【中医協総会】在宅歯科医療を議論/薬剤師会・有澤氏「薬剤師からの受診勧奨等の連携も必要」

【中医協総会】在宅歯科医療を議論/薬剤師会・有澤氏「薬剤師からの受診勧奨等の連携も必要」

【2021.11.10配信】厚生労働省は中央社会保険医療協議会総会を開き、「在宅歯科医療」について議論した。この中で、日本薬剤師会常務理事の有澤賢二氏は在宅歯科医療と薬局薬剤師の連携の必要性を指摘した。薬局薬剤師が在宅に訪問する際に口腔ケア商品も提供する機会があることに触れ、「その際にチェックシートで口腔状態の確認を行って受診勧奨を行うなど連携が必要」と述べた。ただ、報酬上との関連については触れず、「薬剤師会としても地域ごとに推進していきたいと思う」と述べるにとどめた。


 歯科訪問診療については、高いニーズが確認されているものの、実態が追い付いておらず、推進が課題となっている。そのため中医協では、居宅や介護保険施設・病院といった場所による評価のあり方のほか、在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料のあり方、在宅療養支援歯科診療所の施設基準の在り方などが議題となった。また、現在、入院から在宅への移行については評価があるが、外来から在宅に移行した場合の医科医療機関と歯科医療機関の連携をどう評価するかも議題になった。

 こうした議論の中、日本薬剤師会常務理事の有澤賢二氏は、「多職種連携については歯科医師と薬剤師の連携も重要なポイントだと考えている」と指摘。
 「薬局薬剤師が在宅に訪問する時に口腔ケア商品も提供する機会があり、その際にチェックシート
で口腔状態の確認を行って、受診勧奨を行うなど連携が必要になる」と述べた。
 その上で、「薬剤師会としても地域ごとに推進していきたいと思う」とした。

<編集部コメント>

 在宅歯科医療については、要介護高齢者の調査では、歯科医療や口腔健康管理が必要である高齢者は64.3%であったが、そのうち過去1年以内に歯科を受療していたのは2.4%だったことが分かっている。埋もれているニーズが極めて大きいことを考えると、多職種からの受診勧奨等の連携は重要ではないか。薬剤師からの受診勧奨について評価創設を期待したい。在宅領域で薬剤師が行っている多面的な支援を評価につなげる局面であると考えられる。

 ただ、そのためには実績も必要だが、今回の資料では、歯科訪問診療を実施したきっかけでは、患者・家族からの依頼が最大で、介護保険施設からの紹介、入院医療機関からの紹介、ケアマネジャーや地域包括支援センターからの紹介などとなっており、残念ながら薬局からの紹介の項目はなかった。薬局現場でも口腔状態への目配りと受診勧奨の推進が求められるだろう。一方、在宅療養支援歯科診療所の情報連携では「個別の患者に関する他の医療機関への情報照会」が52.9%や「個別の患者に関するケアマネジャー等の介護関係者への情報照会」52.3%、「地域の医療・介護関係者等が参画する会議(地域ケア会議、研修会等)への参加」43.9%、「地域歯科保健活動への参加」41.9%に次いで、「お薬手帳を用いた患者情報の共有」が38.9%となっており、連携において薬局薬剤師の存在を示すデータも示されていた。

 一方、歯科診療所の業態については、常勤換算の従事者数が5人以下の小規模事業所で、1診療所あたりの歯科医師数は1.4人(常勤1.2人、非常勤0.2人)であるとのデータも示されていた。“一人薬剤師”が多いと指摘される薬局にも似ている状態といえる。
 その中で、平成20年には1医療機関あたり実施件数では居宅と施設でそれぞれ7.9件・16.2件だったものが、平成29年には13.6件・52.1件と確実に増加している(各年9月実施分)。
 訪問診療の実態については、外来診療時間外や昼休みを活用して実施されているとの資料も示されていた。薬局での在宅推進も考えさせられる資料である。

