12月20日、16時から18時30分まで、規制改革推進会議「医療・介護ワーキング・グループ(第7回)」が開かれた。
この日の議題は3つで、「議題1:介護施設における介護サービスの生産性向上及び医療アクセスの向上について」、「議題2:中間取りまとめ案について」、「議題3:規制改革ホットライン処理方針について」。
このうち、「議題3:規制改革ホットライン処理方針について」は、2つの提案の状況が報告された。
1つは、「国内医院・病院カルテ共通システム」で、もう1つが「薬局の24時間調剤について」だ。
ホットラインの処理区分は5つある。「◎」: 各ワーキング・グループで既に検討中又は検討を行う事項、「○」: 所管省庁に再検討を要請(「◎」に該当するものを除く)する事項、「△」: 再検討の要否を判断するため、事務局が提案内容に関する事実関係を確認する事項、「措置済」:提案に対し、所管省庁がすでに対応を行った事項。「無印」: 当面、検討を要さないと判断した事項。1つ目の「国内医院・病院カルテ共通システム」は「◎」で、厚労省は対応状況を報告した。
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一方、「薬局の24時間調剤について」の処理区分は「△」で、厚労省側の回答は「検討を予定」となった。
具体的な提案内容は以下の通り。
“次期調剤報酬改定への要望です。
薬剤師の働き方改革も他の医療従事者の働き方改革と合わせて検討してほしい。仕事のオフの日も、オフとして過ごせないシステムになっている。
現状では1人のかかりつけ薬剤師が24時間365日対応となっているが、かかりつけ薬剤師の夜間対応を薬局単位にしてほしい。
また、地域支援体制加算の24時間調剤体制を1~3薬局ではなく、地域薬剤師会単位の薬局でフォローという形にしてほしい。”
提案理由は以下の通り。
“薬局のかかりつけ機能が求められ、その事自体は素晴らしいと思う。
たが、1人薬剤師でも出来うる限り地域住民に貢献したいと思っているが、1人では24時間365日調剤体制は厳しい。患者の為の薬局ビジョンでは地域で24時間と書いてあるのに、実際の地域支援体制加算等の基準は1~3薬局で24時間調剤体制となっている。このため、遠く離れていても多店舗展開のチェーンばかりが登録し、地域に根付いた薬局がかかりつけと認めてもらえない。また、気合いで頑張る薬局では、休みも何処も行けずに家族が犠牲になり、働き方改革とも逆行している。地域薬剤師会単位でフォロー出来る形への変更の検討をお願いしたい。
コロナ対応の保健所の疲弊を考えるなら個人薬剤師の疲弊も検討して欲しい。
休日夜間も、可能であれば薬局内での当番制に出来るよう薬局単位でのフォローにして欲しい。
休日に温泉にいくにも、映画を観たいと思っても、その時にいつ電話がかかるかもと思うと行けない。毎日でなくて良いからローテーションででも家族と過ごす完全オフ日を設けられるようにしてもらいたい。
医療従事者の働き方改革を考える中に、薬剤師にも取り巻く家族がいる事を考えて、地域医療に貢献出来る形は維持しつつ、実現可能な薬局のあり方を検討して欲しい。
提案が実現出来れば、もともと地域に根ざした薬局のかかりつけ薬局としての更に貢献率が上がると思うし、オンとオフの切り替えが出来れば、日々の医療提供の質も上がる。薬剤師の家族も家庭の時間がとれ、家族間の親密度が上がる。地域で24時間調剤体制ができれば、在宅患者のみならず、地域住民全てが24時間対応の恩恵を受けられる。”
提案主体は個人。
これに対して、厚労省は制度の現状を以下のように説明。
“令和2年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(令和3年度調査)において、かかりつけ薬剤師指導料及び地域支援体制加算の状況について調査しているところです。”
該当法令等は、「診療報酬の算定方法(告示)」。
その上で、厚労省は「対応を予定」と回答し、対応の概要として以下のように回答した。
“ この調査の結果等もふまえ、中医協において議論していきます。”

【規制改革推進会議WG】かかりつけ薬剤師の24時間体制を「薬局単位に」/ホットラインへの提案/厚労省は「検討を予定」
【2021.12.21配信】政府の規制改革推進会議「医療・介護ワーキング・グループ」が12月20日に開かれ、規制改革ホットラインの処理方針について報告された。その中で、「薬局の24時間調剤について」の提案が取り上げられ、かかりつけ薬剤師の夜間対応を薬局単位にすることや、地域支援体制加算の24時間調剤体制を1~3薬局ではなく、地域薬剤師会単位の薬局でフォローという形にしてほしいといった提案が紹介された。これに対し、厚労省側は「検討を予定」と回答した。
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