル予防に資する取り組み提案などを行っている。


【大木ヘルスケアHD】販促企画会社と業務提携

【大木ヘルスケアHD】販促企画会社と業務提携

【2025.02.14配信】ヘルスケア卸大手の大木ヘルスケアホールディングスは2月12日、販促企画・運営会社と業務提携したと公表した。


【新経済連盟】薬機法法案の国会提出にコメント/引き続き主張を要望

【新経済連盟】薬機法法案の国会提出にコメント/引き続き主張を要望

【2025.02.13配信】新経済連盟(三木谷浩史代表理事)は2月13日、国会に提出された改正薬機法の法律案について、代表理事としてのコメントを公表した。


【日本保険薬局協会】マイナ保険証受付方法で要望/「在宅Web」を外来にも

【日本保険薬局協会】マイナ保険証受付方法で要望/「在宅Web」を外来にも

【2025.02.13配信】日本保険薬局協会は2月13日に会見を開き、マイナ保険証の受付方法についての要望をまとめ、公表した。現在、在宅医療現場で活用しているWeb方式を通常の外来でも活用できるようにすることなどを求めている。


【敷地内薬局めぐる裁判】検察が上告

【敷地内薬局めぐる裁判】検察が上告

【2025.02.12配信】KKR札幌医療センターの敷地内薬局の整備を巡り、アインファーマシーズ元代表取締役社長・酒井雅人被告と同社元取締役・新山典義被告が公契約関係競売入札妨害の罪に問われた裁判について、札幌高検は2月12日、札幌高裁が両被告に言い渡した控訴審の無罪判決を不服として上告したことが明らかになった。(ジャーナリスト・村上和巳)