この記事のライター

関連するキーワード


中医協 在宅歯科医療

関連する投稿


【令和6年調剤報酬改定_答申】基準見直しの調剤基本料「2ーイ」、集中率上位3医療機関で7割超

【令和6年調剤報酬改定_答申】基準見直しの調剤基本料「2ーイ」、集中率上位3医療機関で7割超

【2024.02.14配信】厚生労働省は2月14日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、答申について議論し、最終案を提示した。


【令和6年調剤報酬改定_答申】調剤基本料3点増点/賃上げ対応で

【令和6年調剤報酬改定_答申】調剤基本料3点増点/賃上げ対応で

【2024.02.14配信】厚生労働省は2月14日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、答申について議論し、最終案を提示した。


【中医協_答申書の附帯意見案】日薬森氏、敷地内薬局の議論にコメント

【中医協_答申書の附帯意見案】日薬森氏、敷地内薬局の議論にコメント

【2024.01.31配信】厚生労働省は1月31日に中央社会保険医療協議会(中医協) 総会を開き、答申書の附帯意見案について議論した。この中で日本薬剤師会副会長の森昌平氏は敷地内薬局についてコメントした。


【中医協】改定議論整理案で追記/薬局に関しては「夜間・ 休日対応を含めた体制に係る調剤基本料等の評価を見直す」

【中医協】改定議論整理案で追記/薬局に関しては「夜間・ 休日対応を含めた体制に係る調剤基本料等の評価を見直す」

【2024.01.12配信】厚生労働省は1月12日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、令和6年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(案)の追記部分を議論した。賃上げ対応について前回の議論の内容を追加したもの。


【中医協】日医、賃上げ把握で「評価の収入」と「かかる支出」の総額把握による簡素化を要望

【中医協】日医、賃上げ把握で「評価の収入」と「かかる支出」の総額把握による簡素化を要望

【2024.01.09配信】厚生労働省は1月9日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、賃上げ対応について議論した。


最新の投稿


【東京都】災害薬事コーディネーターを任命/都薬副会長の宮川昌和氏など

【東京都】災害薬事コーディネーターを任命/都薬副会長の宮川昌和氏など

【2024.04.24配信】東京都薬務課は4月24日、定例会見を開いた。


【東京都】市販薬の適正使用へ/小学生向け教材作成へ/乱用推進計画

【東京都】市販薬の適正使用へ/小学生向け教材作成へ/乱用推進計画

【2024.04.24配信】東京都薬務課は4月24日、定例会見を開いた。


【楽天三木谷氏】“濫用薬”の規制方向「撤回を」/デジタル社会構想会議で表明

【楽天三木谷氏】“濫用薬”の規制方向「撤回を」/デジタル社会構想会議で表明

【2024.04.24配信】デジタル庁は4月24日、第 9 回デジタル社会構想会議を開いた。この中で三木谷浩史氏(楽天グループ株式会社/一般社団法人新経済連盟)は厚労省の進める“濫用薬”の規制方向を撤回するよう意見した。


【たんぽぽ薬局】ミック・ジャパン(大阪市)のドラッグ事業など譲受へ

【たんぽぽ薬局】ミック・ジャパン(大阪市)のドラッグ事業など譲受へ

【2024.04.23配信】株式会社トーカイの連結子会社であるたんぽぽ薬局株式会社(岐阜市)は4月22日、株式会社ミック・ジャパン(大阪市)との間で、ミック・ジャパンが展開するリハビリデイサービス事業、ドラッグストア事業などの各事業の譲り受けについて基本合意に至ったと公表した。


【楽天グループ】薬局予約アプリ「楽天ヘルスケア ヨヤクスリ」の提供を開始

【楽天グループ】薬局予約アプリ「楽天ヘルスケア ヨヤクスリ」の提供を開始

【2024.04.22配信】楽天グループ株式会社は4月18日、「処方せん医薬品を薬局で迅速に受け取ることができる調剤薬局予約アプリ『楽天ヘルスケア ヨヤクスリ』の提供を開始した」と公表した。


ランキング


>>総合人気ランキング